
2024年1月から始まる新NISAの成長投資枠とは現行の一般NISAにあたる非課税投資枠のことを指します。
新制度では成長投資枠とつみたて投資枠の2つの枠が設けられ、つみたて投資枠は現行のつみたてNISAにあたる非課税投資枠のことを指します。
それぞれ非課税期間が無期限化され、投資額や投資対象商品は異なります。現行制度よりも使い勝手が良く、効率的に資産形成ができる仕組みになっているので特徴を理解して有効活用しましょう。
新NISAの成長投資枠とは?

成長投資枠は、これまでの一般ニーサに該当する部分です。ただし、取扱商品など異なる部分があります。
一般NISA | 成長投資枠 | |
---|---|---|
非課税期間 | 5年間 | 無期限化 |
投資期間 | 2023年末まで | 2024年~恒久化 |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税限度額 | 600万円 | 1,200万円 |
投資対象商品 | 上場株式、ETF、 公募株式投資信託、REITなど |
上場株式、投資信託など (条件あり) |
対象年齢 | 18歳以上 |
成長投資枠の非課税保有期間は無期限
一般ニーサの非課税保有期間は5年間でしたが、成長投資枠は無期限で保有できるため、リスクが高い上場株式の個別銘柄でも長期・積立投資が可能になります。
一般NISA | 成長投資枠 | |
---|---|---|
非課税期間 | 5年間 | 無期限化 |
成長投資枠の投資期間は無期限
2024年以降からスタートする新NISAは無期限化されるため、18歳以上の成人であれば誰でも一生涯、非課税枠の範囲内で投資できます。なお、一般ニーサ口座で投資できるのは2023年末までです。
年間投資枠は240万円に倍増
年間投資枠は現行の一般ニーサが120万円だったのに対し、新NISAは 240万円と2倍になります。リスクはあるもののリターンが大きい投資商品に、これまで以上に投資することが可能になりました。
一般NISA | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
成長投資枠の非課税保有限度枠は生涯1,200万円
新NISA全体の生涯非課税枠は1,800万円ですが、成長投資枠は1,200万円が上限となります。
一般ニーサは年間投資枠120万円で非課税保有期間が5年間なので、非課税保有限度枠は600万円です。一方、新NISAは恒久化されていることから、生涯非課税枠が設けられています。
一般NISA | 成長投資枠 | |
---|---|---|
非課税限度額 | 年間投資枠 120万円×非課税保有期間5年間 =600万円 |
1,200万円 |
成長投資枠の対象商品は上場株式・投資信託等
成長投資枠の投資対象商品は、上場株式や投資信託などです。これまでの一般ニーサに代わるものですが、対象商品は一般ニーサが上場株式、ETF、公募株式投資信託、REITなどに対し、投資対象商品が制限されています。なお、ETFやREITが対象商品から外れるわけではありません。
一般NISA | 成長投資枠 | |
---|---|---|
投資対象商品 | 上場株式、ETF、 公募株式投資信託、REITなど |
上場株式、投資信託など (条件あり) |
さらに、成長投資枠では以下の投資信託は対象外となります。
・信託期間が20年未満のもの
・高レバレッジ型
・毎月分配型
新NISAは「国民の安定的な資産形成を促す」ことを目指しており、これらの投資信託は目的にそぐわないため除外されています。
「信託期間が20年未満のもの」は、主にAIや環境問題、ヘルスケアなど近年話題になっているテーマに関連した銘柄を投資対象とする「テーマ型投資信託」を想定していると考えられます。

年齢は18歳以上
制度の利用年齢条件は、成長投資枠も一般ニーサと同様に18歳以上の成年であれば口座開設が可能です。上限年齢がない点も共通しています。
新NISAのつみたて投資枠とは?

