古くは、松代藩の真田一族や、小林一茶も愛した湯田中温泉。奥信州の山懐に抱かれた宿「よろづや」は、お風呂と松籟荘(しょうらいそう)という施設が国の登録有形文化財に指定されています。自慢の料理に舌鼓を打ち、歴史ある湯に浸かるとき、身も心も心地よくほどけてゆく夜となります。
湯田中温泉とは?
東京駅から電車で約2時間の場所にある湯田中温泉は、長野県下高井郡に位置し、北信州でも屈指の湯量を誇ります。真田松代藩の領地だった湯田中は、代々のお殿様が湯治好きだったことから、時にはお忍びで、時には「御境廻り(領内の巡視)」の名目で、家臣を率いて、各宿に分宿していたそうです。また、北国街道の発展後は、善光寺詣での後の精進落としの湯として名を馳せました。
俳人・小林一茶の常宿が湯田中にあったことなどからも、古くから癒しの温泉郷であったことがわかります。一帯の温泉と合わせると、自噴している温泉としては、長野県で最も多いと言われています。
地区や宿ごとに、異なる源泉を使用しているため、宿泊や立ち寄り湯など、様々なお湯を楽しめるのも魅力です。上の写真の傍らにかけられている「温泉地の共同浴場番付」を見ると、鳴子温泉や野沢温泉を押さえ、西の道後温泉と並んで、東の横綱に輝いています。
「湯田中温泉 よろづや」の魅力
登録有形文化財の松籟荘(しょうらいそう)
「よろづや」の創業は寛政年間、200年以上の歴史を誇る老舗旅館です。木造数寄屋造り3層の松籟荘と鉄筋コンクリート造の本館とで成り、現在では入手困難な銘木を使用して建てられた松籟荘は、昭和14年(1939年)、現在の金額にして3億円もの費用をかけ完成しました。平成15年には、国の登録有形文化財に指定されています。
本館は快適なくつろぎ空間
鉄筋コンクリート8階建ての本館は、機能的かつ快適。明るく広々としたフロントでチェックインを終えると、吹き抜けのロビーラウンジで、お菓子とお抹茶のおもてなしが。ここから、寛ぎタイムが始まります。
館内各所には、アートランプや松本民芸の家具、小物などが配されていて、散策気分が楽しめます。スタッフの方々の笑顔と心遣い、型にはまらない気さくな受け答えにも、ほっこりとした温かさを感じることでしょう。