年金の被保険者が支払うお金

年金の被保険者が支払うお金は国民年金と厚生年金では保険料、国民年金基金と厚生年金基金では掛金と呼ばれる。その金額は各年金によって違い、厚生年金は報酬の一定割合分、厚生年金基金はゼロ、国民年金は定額となっている。国民年金基金は一定の限度額までの範囲で、加入者が金額を決められる。

厚生年金は被保険者の標準報酬月額によって保険料額が変わる。基本的には毎年9月に、4月から6月の標準月額基に18.3%の保険料率を掛けた額になる。厚生年金の保険料は事業主と被保険者が半分ずつ負担するため、被保険者の実際の負担分はおおむね平均給与額の9.15%分だ。

保険料率は基本的に変動せず、給与額が高ければそれだけ高い保険料を支払うことになる。ただ上限とされる金額はあるため、際限なく保険料が高くなることはない。

厚生年金基金の掛金の扱いは他の年金と異なり、事業主のみが負担するという点でやや特殊だ。厚生年金基金に加入していると、被保険者は通常の厚生年金に入っているのと同じ状態で、事業主の負担だけが増える。そのため、被保険者の負担はゼロとなる。この事業主の負担分が、基金独自の上乗せ部分として給付される。

国民年金の保険料額は定額で、年度ごとに改定される。厚生年金とは異なり、被保険者が受け取っている報酬の高低によらず保険料額は一律に同じで、2018年度は月額1万6340円である。

他方、国民年金基金の月額掛金は選択した給付の型と口数、そして加入者の年齢、性別による。加入者は将来の受給額を見込んで自身に最適な型と口数を選び、それに応じた掛金を支払う。だが厚生年金と同様にこちらも上限は決まっている。

ちなみに厚生年金の被保険者は同時に国民年金の被保険者でもあるが、別途国民年金保険料の支払いを求められることはない。これは厚生年金の保険料には国民年金の保険料分が含まれているためだ。しかし国民年金基金の加入者は、基金の掛金とは別に国民年金保険料を支払う必要がある。

厚生年金保険料と国民年金基金掛金の範囲

被保険者が負担する厚生年金の保険料と国民年金基金の掛金には上限だけでなく、実質的には下限も設定されている。

厚生年金保険料の下限と上限は、保険料の一覧表である厚生年金保険料額表の2017年9月分を参照すると、それぞれ8052円、5万6730円となっている。厚生年金保険料の計算は個々人の平均給与額を標準報酬月額という規定額に置き換えた上で行う。その標準報酬月額の最小が8万8000円、最大が62万円であり、この場合の保険料が上記の金額であるためだ。

同表によると、平均給与額が9万3000円未満であれば8万8000円が、60万5000円以上であれば62万円が標準報酬月額になる。つまり平均給与額が一定額に満たない、もしくは一定額を超えれば、保険料は変動することなく、下限と上限になる。結果として実際の保険料額は、その限度額の間で決まる。

国民年金基金の下限は男性6180円、女性7830円、上限は男女ともに6万8000円となっている。下限は、加入時年齢20歳0カ月で1口のみ、保証期間なしの終身年金を選択した場合の月額である。上限は個人型確定拠出年金にも加入しているならその合算額となる。

国民年金基金においては1口目でまず2つの給付の型(終身年金A型・B型)、終身年金の保証期間のあるかないかを選ぶ必要があり、後者のほうが掛金は低い。また基本的に年齢が若いほど金額も低くなる。上述の6180円は最も若い年齢で加入した場合の額だ。

2口目以降は、終身年金か確定年金か、保証期間があるかないか、またその長さなどが異なる複数の型の中から選ぶ。終身年金は確定年金より、保証期間が長いものは短いものより掛金が高い。掛金が増えたとしても将来の年金額をより増やしたい場合は、基本的に上限額までなら好みの型を何口でも選択できる。

1口目の掛金は6180円から2万3570円までの幅があり、2口目以降は1口1000円ほどから1万円前後となっている。その範囲で、加入時の年齢や性別によって金額が変動するのである。

このように厚生年金の保険料と国民年金基金の掛金には下限と上限があり、さらに被保険者自身の状態などによって金額は決まる。ただ厚生年金では報酬額によって半ば自動的に保険料が決まるが、国民年金基金の場合は一定範囲内でありつつも掛金の額に選択の自由がある。