給付される年金の種類と受給額
給付される年金は、どの年金制度においても老齢年金が基本だ。原則65歳に達すれば、以後生涯にわたって年金を受給できる。加えて国民年金と厚生年金には、被保険者が死亡したときに遺族に支給される遺族年金、障害の状態となったときに支給される障害基礎年金が設けられている。
そしてこの3つの給付、老齢年金、遺族年金、障害基礎年金にはそれぞれ基礎年金と厚生年金の2種類がある。基礎年金は国民年金制度の被保険者が、厚生年金は厚生年金制度の被保険者がもらえる給付だ。
国民年金の被保険者はもとより、厚生年金、国民年金基金、厚生年金基金の被保険者も同時に国民年金には加入しているので、3給付の基礎年金は大多数の人が受給できることになる。厚生年金と厚生年金基金の被保険者・加入者はさらに3給付の厚生年金が受給可能で、厚生年金基金の加入者なら独自の給付も加わる。
このような各給付の受給額は固定ではなく、さまざまな要素によって変動する。例えば老齢厚生年金の受給額を決める大きな要素は、厚生年金と厚生年金基金では標準的な報酬額と加入期間、国民年金では保険料納付済み期間、国民年金基金では給付の型と口数である。
厚生年金と国民年金基金の受給額
各年金制度の中でも、厚生年金制度と国民年金基金制度は国民年金の上乗せ部分として、被保険者・加入者の老後保証をより分厚くする重要な役割を担っている。ではその受給額はどれくらいなのだろうか。ここでは男性会社員A氏と、男性自営業者B氏の例を挙げて比較する。
A氏は国民年金第2号被保険者ならびに厚生年金の被保険者で厚生年金基金には加入していない。B氏は国民年金第1号被保険者で国民年金基金にも入り、両氏とも各年金に20歳から60歳までの40年間加入し続けた。配偶者と子はおらず、受給するのは65歳からの老齢年金のみとする。
この場合、A氏とB氏ともに国民年金から老齢基礎年金の満額、2018年度の年額だと77万9300円を受け取れる。月額に換算すると約6万4941円だ。さらにA氏には厚生年金から老齢厚生年金が、B氏には国民年金基金からの加算額が追加される。
老齢厚生年金の受給額は通常、厚生年金加入期間の平均標準報酬月額に生年月日に応じた一定の乗率と加入期間の月数を掛けて算出する。A氏の厚生年金加入期間における平均標準報酬月額、給与と賞与を含めた金額は45万円、乗率は1000分の5.481、月数は480とすると、年金額は118万3896円になる。月額では9万8658円で、基礎年金と足せば16万3599円だ。
B氏は20歳0カ月で国民年金基金に加入し、1口目で保証期間なしの終身年金、加えて同型を3口、計4口を選択した。なお国民年金基金の年金受給額は加入時の選択パターンに応じてあらすじめ細かく設定されており、何歳のときにどの型に何口目で加入したかでその金額は計算できる。
B氏のように20歳0月で保証期間なしの終身年金を1口目とした場合は、掛金は6180円で将来受給できる年金月額は2万円とされている。2口目以降も同型を選択した場合は掛金各3090円で年金月額各1万円だ。合計4口で合計は掛金1万5450円、年金月額は5万円である。したがって年金としての受給月額は、老齢基礎年金に5万円を足した額、11万4941円となる。
文・ZUU online編集部/ZUU online
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