新NISAのつみたて投資枠は、現行のつみたてニーサに代わる部分にあたります。ただし、年間投資枠や非課税限度額などに違いがあります。
つみたてNISA | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
非課税期間 | 20年間 | 無期限化 |
投資期間 | 2042年末まで (新規買付は2023年末まで) |
2024年~恒久化 |
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 |
非課税限度額 | 800万円 | 1,800万円 |
投資対象商品 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 (金融庁への届出が必要) |
|
対象年齢 | 18歳以上 |
つみたて投資枠の非課税期間は無期限
新NISAのつみたて投資枠は、非課税期間が無期限化されました。現行のつみたてニーサは長期・積立・分散投資を促すための制度であることから、20年間と比較的長期間の非課税保有期間を設けていましたが、さらに拡充されたことになります。
つみたてNISA | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
非課税期間 | 20年間 | 無期限化 |
つみたて投資枠の投資期間は無期限
新NISAのつみたて投資枠の非課税投資期間は無期限です。そのため、非課税限度枠内で投資対象商品を運用するならば、永久に新規買付が可能です。なお、現行のつみたてニーサは2042年までの制度ですが、新規買付が可能なのは2023年末までです。
つみたてNISA | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
投資期間 | 2042年末まで (新規買付は2023年末まで) |
2024年~恒久化 |
つみたて投資枠の年間投資枠は120万円
新NISAのつみたて投資枠の年間投資枠は120万円と、つみたてニーサの40万円の3倍に拡充されます。ここにも、「国民の安定的な資産形成を促す」という新NISAの意図が現れているようです。
つみたてNISA | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 |
つみたて投資枠の非課税保有限度枠は生涯1,800万円
つみたて投資枠の非課税限度枠は1,800万円です。新NISA全体の非課税保有限度枠は1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までしか利用できませんが、つみたて投資枠では1,800万円をすべて利用できます。
つみたてNISA | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
非課税限度額 | 年間投資枠 40万円×非課税保有期間20年間 =800万円 |
1,800万円 |
新NISAでは、1人あたり1,800万円の非課税限度額が設定されます。この非課税限度額は生涯利用可能であり、「簿価(=取得価額)」で総枠を管理します。簿価管理のメリットは、売却時に「簿価」が減少するので枠を再利用できることです。例えば、運用商品の見直しや一時的な支出のため換金した場合でも、あらためて枠を使えるので、ライフイベントに対応しやすい制度となっています。
出典:楽天証券「2024年からの新NISA制度について 」
つみたて投資枠の対象商品は金融庁の要件を満たした投資信託
つみたて投資枠の対象商品については、現行のつみたてニーサと同様に金融庁が定めた要件を満たした長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託です。
つみたてNISA | つみたて投資枠 | |
---|---|---|
投資対象商品 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 (金融庁への届出が必要) |
年齢は18歳以上
年齢条件に関してはつみたてニーサと同様、つみたて投資枠も18歳以上の成年であれば口座開設ができます。上限年齢がない点も共通です。
2024年に開始される新NISAとは?

新NISAとは、2024年度から新しくなる少額投資非課税制度のことで、以下のような特徴があります。
また、これまでの制度では年間の非課税枠を使い切れなければ、余った非課税枠を翌年に持ち越せませんでしたが、新NISAでは生涯非課税枠の1,800万円を再利用できます。
一旦投資額が1,800万円に達しても、仮に全部売却すれば再度1,800万円の生涯非課税枠が利用できるということです。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
非課税保有期間 | 無期限化 | |
投資期間 | 2024年~恒久化 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税限度額 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円) | |
投資対象商品 | 現行のつみたてNISAと同様 | 上場株式・投資信託等 (整理・監理銘柄、信託期間20年未満、 高レバレッジ型及び毎月分配型 投資信託等は除外) |
対象年齢 | 18歳以上 |
現行NISAの違いは?

