俳優の瀧内公美さん(35歳)が、奥山和由監督の最新作『奇麗な、悪』で主演を務めました。芥川賞作家・中村文則による原作の作品で、瀧内さんは自身の壮絶な半生を語る女性をワンカットで見事に演じ上げています。

瀧内公美さん
瀧内公美さん
 瀧内さんは昨年、大河ドラマ『光る君へ』の源明子役が話題となり、最近でも金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』の女性検事役を好演。次期NHK連続テレビ小説「あんぱん」にも出演するなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの活躍を見せています。まさに時の人、瀧内さんにお話を聞きました。

◆脚本を読んで衝撃を受けた

映画『奇麗な、悪』
映画『奇麗な、悪』ⓒ2024 チームオクヤマ
――今回の『奇麗な、悪』は、主人公のひとり語りで展開していくなど実験的な色合いも濃い作品でした。オファーを受けてどう感じられましたか?

瀧内公美(以下、瀧内):お話をいただいて脚本を拝見したのですが、「え、どういう映画になるの!?」とかなり衝撃を受けましたね。奥山和由さんと言えば、わたしの中では北野武監督の初期三部作を手がけた方というイメージでしたので、出演するかどうかは別として、ちょっとお会いしてみたいなとも思ったんです。

――脚本の印象についてはどうでしたか?

瀧内:この女性の独白は、本当のことなのかウソなのか、どちらなのか分からない、という印象でした。人としての面白さみたいなところが、起こった出来事への彼女なりの解釈で感じました。これだけ語っているのに、何故か余白を感じる。こちら側に自由な解釈を委ねさせているような。そして、彼女がこれだけ語り続けなければならなかったことに、一個人として面白さを感じた部分もありました。奥山監督が多少アレンジしたかった部分以外は、原作そのままに近い感じになっていたと思います。

◆演じる上で「言葉に色をつけすぎないように」

瀧内公美さん
――自由な解釈が許されるだけに、何に気をつけて演じようと思いましたか?