コーヒーの謳い文句でよく見かける『風味』というワード。
そもそもこの風味というのはどういったものなのでしょうか。辞書を引いてみると...
- (食べ物の)おもむきのある味わい。
- おもむき。風情。
と、出てきます。ですがこれだけだと少し分かりにくいかもしれません。
ですが、『風味』とはコーヒーの味を楽しむ上で重要なポイントとなります。
ここでは風味という感覚、コーヒーの風味が生まれるまでを解説していきます。
『風味』の前に知っておきたい味覚の成り立ちとは?
私たちが食べ物を口に含んだとき、どんな感覚を受けるでしょうか。
甘い、酸っぱい、苦い、しょっぱいといった味を最初に感じると思います。
図左上(基本となる味)の感覚は口内にある【味細胞】というものが感知し、【味覚神経】を介して味の情報を脳に伝えます。
では、その下の『辛味』・『渋味』などはどうでしょうか?
これらは味覚神経だけではなく、痛覚なども感知していることから味覚とは若干違うものなのです(辛いものを食べると口が痛くなりますよね。あれは味覚ではなく痛みを察知する細胞が働いた結果です)。
そして、【酸味・甘味・苦味・塩味・旨味】と【辛味・酸味・キレ・後味・コク・深み】この2つが合わさったものが『味覚』になります。
美味しいコーヒーの条件は嗅覚も必要です!
コーヒーは舌(味覚)だけで楽しむものではありません。
コーヒーの特徴を説明するときに用いられる『アロマ』
――つまり【香り】も美味しいコーヒーには欠かせない感覚なのです。
【味覚】と【嗅覚】この2つが合わさったものが【香味(フレーバー)】です。
香味とは『匂いと味わい』という意味になります。
では、今回メインテーマとなる『風味』とは一体どのようなものなのでしょうか?
味覚と香味を踏まえ『風味』を解説します!
『味覚』と『嗅覚』――この2つが合わさったものが【味】の全てかと言うと、それだけではありません。美味しいコーヒーは『温度』と『質感』にも優れています。
特にコーヒーの温度はホットにしてもアイスにしても重要な位置を占め、一般的に言われているコーヒーの適温とは以下の通りです。
- ホット
抽出時:92~96℃、飲み頃:68~70℃
- アイス
抽出時:92~96℃、飲み頃:4~6℃
そして、【質感】とは『コーヒーの舌触りや立体感』を指しています。
質感は味覚・嗅覚と比較すると捉えにくい感覚ですが、スペシャリティコーヒーなどの品評会では重要な項目の1つになります。
質感と温度を感知する器官を【触覚】と呼び、さらに【香味(フレーバー)】と合わさることを【風味】と呼ぶのです。さまざまな感覚を研ぎ澄まして風味を知ることはコーヒーの奥深さを知ることにも繋がります。
収穫年、産地、農園によってコーヒーの風味が変わる!
コーヒーが持っているあらゆる『美味しさ』に繋がる【風味】とは、どのような過程で生まれるのでしょうか?
まず始めにコーヒー豆が生まれる生産地によって風味が作られていきます。同じ品種でも栽培される環境によって風味は大きく異なるのです。これは生産地の気候や標高、栽培方法などが関係しています。
続いて、収穫されたコーヒーチェリーの加工段階も風味に大きな影響を与えます。
コーヒーチェリーは収穫されると徐々に酸化していきます。酸化した豆はどんどん風味が損なわれていくので、コーヒーチェリーから生豆を取り出す作業にはスピードが求められているのです。
また、生豆を取り出した後も洗浄や乾燥といった行程が残っています。
スペシャリティコーヒーといった高級豆を作る農園は厳格な管理体制で精製作業に取り組んでいます。