改めて新NISAを現行制度と比較すると、以下の表のようにまとめられます。
現行NISA | 新NISA | |||
---|---|---|---|---|
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
非課税保有期間 | 20年 | 5年 | 無期限化 | |
投資期間 | 2042年末まで (新規買付は 2023年末まで) |
2023年末まで | 2024年~恒久化 | |
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 | 1,800万円 (うち成長投資枠は 1,200万円) |
|
投資対象商品 | 長期・積立・ 分散投資に適した 一定の投資信託 (金融庁への届出が必要) |
上場株式・ETF・ 公募株式投資信託・ REIT等 |
現行のつみたて NISAと同様 |
上場株式・投資信託等 (整理・監理銘柄、 信託期間20年未満、 高レバレッジ型及び 毎月分配型 投資信託等は除外) |
対象年齢 | 18歳以上 |
新NISAは併用可能になるため、つみたて投資枠と成長投資枠を合計すると年間360万円まで非課税で投資できます。
この枠を使い切るためには月間30万円の投資が必要になり、年間投資枠を使い切れない人が出てくるでしょう。
現行の制度では、つみたてニーサと一般ニーサの併用ができなかったため、年間投資枠が40万円または120万円と、人によっては物足りなったかもしれません。
成長投資枠と一般NISAの違い
新NISAの成長投資枠は、現行制度の一般ニーサにあたるものですが、主な違いは以下のとおりです。
・非課税期間が5年から無期限化へ
・年間投資枠が120万円から240万円に倍増
・非課税保有限度額が600万円から1,200万円に
・投資対象商品のうち、投資信託が減少傾向
つみたて投資枠とつみたてNISAの違い
新NISAのつみたて投資枠は、現行制度のつみたてニーサにあたりますが、主な違いは以下のとおりです。
・非課税投資期間が20年から無期限化へ
・年間投資枠が40万円から120万円に
・非課税保有限度額が800万円から1,800万円に
2022年12月時点
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | |
会社名 | ![]() |
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取扱銘柄数 | 185本 | 183本 | 178本 | 157本 | 178本 | 158本 | 22本 | 7本 | 3本 | 1本 |
最低投資金額 | 100円 | 100円 | 100円 | 100円 | 100円 | 1,000円 | 100円 | 1,000円 | 1,000円 | 100円 |
積立コース | 毎月 毎週 毎日 |
毎月 毎日 |
毎月 | 毎月 毎日 |
毎月 毎日 |
毎月 | 毎月/毎週/毎日/隔月/3ヵ月ごと/4ヵ月ごと/6ヵ月ごと | 毎月 | 毎月 | 毎月 |
ポイント還元 | Tポイント dポイント Pontaポイント JALマイル Vポイント |
楽天ポイント | Pontaポイント | マネックスポイント | 松井証券ポイント | dポイント | ー | ー | ー | ー |
クレジット カード決済 ポイント還元率 |
三井住友カード 0.5%(※1) |
楽天カード 1%または0.2% (※2) |
au PAYカード 1% |
マネックスカード 1.1% |
ー | ー | ー | ー | ー | ー |
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2022年6月時点
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | ||
証券会社 | ![]() |
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手数料 | 10万円 | 99円 | 99円 | 99円 | 0円 | 99円 | 88円 | 137円 | 152円 | 1,100円 | 1,045円 |
50万円 | 275円 | 275円 | 275円 | 0円 | 275円 | 198円 | 440円 | 524円 | 1,897円 | 1,733円 | |
100万円 | 535円 | 535円 | 535円 | 1,100円 | 535円 | 374円 | 880円 | 1,048円 | 3,795円 | 3,465円 | |
最短口座開設日数 | 翌営業日 | 当日 | 翌営業日 | 当日 | 翌営業日 | 3営業日 | 当日 | 5営業日 | 当日 | 3営業日 | |
一般NISA | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
つみたてNISA | 181本 | 183本 | 152本 | 173本 | 171本 | 1本 | 158本 | 7本 | 22本 | 3本 | |
iDeCo | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
投資信託 | 2,652本 | 2,666本 | 1,252本 | 1,612本 | 1,563本 | 10本 | 1,087本 | 990本 | 516本 | 319本 | |
IPO実績 | 74社 | 122社 | 66社 | 56社 | 42社 | 20社 | 81社 | 取扱あり | 50社 | 30社(主幹事) | |
外国株 | 6ヵ国 | 9ヵ国 | 2ヵ国 | 1ヵ国 | 1ヵ国 | × | 2ヵ国 | 4ヵ国 | 19ヵ国 | 17ヵ国 | |
米国株 | 4,577銘柄 | 6,000超銘柄 | 5,000超銘柄 | 497銘柄 | 1,058銘柄 | × | 121銘柄 | 734銘柄 | ○(銘柄数記載なし) | 133銘柄 | |
スマホアプリ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | |
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2022年6月時点
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 | |
証券会社 | ![]() |
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手数料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 | 2,860円〜 | 137円~ | 50円~ | 1,100円~ | 1,045円~ |
国内株式 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
海外株式 | 6ヵ国 | 9ヵ国 | 2ヵ国 | × | × | 4ヵ国 | 2ヵ国 | × | 19ヵ国 | 17ヵ国 |
投資信託 | 2,652本 | 2,666本 | 1,252本 | 1,612本 | 1,563本 | 990本 | 1,087本 | 10本 | 516本 | 319本 |
NISAでのIPO対応 | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
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成長投資枠のメリットとデメリット

