こうした動きの背景には近年、マレーシアにコスプレインフルエンサー専門のマーケティング会社が誕生した影響も大きい。マレーシア国内のコスプレイヤーだけでなく、近隣国のコスプレイヤーにも仕事を提供。SNSを活用したPR案件に加え、マレーシアのイベントに海外のコスプレイヤーを招待したり、逆にマレーシアのコスプレイヤーを他国のイベントに派遣したりする活動を展開している。

 また、InstagramやFacebookで100万人近いフォロワーを持つコスプレイヤーを抱えており、その影響力は非常に大きい。

 こうした動きから、マレーシアがコスプレビジネスの中心へと成長していく可能性は高いと考えられる。

日本のコスプレイヤーがマレーシアを避ける「とある事情」

 では日本人のコスプレイヤーはどうだろうか? 「台湾FF」は多くの日本人コスプレイヤーで賑わっていたが、 「NIJIGEN EXPO」にも日本人コスプレイヤーが少数ながら出展していた。日本人ブースを見たとき筆者は、「マジか!?」と声をあげるほど驚いた。というのも、今までコスプレイヤーブースを見たことがなかったからだ。

 実は、マレーシアのイベントに対して抵抗感を持つ日本のコスプレイヤーは少なくない。

 その理由のひとつが2019年に発生した「コスプレ・イベント参加邦人に対する2度の入国管理局による一時拘束事案(my.emb-japan.go.jp/itpr_ja/newinfo_12072019.html)」だ。マレーシアのイベントでパフォーマンスを行ったコスプレイヤーが現地当局に拘束され、このニュースは当時、日本のコスプレ界でも大きな話題となった。

 原因はイベント側の不手際により、適切な手続きがされていなかったことにあった。現在では、海外のオファーを受ける際に適切なビザを発行してもらうことが必須となり、この事件をきっかけに世界中のイベントでビザ対応の厳格化が進んだというプラスの側面もある。そのため、マレーシアのイベントでのトラブルは、以前に比べて大幅に減少している。