◆浜田の姿勢が小室哲哉からフォーク的な作風を引き出した

H Jungle with tのアーティスト名で流行のビート「ジャングル」を一躍お茶の間に広めましたが、曲自体は、歌詞が伝わるポップソングでした。小室哲哉に批判的だった松山千春も、「WOW WAR TONIGHT」を褒めていました。それぐらい王道を行く曲だったのですね。
続く「GOING GOING HOME」は、いわゆるtkサウンド、そして歌手、浜田雅功の両者において、ベストワークと呼べるのではないでしょうか。「WOW WAR TONIGHT」ほどの強いメッセージはありませんが、音楽の軽やかさや艶がありました。浜田、小室の両者のリラックスしたムードが、曲によくあらわれています。
この肩の力の抜けた感じが音楽っぽい。お笑い芸人が話題作りのために歌うのではないと力みかえるよりも、むしろ真剣さが伝わる。この浜田の姿勢が、作曲家から違った作風を引き出したのではないかと感じます。
これもまた、音楽市場が活気に満ちていた時代の証として記憶されていくことでしょう。
◆ダウンタウンがいなかったら平成の音楽シーンは…

<文/石黒隆之>