新NISA「成長投資枠」のメリットと想定できる活用方法、およびデメリットは以下の通りです。
メリット1:配当金狙いの株式投資も長期間非課税の恩恵が受けられる
配当金を狙った株式投資をする際にも、非課税期間が無期限になったことで恩恵を受けられるようになりました。
新NISAの成長投資枠は投資信託の対象商品が減少しますが、上場株式については、整理銘柄や監理銘柄を除けば引き続き投資できます。
現行の一般ニーサも株式投資で得た配当金は非課税でしたが、非課税期間は5年しかなく、年間投資枠も120万円とやや物足りないものでした。
しかし、新NISAの成長投資枠は非課税期間が無期限で非課税限度額が1,200万円であることから、配当金狙いの株式投資をしている人にとってはメリットになるでしょう。
メリット2:大きな利益が出ても非課税
成長投資枠での投資で大きな利益が出たとしても、課税されないというメリットもあります。
成長投資枠はリスクもありますが、大きな利益を狙える可能性のある商品も含まれています。成長投資枠は無期限で運用できることから、大きなリターンを狙えることに加え、長期運用でさらに利益拡大を狙えるかもしれません。
また、非課税限度額も大きいことから、十分に活用すれば多大な運用益非課税のメリットを享受できるでしょう。
メリット3:リスクの高い株式投資も長期・積立投資ができる
新NISAの成長投資枠は非課税期間が無期限なので、上場株式投資を長期・積立投資をすることでリスクを抑えた運用ができるというメリットがあります。
現行の一般ニーサは、その年の年間投資枠の範囲内であれば積立で買い付けることもできます。しかし、現行の非課税期間が5年なので、長期・積立投資のメリットを生かせませんでした。
ところが、成長投資枠は非課税期間が無期限なので、長期・積立のメリットを最大限に活用でき、1つの企業を末永く支援していくという投資も可能です。
デメリット1:投資信託の選択肢が限られる
株式投資信託うち、新NISAの成長投資枠の対象商品は現行より4割程度まで制限されるため、投資信託の選択肢が限られるというデメリットがあります。
新NISAはテーマ型投信をはじめとした信託期間20年未満や高レバレッジ型、毎月分配型投資信託は投資対象外となります。「国民の安定的な資産形成を促す」という目的があるためやむを得ませんが、商品の選択肢が狭まるのはデメリットです。
デメリット2:商品知識がないと信託報酬が高い商品を選ぶ可能性がある
投資信託についての知識がないと、信託報酬の高い成長投資枠の商品に投資してしまう可能性があります。
つみたて投資枠は信託報酬が低い投資信託が多いことから、金融機関から信託報酬が高い成長投資枠の投資信託を積極的に紹介される可能性もゼロではありません。
デメリット3:十分な商品知識が必要
成長投資枠の対象商品は、選択肢が多いだけでなくリスクの高い商品も含まれているため、十分な商品知識が必要です。
投資初心者で成長投資枠を活用してみたいならば、つみたて投資枠からスタートして投資経験を積み、徐々に成長投資枠の比率を高めていくという投資方法をおすすめします。
つみたて投資枠のメリットとデメリット

新NISA「つみたて投資枠」のメリットと想定できる活用方法、およびデメリットは以下の通りです。
メリット1:現行NISAよりも長期投資のメリットが生まれやすい
つみたて投資枠は非課税期間が無期限なので、長期投資のメリットを最大限受けられます。
現行のつみたてニーサは、20年経過すれば課税口座に移して引き続き運用できますが、長期運用するならば、無期限で非課税運用できた方が最終的な利益は大きくなりやすいでしょう。
メリット2:非課税枠を使って資産寿命を延ばす運用ができる
老後の生活資金の資産寿命を少しでも伸ばしたい人にとって、運用益が非課税になるメリットは大きいでしょう。

