フリーランス通訳者「一発勝負の世界に魅せられて」
(画像=『HiCareer』より引用)

エルビーニア:日本に戻った後は総合商社で通訳者として仕事をしました。この時は英語だけでなく、スペイン語での仕事もありやりがいを感じていました。大企業だったので安定していたのですが、子供が小学校に上がるタイミングでフリーランスに転向しました。保育園では夜の7時まで預かってもらえますが、小学校に上がるとそうはいかなくなりますので、思い切って独立しました。結果的には正解だったと思っています。

工藤:愛知県だと東京よりも案件が少ないと思いますが、どのようにフリーのお仕事の幅を広げられたんですか。

エルビーニア:前職の総合商社での通訳・翻訳の仕事を業務委託で受けることができそれがまずは収入の柱のひとつでした。あとは地元の通訳エージェントや翻訳エージェントに登録をして、最初の頃は子供も小さかったので翻訳をメインに受けていました。

工藤:コロナ禍ではリモート通訳が主流になっています。地方の通訳者の方も活躍できる良い機会ですよね?

エルビーニア:まさにその通りです。コロナ禍でいただけるお仕事の量は増えました。ご依頼いただける全体の85%はリモート通訳になります。残り15%が出張案件やリモートとオンサイトのハイブリット案件です。

工藤:確かにリモートになってクライアントの通訳件数が増えたような気がします。ところで対面通訳とリモート通訳のメリット、デメリットって何かありますか?

エルビーニア:リモート通訳の場合直接音声が耳に入るというのが一番大きなメリットです。あとはリモートの場合すべて自分のスペースなので、大きく資料を広げて、通訳をしながら自分のペースで調べものをすることもできます。デメリットとしては、通訳者同士のコミュニケーションが減ってしまったことですね。以前であれば現場が終わってから、今日はこうだったね、ちょっとお茶でもしていかない?とかって言えていたんです。でもリモートでは難しい。私は仲のいい通訳者さんだとオンラインでも終わってから30分ぐらい話し込んでしまうこともありますが、やはり前よりはコミュニケーションが少し薄くなってしまったかなっていうのは感じています。

工藤:リモート通訳で新しく投入された機材はありますか?

エルビーニア:最初にコンデンサーマイクを導入しました。私の場合ヘッドフォンと一体になったヘッドセットを使うと破裂音や「さ行」がすごく強く出てしまい気になってしまったんです。他にもパソコンを数台購入したり、あとはパソコンを乗せる台を買ったり。結構いろいろ投資をしていますね。また愛知県の場合結構移動に時間がかかるので、以前はその時間は資料を読むのに当てていました。ただ今は家にいる時間が多いので、大量の資料を読む必要がある場合などは時間を確保する工夫が必要です。通訳環境や温度も自分に合わることが出来るので楽なのですが運動不足になるのが気になります。

工藤:なにかリフレッシュの方法はありますか?

エルビーニア:車の運転が好きなんですが、車内でMISIAの曲を大音量でかけて歌ってストレス発散しています。昼休みに近くのレストランに行って1人でランチを食べるのもリフレッシュです。

フリーランス通訳者「一発勝負の世界に魅せられて」
(画像=『HiCareer』より引用)

工藤:特にこの分野が得意とか、これから力を入れていきたい分野っていうのがあったらぜひ教えていただきたいです。

エルビーニア:得意な分野はやはり愛知特有ですけれども自動車関連や、ビジネス経営全般ですね。あとは、大学院のときに研究していたのでSDGsなど国際開発については積極的にやっていきたいです。 最近はIRが増えていますが、今後は製薬とか医療機器にも力を入れていきたいと思っています。自動車分野だけでなく、プラスアルファの部分も身に付ける必要がありますが、それがIRや医療分野だと思っています。

工藤:本当に通訳という仕事を楽しんでいらっしゃると思います。是非通訳のやりがいを教えてください。

エルビーニア:お客さまにあなたがいてくれてよかったと言われた時です。今までは自分たちで頑張ってやっていたんだけど、通訳を入れると全然違うと実感していただいた時にやりがいを感じます。また講演会で話者が感動的な話をされ、私の通訳を通して聞いていた方が涙を流されたのを見た時はきちんと思いが伝わったことに感動しました。

工藤:逆に通訳をやっていて辛いなと感じることはありますか?

エルビーニア:通訳をやっていて辛いことはないです。仕事を入れすぎて睡眠時間が削られた時は辛いのですが、好きな仕事なので、走り続けられるうちは走り続けていきたいなって思っています。

工藤:1日に複数案件を入れられているとスケジュールはどういうふうに管理されていますか?変更も多いですよね?

エルビーニア:メインはGoogleカレンダーを使い、バックアップに小さな手帳も持ち歩いています。スケジュールの追加・変更が多いので依頼を受けられる場合は返信する前にいったん案件詳細をGoogleカレンダーに入力します。その後余裕があれば手帳に書き込みます。とりあえずGoogleカレンダーにだけ入れておいて、1日が終わった後に確認しつつ手帳に書き込んでバックアップすることもあります。あとはMicrosoft Windows の OneNote にすべての案件の会議リンクやパートナーとの交代方法などをまとめています。OneNote に集約しておくことで、一日に数件対応する際でも毎回メールを検索する必要がなくなり、時間短縮につながっていると感じています。案件固有の単語や略語もそのページに記録したり、特定の分野で勉強してまとめたものはそれだけで新規ページを作成したりもしています。

工藤:これから通訳者を目指す方に向けてメッセージをお願いします。

エルビーニア:通訳者になる前は不要だと思っていた学問や知識が仕事ではすごく役立ちます。常にいろんな興味のあることにアンテナを張り巡らしておくことが大事です。語学もそうですけれども、ちょっとした些細なうんちくとか教養が役に立つことはぜひ心に留めておいていただきたいです。

工藤:将来の夢は何ですか?

エルビーニア:お客さんに嫌がられないうちはずっと通訳をやりたいですね。通訳以外ではいつか時間が出来たらヨーロッパの夜行列車で旅をしたいと思っています。学生の時に友人とスウェーデンの北極圏まで夜行列車に乗ってオーロラを見に行った感動が忘れられません。そして将来もっと経験を積んで通訳者を目指す人に教えることができたらと思っています。

工藤:本当に本日は貴重なお話を聞かせていただいてありがとうございました。

フリーランス通訳者「一発勝負の世界に魅せられて」
(画像=『HiCareer』より引用)

出張先での通訳の際のデスク回り

フリーランス通訳者「一発勝負の世界に魅せられて」
(画像=『HiCareer』より引用)

時短術として活用されているMicrosoft Windows の OneNote

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