歌やダンスがない映画に衝撃を受けた
ーーインドでは、近年になってやっと、シネコンでマーベル映画やユニバーサル作品が上映されたり、配信サービスの普及で他国の映画が観られる環境になってきたりしていると思います。一方、ナリン監督の少年時代は海外作品を観ることは簡単ではなかったのではないでしょうか。監督が実際に海外の作品に触れたのはいつ頃からでしたか。
ナリン:私が映画に初めて出会ったのは8、9歳の頃でした。私の通っていた小さな町の映画館では、やはりポピュラーな商業的インド映画だけが上映されていましたので、そこでは海外映画には一切触れることはできませんでしたが。
ファインアートとデザインの勉強のために都市部に引っ越したのが14~15歳の頃で、学校の寮にいた友人が英語の映画を観に行っていて、私も観るようになりました。初めて観た海外映画は西部劇でしたが、今まで海外映画を観たことがなかった私にとって、歌もダンスもないのに、映画として機能していることに衝撃を受けました。
より多くの作品に触れるようになったのは20歳頃からで、ヌーヴェルバーグやイタリアンニューウェーブ、日本映画などにも触れていくようになりました。経歴としては、商業的なインド映画から、ハリウッド、そしてワールドシネマへといった感じです。