例えば、手元に1,000万円の現金を持っていて毎月10万円ずつ取り崩していくと、100ヵ月で手元資金が0円になります。しかし、この1,000万円を2%の利回りで運用しながら取り崩すと、理論上は手元資金が0円になるまでの期間を約109ヵ月に延ばすことができます。
このように、手元資金を運用しながら取り崩すことで手元資金の減少を緩和させることを、「資産寿命を延ばす」といいます。
メリット3:非課税保有限度額1,800万円までフル活用できる
新NISA全体の非課税限度額は1,800万円で、つみたて投資枠は1,800万円すべてを使用できます。
つみたて投資枠の1,800万円という枠は、毎月3万円を50年間積み立ててようやく使い切れるほどの金額です。ボーナスなども活用して積極的につみたて投資枠を活用すれば、運用益非課税のメリットを受けながら効率的に老後資金の準備ができます。
デメリット1:税金の軽減効果はiDeCoに劣る
つみたて投資枠の税制優遇による税金の軽減効果は、iDeCoに劣るというデメリットがあります。
iDeCoは個人型確定拠出年金と呼ばれる制度で、以下のような特徴があります。
- 掛金が全額所得控除になる
- 運用益に税金がかからない
- 運用した資産を受け取るときにも税制優遇が受けられる
・iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、確定拠出年金法に基づいて実施されている私的年金の制度で、加入は任意です。
・iDeCoはご自分で申し込み、掛金を拠出し、ご自分で運用方法を選んで掛金を運用します。 掛金とその運用益との合計額を給付として受け取ることができます。
・iDeCoでは、掛金、運用益、そして給付を受け取るときに、税制上の優遇措置が講じられています。
出典:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の特徴」
デメリット2:短期で大きく増やしたい人には向いていない
つみたて投資枠の対象商品は、長期・積立・分散投資に適した商品であることから、短期間で大きく資産を増やすことはできません。資産を数年単位の短い期間で増やしたい人は、成長投資枠の商品やFXや先物取引といったハイリスク・ハイリターン商品への投資を検討する必要があります。
デメリット3:非課税保有限度額を使いすぎてしまう
つみたて投資枠の非課税限度額は1,800万円と高額なため、投資にお金を使い過ぎてしまう恐れがあります。
新NISAの年間投資枠は月120万円、非課税限度額は1,800万円と非常に高めに設定されています。しかし、いくら税制優遇が受けられるといっても、非課税限度額の枠を無理にフル活用しようとして、日常生活を圧迫しては本末転倒です。

成長投資枠とつみたて投資枠、どっちがいい?

新NISAを始める場合、成長投資枠とつみたて枠どちらを選んだらよいのでしょうか。ここでは、成長投資枠に向いている人、つみたて投資枠に向いている人、併用が向いている人の特徴について紹介します。
成長投資枠に向いている人
・ある程度投資に経験のある人
・配当金狙いで株式投資をしている人
成長投資枠は上場株式も含めて対象商品数が多く、比較的リスク・リターンが大きいことから、ある程度投資経験がある人に向いています。
ただし、成長投資枠は非課税期間が無期限化されるため、上場株式やリスク・リターンが大きい投資信託を定期的かつ長期的に買い付けることで、非課税の恩恵を受けながら長期・積立投資でリスクを抑えた投資をすることも可能です。
配当金狙いで株式投資をしている人も、配当金に税金がかからないため成長投資枠に向いています。
つみたて投資枠に向いている人
・資金が必要になる時期まで十分な準備時間がある人
・住宅ローンの頭金や子どもの教育資金など少しでも効率的に準備したい人
つみたて投資枠の対象商品は長期・積立・分散投資に適した投資信託に限定されています。そのため、老後生活資金の準備など、実際に資金が必要になる時期まで十分な準備時間がある人は、つみたて投資枠の活用が向いています。
しかし、老後生活資金の形成についてはiDeCoの税制メリットが大きいことから、iDeCoを優先した方が効率的に準備できるかもしれません。
つみたて投資枠は非課税限度額が再利用可能なので、住宅ローンの頭金や子どもの教育資金を少しでも効率的に準備したい人もおすすめです。
iDeCoが老後生活資金の準備に特化しているのに対し、新NISAのつみたて投資枠は、比較的リスク・リターンを抑えてさまざまな資金を準備する際に活用できるでしょう。
成長投資枠とつみたて投資枠の併用に向いている人
成長投資枠による株式投資の配当金を得ながら、つみたて投資枠でコツコツと資産を形成したい人には、併用が向いています。
成長投資枠とつみたて投資枠をどれくらいの割合で組み合わせるのかは、その人の資産状況や投資目的、投資経験などによって異なります。

新NISAは将来いくらになる?

