
▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
75歳でシルバー人材センターでの就労は可能か
まず、シルバー人材センターで、75歳で就労することは可能なのでしょうか。
シルバー人材センターは、高齢者の社会参加による生きがいある生活の実現などを目的に、手軽な仕事を紹介する公益団体で、原則60歳以上なら誰でも利用できます。
月10日ほど働き、3万円から5万円の収入を得るのが平均的な就労形態で、健康維持なども兼ねて、無理なく働き収入を得たい人にはピッタリです。
また、公益社団法人全国シルバー人材センター事業協会の令和4年度の統計によると、会員の平均年齢は74.4歳、75歳以上の会員構成比は約45%以上におよぶことから、75歳を過ぎてもシルバー人材センターで収入を得ることは十分可能でしょう。
年金が月20万円の世帯がシルバー人材センターで働くと
それでは、75歳の世帯がリフォームで貯蓄を使い果たしたあと、シルバー人材センターで収入を得ながら年金月20万円で生活できるのか試算してみましょう。もし、ご夫婦の1人だけでも就労し、平均的な報酬3~5万円を得ることができれば、世帯の収入は年金と合わせて23~25万円に増えます。
次に、必要な生活費を図表1の総務省統計局の家計調査報告の「2人以上の世帯のうち65歳以上の無職世帯の家計収支」で確かめてみましょう。この調査によれば、75歳以上世帯の平均的な消費支出は23万4521円で、非消費支出2万9846円を加えると26万4367円です。
図表1
総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要
収入はやや不足しますが、支出との差は小さいため、場合によっては生活費を賄うことも可能でしょう。ただし、シルバー人材センターでの就労日数や報酬はあくまでも平均的なもので、保証されたものではありません。
また、日本人の健康寿命は2022年の推計で男性が72.57歳、女性は75.45歳であり、今は元気でも、今後どれくらい働けるのかという点に留意する必要があります。
一生涯働けるわけではなく、加齢とともに就労が制限されるリスクは少なくとも認識しなければなりません。そのため、シルバー人材センターなどでの就労による収入を生活費として当てにし続けるのはやはり不安です。