危険とは無縁な初心者にもわかりやすい瞑想法
さまざまな効果がある「瞑想」ですが、最もシンプルで、初心者にも簡単にできる瞑想法としては、ストレス・コントロールの権威であるマイク・ジョージ氏の「五段階瞑想マスター法」がおすすめです。これは、煩雑な日常の中で忘れがちなポジティブさや、勇気、自信を無意識から引き出してくれるもの。アメリカでは、広く「自己実現」の基礎訓練に使われている瞑想法です。
瞑想を行うときは、温度や照明を自分の心地が良い状態に調節した部屋で行うと良いでしょう。あとは、くつろいだ姿勢で座り目を閉じるだけ。5分、10分程度でも、この瞑想によって、ざわついた心を穏やかにリフレッシュすることができますよ。
マイク・ジョージの「五段階瞑想マスター法」
①静かで落ち着ける場所で目を閉じて、外からのあらゆる事物から、自分の精神的なエネルギーを引き離すことをイメージします。
②自分の額の中心に、意識を集中させるポイントを作ります。この一点が星になり、そこから明るい光を周囲に放っているイメージ。ポジティブなエネルギーが自分の中に満ちてくるイメージを楽しみます。
③静かな心のまま、自分自身の長所、美点など、ポジティブな点を探し、自分の状態に感謝をします。たとえば「私の心は今落ち着いていて、とても楽だ」「私は仕事をすべてうまくこなしている」など。どんなことでも良いので自分を褒めましょう。
④ポジティブなエネルギーを、自分の中の心の平穏さに集中させます。自分や周囲が穏やかで平和であることをイメージし続けます。心の中にイメージで「幸せの花」を植え、水をやってもよいでしょう。この段階の瞑想では平和、平穏という想いに暖かく包まれるような感覚になってきます。
⑤自分の内なる静かな意識のすべてを、平和、平穏、幸せといったポジティブな感覚で満たします。イメージの中で「幸せの花」が咲き、それを育み、全身全霊でその花を愛でて、味わいましょう。
⑥静かに目を開けて、終了です。
※参考:『LEARN TO RELAX リラックスのしかた』マイク・ジョージ著(プロトギャラクシー)
ジョン・カバットジンの「マインドフルネス瞑想法」
「今」に重きを置く瞑想を、マインドフルネス瞑想といいます。今、自分が何を考えているのか。今、自分はどうしてこう思ったのか。自分のありのままの状態に気づくことで、心を整えます。アメリカから始まり、現在ではグーグル社など有名企業でも取り入れられており、仏教的な観察瞑想方法を取り入れつつ宗教色を減らし、瞑想を8週間のプログラムを中心にメソッド化したものです。
マインドフルネス瞑想は、一般的に20~30分間かけて行う方法が良いとされています。しかし、慣れるまでは10分程度で大丈夫です。ここではメソッドの中から、基本である姿勢と呼吸について抜粋します。
○調身
あぐらをかくような形で座り、坐骨で座ることを意識します。背骨がまっすぐになるよう、首や頭がスッと伸びることを感じて、適度に顎を引きます。
○調息
身体の隅々にまで息を巡らせるイメージを持ちます。腹式呼吸で息をします。ゆっくりと息を吸いながらお腹を膨らませ、ゆっくりと息を吐きながら徐々にお腹を凹ませていきます。
○調心
心を整えます。呼吸の吸う、吐く、に集中します。呼吸のリズムに合わせて数を数えるといいかもしれません。
他にも様々な瞑想法が
「瞑想」が危険なものではないとわかったとして、効果についてまだピンと来ない方もいるかもしれません。試しに1分間瞑想にチャレンジしてみませんか?