新NISAを十分に活用すると、将来いくらになるのでしょうか。成長投資枠とつみたて投資枠の2つのパターンでシミュレーションした結果を紹介します。
成長投資枠で投資した場合、将来いくらになる?
まずは、成長投資枠で投資したケースでシミュレーションしてみましょう。
120万円を運用した場合
一般ニーサと新ニーサの成長投資枠を比較するために、年間投資枠である120万円を運用したケースでシミュレーションしてみました。
利回り3.0% | 利回り5.0% | 利回り7.0% | |
---|---|---|---|
5年後 | 約139万円 | 約153万円 | 約168万円 |
10年後 | 約161万円 | 約195万円 | 約236万円 |
20年後 | 約217万円 | 約318万円 | 約464万円 |
30年後 | 約291万円 | 約519万円 | 約913万円 |
40年後 | 約391万円 | 約845万円 | 約1,797万円 |
50年後 | 約526万円 | 約1,376万円 | 約3,535万円 |
利回り3.0%で複利運用した場合、5年後は約139万円となり元本120万円に対して約19万円が利益となります。一般ニーサの非課税期間は5年なので、5年目までの利益については新NISAと同じです。
新NISAは非課税保有期間が無期限のため、50年非課税で運用することも可能です。仮に元本120万円、利回り3.0%で50年運用した場合、元本120万円に対し利益は約406万円で、この406万円に税金はかかりません。
ここで紹介しているのはあくまでも表示した利回り通りに推移した場合のシミュレーションですが、長期運用をするほど資産が雪だるま式に大きくなっていることが確認いただけるでしょう。
毎月10万円を積立投資した場合
現行の一般ニーサや成長投資枠は積立投資もできるため、毎月10万円を積立投資した場合のシミュレーションも見てみましょう。
利回り3.0% | 利回り5.0% | 利回り7.0% | |
---|---|---|---|
5年後 (元本600万円) |
約630万円 | 約651万円 | 約672万円 |
10年後 (元本1,200万円) |
約1,358万円 | 約1,479万円 | 約1,611万円 |
利回り3.0%で5年間運用した場合、元本600万円が630万円に増加しますが、ニーサで運用すれば利益額30万円に税金はかかりません。ただし、一般ニーサは非課税限度額が600万円を超えると課税対象となります。
新NISAなら非課税保有限度額が1,200万円なので、一般ニーサよりもさらに資産を増やせる可能性があるうえ、利益が出た場合の非課税メリットも一般ニーサよりも大きくなります。
つみたて投資枠で投資した場合、将来いくらになる?
次につみたて投資枠で、毎月3万円ずつ投資をした場合のシミュレーション結果を見ていきましょう。
利回り1.0% | 利回り3.0% | 利回り5.0% | |
---|---|---|---|
5年後 (元本180万円) |
約182万円 | 約189万円 | 約195万円 |
10年後 (元本360万円) |
約375万円 | 約407万円 | 約443万円 |
20年後 (元本720万円) |
約789万円 | 約954万円 | 約1,165万円 |
30年後 (元本1,080万円) |
約1,246万円 | 約1,690万円 | 約2,340万円 |
40年後 (元本1,440万円) |
約1,752万円 | 約2,678万円 | 約4,254万円 |
50年後 (元本1,800万円) |
約2,310万円 | 約4,006万円 | 約7,369万円 |
現行のつみたてニーサは非課税保有期間が20年でそれを超えると課税対象となります。このケースの場合、利回り3.0%で運用すると元本720万円に対する利益額が234万円までは非課税となり、その後投資を継続すると利益は課税対象となります。
一方、新NISAのつみたて投資枠は、非課税期間が無期限で非課税限度額が1,800万円なので、毎月3万円ずつ積み立てれば50年間など超長期の積み立て運用も可能です。
利回り3.0%で50年間運用した場合、元本1,800万円に対して利益が2,206万円となりますが、この利益に税金はかかりません。シミュレーションを見ると、長期運用をするほど資産が大きく増えることが分かります。
ここでは毎月3万円を積み立てた事例を紹介していますが、若いうちから少額でも時間をかけて複利運用を心がければ、大きく資産を増やすことが可能です。例えば、毎月1万円を利回り3.0%で50年運用した場合、元本600万円に対して735万円の利益となります。
新NISAの成長投資枠とつみたて投資枠の違いについてのQ&A

■保有資格
CFP
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