偏った情報で「瞑想」を判断すると危険
「瞑想」に偏見を持ち、偏った情報だけで判断していると、それこそ本当に「危険」です。たとえば、怪しげなスピリチュアルパーティーや、合宿瞑想といった集まりの誘いでは、「瞑想をすれば、願望が叶う」「瞑想で幽体離脱やスピリチュアルな不思議体験ができる」などと興味を持たせようとするものもあるようです。いわゆる瞑想商法と呼ばれるもので、「瞑想」が何なのかきちんと理解していないと、そういったあこぎな商法にひっかかる危険があるでしょう。
瞑想は、魔法のような神秘体験ができるといった類のものではありません。誰だって、静かに意識を集中させればできるリラックスの「技法」であるということを忘れないでいてください。
「瞑想は、ヨガの教室で教えてもらってからやっています。しばらく息を吸うこと、吐くことに集中すして、余計なことを何も考えない時間を持つ。最初は難しかったですが、考えることをやめて頭をからっぽにするとスッキリするし、贅沢な時間だなぁと思えます」(36歳・サービス業)
「最近瞑想アプリで「プチ瞑想」を始めました。昔、瞑想はヤバイ宗教や占い師が洗脳に使うと雑誌で読んだことがあって「怖いもの」というイメージがありました。でも、イチローや本田圭佑も瞑想してると聞いて自分も集中力を養いたくて。アプリで瞑想を試してみて「なんだ、こんなことだったのか」とやっとわかりました。確かに脳が休まるので、集中力が上がります」(27歳・エンジニア)
アップル社の故・スティーブ・ジョブズなど著名人が坐禅や瞑想をライフスタイルに取り入れていることが明らかになり、脳画像研究などさまざまな技術が発達していくなかで、たくさんの研究が行われ、「瞑想は科学的に効果がある」と証明されてきています。
特にアメリカの脳医学博士であるジョン・カバットジンが考案した、「マインドフルネス」という瞑想の一種が有名です。マインドフルネスは科学的根拠に基づいたものでとても効果的とあって、今アメリカでは瞑想産業の市場規模は4兆円にも昇ると言われているほど成長しています。マインドフルネスは、GoogleやFacebookといった大企業でも、実際に取り入れられているものです。
「瞑想」から得られる6つの効果とは
日々忙しく仕事や家事に追われていると、知らない間にストレスが溜まっているものです。
疲れがたまるとつい感情的になったり、雑念や嫌な考えがぐるぐると頭の中に渦巻いてつらくなるなったり、うまくいかないことがあると悲観的なことばかり考えて、やるべきことに手がつかなくなるなんてこともあるはず。
そんなときに本来の自分を取り戻す方法が「瞑想」です。ほんの5分の瞑想でもリフレッシュ効果が高いため、数々の有名企業が取り入れる理由もわかりますよね。繁忙な職種ほど、瞑想は健康のために必要です。ストレスフルな毎日で健康にいるためには、むしろ瞑想を取り入れない方がよっぽど危険だと言っても過言ではないでしょう。
「瞑想」は、頭の中の細々とした雑念をすっきり片付けて、集中力を上げる技術。瞑想によって得られるメリットは次の6つです。
①リフレッシュする力
瞑想には大勢の人と対応する気疲れ、雑音や雑念で途切れがちな気力を回復させる効果があります。
瞑想中に脳から分泌されるα波は、自律神経を整えストレス軽減に役立つと言われています。リラックスして心を楽にすることで、再び内面的なエネルギーが湧いてくるのです。
②仕事の効率化
気が散って進行が遅くなってしまいがちな作業の合間に瞑想を取り入れると、集中力が上がったと言う実験結果が見られます。
頭の中を一旦リセットすることができるため、再び新鮮な気持ちで作業にとりかかることができるからです。細かい作業や頭を使う仕事に携わっているなら、仕事の効率化に瞑想は欠かせません。
(出典:マインドフルネスでも用いられる「ヨガ・メディテーション」がもたらす科学的根拠を実証した、具体的実験研究結果として、4つの大学の事例
③ポジティブな力
瞑想は特に繁忙でイライラ、ピリピリしがちな職場、対人関係がギスギスしがちな職場で働く人に特に人気があります。
瞑想後は不安のレベルが下がります。不安が減ると、自分の思考をネガティブに持っていく要素が減るだけではなく、疲労感からの感情的な暴走を防ぎ、ポジティブな力を与えることが可能です。
また、継続して瞑想に取り組むことで、日常で見過ごしそうになる小さな幸せでも感動するほど感性がとぎすまされると言われています。静かな心のまま、自分自身の長所、美点など、ポジティブな点を見つけ、自己肯定感を高めましょう。
④認識力の強化
トラブルや突発的な出来事で感情が揺さぶられたとき、瞑想で心を落ち着かせることができます。また、瞑想で心を整えることに慣れると、五感を使って自分の身の回りの様々なことを観察できるようになります。それによって感情的になったり、難しく考えすぎることなく、ものごとの本質を正しく理解し、解決するための認識力を強化できるのです。
私たちはたくさんの情報と便利な道具の中で暮らすことと引き換えに、五感が鈍くなってきていると言われています。瞑想によって脳をしばし休ませることで、注意力や思いやりなどの感覚的な改善を促しましょう。
⑤正しい選択力
あふれかえる情報量の中から、確実なものをチョイスするとき。フェイクニュースや噂に騙されたり、迷ったりするのを防ぐためにも、瞑想は有効です。頭の中の先入観や勘違い、雑多な情報を、瞑想で一旦遮断してからとりかかると、自分のとるべき態度や選択肢を正確に把握できるようになります。
ビジネスマンであれば成功への道を見極め、クリエイターであれば新しいインスピレーションを得ることに繋がります。
⑥集中力
瞑想の最もすぐれた効果は、集中力を与えてくれることです。煩雑なことに気が散ったり、無関係な問題を排除することで、集中力が高まり、成果をあげられるようになります。仕事だけでなく、勉強にも瞑想は優れた効果を発揮します。
「昔座禅を組みにお寺に行ったとき、どんなことでも、今やっていることに集中するのが「瞑想」だとお坊さんに聞いたことがあります。それから、座禅したときのイメージを思い出しながら、無心に雑巾掛けをしたり、椅子に座って瞑想したりする時間をとっています。頭の中を一旦リセットすると、脳に空き容量ができるというか、頭の中がすっきり片付いた感じになって仕事がはかどります」(40歳・デザイナー)
スポーツ選手が素晴らしいパフォーマンスをしている時、「ゾーンに入った」といいますよね。瞑想によって「今」という瞬間に集中することで、リラックスして雑念なく、自分の力を最大限に発揮できるようになります。それがたまたまではなく、意識的にゾーンに入れるようにする一種の訓練が瞑想です。