『イエローストーン』の終了に合わせるように、シェリダンがプロデュースしたドラマ『ランドマン』がスタートした。

 テキサス州の「ランチ」の敷地内などで行われる石油採掘が舞台。採掘現場の監督を務める男が凶悪なメキシコのギャングや狡猾な官僚、迷惑な若者、そして法律の壁に直面しながらも「瀕死の状態」で生きてゆく姿を描いている。また、問題の多い家族をまとめるのに苦労する一面も盛り込まれ、「昼メロ」的な要素もある。

 2024年11月のリリース以来、快進撃を続け、最初の4週間で『イエローストーン』を上回る1490万人の視聴者を獲得した。

 『ランドマン』も時代に反発した内容だ。地球温暖化問題で化石燃料は「過去のもの」となりつつある中で、化石燃料の代表格である石油採掘のために命をかける男の姿を描き、視聴者の共感を得た。

 音楽界でのカウボーイは2025年のグラミー賞で最優秀アルバム賞に輝いたビヨンセの「カウボーイ・カーター」だ。黒人女性では初の最優秀カントリーアルバム賞も手にした。カントリーミュージックは、米南部の白人の音楽とのイメージが強いが、ビヨンセはこれを打ち破った。19世紀に西部で活躍したカウボーイの約25%は黒人だったといわれるが、その実態はほとんど知られていない。「カウボーイ・カーター」でビヨンセは、消し去られようとしている黒人の歴史を浮き上がらせた。

 米国では今、カウボーイは時代を変える存在になった。
(文=言問通)