厚生年金と国民年金基金はともに年金制度だ。対象者は違うが、国民年金(老齢基礎年金)の上乗せ部分として年金を支給し、人の老後生活をの所得保障する点では変わりない。ただ受給額などにおいては多少の差異がある。その差異について、ときに混同されがちな他年金制度とあわせて比較する。

年金制度全体から見たときの各年金

年金制度における厚生年金と国民年金基金の違いや特徴は、国民年金と厚生年金基金を含めた上で俯瞰すると分かりやすい。名称は似ているがそれぞれ異なる年金制度であり、一定の対象者を支援するために設けられている。

まず年金制度においてその根幹となるのは国民年金だ。国民年金は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての人が加入するもので、年金制度の基礎部分となっている。厚生年金と国民年金基金は別々の対象者に向けた国民年金の上乗せ部分としての年金、厚生年金基金は厚生年金のさらなる上乗せ部分にあたる年金である。

建物に例えれば、国民年金は1階部分、厚生年金と国民年金基金は2階部分に相当する。厚生年金基金は厚生年金の一部分の上に乗っているような状態だ。上階の被保険者は同時に下階の被保険者でもある。

年金保険である以上どれもが前もってお金を払い、ある程度それに応じた額の年金を将来受け取るという仕組みは共通している。ただ対象者と、対象者があらかじめ支払う金額、そして受け取れる給付の種類、金額は異なる。

厚生年金、国民年金 それぞれの対象者は?

厚生年金の対象となるのは厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務するすべての人だ。そのため世のサラリーマンの多くはこの厚生年金に加入することになる。

厚生年金基金も同様に、基金に加入する事業所で働く人を保証の対象とする。だが厚生年金に比べるとその範囲は狭く、厚生年金基金の加入事業所は厚生年金加入事業所の一部にすぎない。

一方で国民年金の対象者は日本国内に住む20歳以上60歳未満の人と、年金制度において最も幅が広い。そこには厚生年金の被保険者なども含まれ、「第1号被保険者」「第2号被保険者」「第3号被保険者」と3種類あり、保険料の納め方が異なってくる。

もし会社員など厚生年金被保険者であれば第2号、一定の要件を満たす第2号の配偶者は第3号、それ以外の自営業者やフリーターなどは第1号の被保険者とされる。このうち第1号被保険者が国民年金基金の対象となる。

なお厚生年金に加入すると自動的に国民年金にも入ることになるため、厚生年金に入っていながら国民年金には入っていない、という状況は起こり得ない。また厚生年金は適用事業所で働く人なら強制加入となるが、国民年金基金の加入は任意である。