国民年金の納付率が「80%」ほどと聞いて驚き! 5人に1人は、将来の年金を「全くもらえない」の? 誤解されがちなポイントを「納付率の実態」とあわせて解説
将来の暮らしを支える年金ですが、老後に年金を受け取るためには、基本的には現役時代にしっかりと年金保険料を負担する必要があります。   そのような中、国民年金の納付率が約80%と聞くと、5人に1人が将来年金を全く受け取れないのではと思う人もいるかもしれません。   しかし、これは誤解です。本記事ではこうした誤解を解くべく、日本の公的年金制度の仕組みなどについて解説します。

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国民年金と厚生年金の仕組み

日本の公的年金制度は、基礎年金である「国民年金」と、給与に応じて将来の給付額が変わる「厚生年金」の2階建ての構造です。20歳以上60歳未満の全ての国民は国民年金に加入し、さらに会社員や公務員などの給与所得者は厚生年金にも加入します。
 
国民年金の第1号被保険者は、自営業者や学生などで、自ら保険料を納める必要があります。一方、会社員や公務員は第2号被保険者として、給与から自動的に厚生年金保険料が天引きされ、その中に国民年金の保険料も含まれています。
 

国民年金保険料の納付率の実態

厚生労働省によると、2023年度の国民年金第1号被保険者の最終納付率は83.1%と報告されています。しかし、この数字を見て「全国民の5人に1人は年金を払っていない」と考えるのは間違いです。
 
この数字は、第1号被保険者が対象であり、第2号被保険者である会社員や公務員の納付状況は含まれていません。実際、厚生年金の被保険者数は約4672万人であり、これは1387万人いる第1号被保険者数の約3.4倍にあたります。
 
また、厚生年金の保険料は給与から自動的に差し引かれるため、納付率は非常に高くなっています。
 
そのため、公的年金全体でみると年金の未納者は1%程度です。
 
以上のことから、「国民年金の納付率が80%だから、5人に1人が将来年金を受け取れない」というのは誤解であることが分かります。多くの人々は厚生年金を通じて確実に保険料を納めており、将来的に年金を受け取る資格を持っています。
 

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