1分間瞑想は、丁寧な呼吸を心掛けます。1分間をたっぷり使うことを意識しましょう。 まずは、息を4秒間でゆっくりと吸いこみます。4秒で吸ったあと、8~16秒間かけてゆっくりと息を吐きます。1分間だと、3~5回繰り返すことができます。
これだけ長く息を吐き続けるのは案外大変なことで、慣れが必要です。特に、ストレス社会に生きる私たちは呼吸が浅くなりがちです。深く呼吸をし、自律神経を整えることで、心身の調子を整えることができます。
生活に取り入れやすく、注目されているものに「観察瞑想」があります。観察瞑想とは、自分の感覚や行動、心に浮かんだ考えを観察する、というものです。
たとえば、20分間座って瞑想をするとします。何も考えないというのは案外難しく、ただ座っているだけでも、いろいろなことが頭に浮かんでしまいます。そういったとき、「考えが浮かんできたな」と、思考が浮かんだという事実それ自体を観察します。
大事なのは、それに対して「これは良い考え、あれは悪い考え」といった評価や判断を下さないことです。
この「心を観る」タイプの瞑想を行っていると、徐々に仕事や人間関係に対するモヤモヤに心がとらわれにくくなっていきます。
また、息を吸う・吐くことに注意を向ける「集中瞑想」にヴィパッサナー瞑想というものがあります。ヴィパッサナー瞑想は、禅などの瞑想と違って「無になること」を目指す瞑想ではありません。瞑想中に思考や感情が浮かんで一時的に意識がとらわれるかもしれませんが、そのたびに気づいて鼻先の呼吸にまた戻るという手法です。
①床に座布団や布を敷き、あぐらで座ります。
※骨盤から背筋をすっと伸ばす姿勢がつくりやすい“あぐら”は、足のしびれを予防し、安定して長時間座るためですが、自分にとって無理のないスタイルでOKです。
②手は下腹あたりにそっと重ねておきます。
③目を閉じて鼻から息をゆっくり吸い込みながら鼻先を意識します。そして、あなたにとって空気が鼻腔を通る『感覚』を最も感じやすい部分をひとつ決めましょう。そこで空気の流れを感じます。そしてまた息が出ていくときの鼻先の『感覚』を感じましょう。
④空気が入ってきたことと出ていくことを鼻先の一点で『感じ』、そして『呼吸をしていることに気づく』。ヴィパッサナー瞑想ではこの工程をひたすら繰り返します。
⑤瞑想を始めると1分もしないうちに思考や感情が生まれます。それに気づいたらその感情や思考にとらわれず、そのまま静かに鼻先の呼吸に感覚を戻します。これを時間が許す限り繰り返してください。瞑想は1日5分程度でOKです。
スマホの瞑想アプリでもっと簡単に「瞑想」できる
簡単な「瞑想」の方法をご紹介しましたが、それでもまだ、なんとなく難しいと感じる人もいるかもしれません。本格的な瞑想ができなくとも、1日5分でも良いので、騒々しい日常を離れて頭と心を静かにする時間を持つのは私たちにとって大切なこと。ストレス過多で下がりがちな免疫力を高め、精神的な疲労を軽くするためにも瞑想を取り入れてみてください。
最近はスマホ用の「瞑想アプリ」がたくさん出ています。ぼんやり焚き火の風景を眺めてリラックスするアプリや、川のせせらぎや小鳥のさえずりなどの自然音を聞きながら、目を閉じて「プチ瞑想」が楽しめます。瞑想アプリで検索してると、驚くほどたくさんヒットします。
関連書籍を読んでも、これが正しい解釈か自信がない方。ヨガスタジオなどの瞑想クラスなどに通う前に、どんなものなのか試してみたい方。そんな人にとって瞑想アプリは気軽にダウンロードするだけで瞑想のやり方をサポートしてくれるので、瞑想を行うハードルを下げてくれます。しかも、無料で始められます。音声ガイダンスで呼吸法や姿勢をレクチャーしてくれるコンテンツが、およそ5~15分。大げさな準備をせずに、隙間時間に取り組むことができ、習慣化にもつながります。
また、YouTubeで「Meditation music」と検索 すると、バリのマッサージ屋さんで聴こえてきそうなスローテンポな音楽がヒットします。小さなボリュームで雰囲気を演出すると、自宅でのリラックスタイムに瞑想を取り入れる方は、より瞑想がやりやすくなるのではないでしょうか。
また、同じくYouTubeで、「Meditation tutorial」と検索することもおすすめです。日本や海外の瞑想に詳しい人が、解説動画をアップロードしており、概念的な学習も可能です。もちろん動画の多くは、声でガイダンスをしてくれているので、動画を再生しながら実践することができます。