東京・日野市にある多摩動物公園。都内とは思えないほど自然豊かな広い園内には、約300種の動物たちが暮らしています。1日では回りきれないほど広大な動物園で、「これだけは見ておきたい」と編集部が選んだ15の動物たちを紹介します。
多摩動物公園とは?
多摩モノレールと京王動物園線の「多摩動物公園駅」の目の前にある多摩動物公園。約50ヘクタールを超える広さを持ち、1958(昭和33)年に誕生しました。
多摩丘陵と呼ばれる起伏のある地形の豊かな自然を生かし、できるだけ檻を使わずに自然に近い姿で暮らす動物たちの様子を見ることができるのが特徴。敷地内に残された雑木林では、タヌキやノウサギなどの野生の生き物が、今も多数生息しています。
多摩動物公園は動物の生息地域ごとに、アフリカ園・アジア園・オーストラリア園・昆虫園の4つのエリアに分けられています。世界に先駆け運営してきたライオンバスをはじめ、トキやニホンコウノトリなど、希少動物の保護増殖に積極的に取り組んでいることでも知られています。
正門ゲートを入ってすぐ左にある建物「ウォッチングセンター」では、動物たちの情報を発信しています。
ウォッチングセンター内では、動物をより深く知るための観察シートなども用意しているので、見学前に立ち寄ることをオススメします。
多摩動物公園を楽しむためのコツ
多摩動物公園は、多摩丘陵の自然も一緒に楽しむことのできる施設。ただ、園内は広く、坂も多いため、一日ですべての動物を見て回るのは至難の業。ホームページやTwitterなどで最新情報を収集し、お目当ての動物をセレクトしておくのがコツ。そこで今回は、取材班がおすすめする「必見の生き物」を15種紹介します。
※健康管理上16時をすぎると見られなくなる動物がいます。また、動物の健康状態や天候、飼育管理上の都合により、公開中止あるいは公開予定が変更になる場合があります。
「アジア園」で必見の動物
アジア園は、日本に暮らすニホンコウノトリやタヌキなどをはじめ、トラやオオカミ、ユキヒョウなど、アジア各地の動物が飼育されるエリア。来園者がケージ内に入り、鳥類を間近に観察できるウォークインバードケージも人気です。
1.ボルネオオランウータン
多摩動物公園でぜひとも訪れたいのが、丘陵の一番奥にあるボルネオオランウータン舎。オランウータンはゴリラについで大きな類人猿ですが、樹上生活に適しており、長い腕で枝から枝へ渡って森のなかを移動するのが特徴です。
ボルネオオランウータン舎と約150m離れた飛び地放飼場をワイヤーでつなぐスカイウォーク・タワーでは、まるで森の木々を枝渡りするようなオランウータン本来の生態に近い様子を間近に観察することができます。
2005年に誕生したスカイウォーク・タワーは、散策する通路の真上を通る箇所も。運が良ければ、移動するオランウータンの姿を真下から見ることができます。
2020年10月に釧路市動物園から「ひな(メス)」が来園し、10月末には「ホッピー(オス)」が生まれるという嬉しいニュースがありました。
飼育担当者によると、動物園で複数のオランウータンを同居させているのは珍しいのだとか。多摩動物公園では赤ちゃんから高齢個体まで様々な年齢層のオランウータンを飼育しており、年齢による違いや個体同士の関わりなども見どころとなっています。
※スカイウォーク・タワーは冬季休業となります。最新情報はオフィシャルHPでご確認ください。
2.ユキヒョウ
ライオンやトラ、サーバルなどネコ科の動物は人気がありますが、中でも、ふわふわの毛並みと長くて太い尻尾を持つ特徴的な姿で人気なのがユキヒョウです。
ふわふわの毛並みは、ネパールや天山山脈、パミール、カシミールなど、内陸アジアの山岳地帯の寒さに適応するためで、長くて太い尾は急な斜面を移動するときに体のバランスを保つのに役立つのだそうです。他のネコ科の動物よりも活発に動くので、身体能力の高さにも注目です。
3.シフゾウ
頭はウマに、角はシカに、体はロバに、ひづめはウシに似ていますが、それらのどの動物でもないことから「シフゾウ(四不像)」と呼ばれるようになったといわれる動物。
かつては中国に数多く生息していましたが、1800年代後半には野生では絶滅したと考えられています。その後イギリスの動物園で繁殖させた個体が増え、現在では中国の保護区内で野生への復帰が進められているそうです。
多摩動物公園では、生え変わりのため抜け落ちた角も展示するなど、動物好きをワクワクさせるような仕掛けも楽しむことができます。
4.イヌワシなどの猛禽類
「フライングケージ」と呼ばれる巨大なドーム型の施設では、イヌワシ、オジロワシ、オオワシなどの天然記念物をはじめ、ダルマワシなどの猛禽類が飼育されています。
猛禽類の大きな体に相応しい広々としたケージを羽ばたく姿は、力強さと美しさを感じさせます。猛禽類は野生でも繁殖が難しい鳥ですが、多摩動物公園ではイヌワシの繁殖にも力を入れ、自然へと還すバックアップ事業にも貢献しています。
立体的なケージの地形には池や滝が作られ、猛禽類たちが気持ちよさそうに水浴びをしていました。
5.レッサーパンダ
多摩動物公園の人気者の代表がレッサーパンダです。野生のレッサーパンダは海抜1000m以上の山の中で暮らしているため、木登りが大の得意。
飼育場にはたくさんの樹木が植えられているので、木の上で活動するレッサーパンダの姿をたっぷりと見ることができそうです。
2020年に同園で生まれ大きなニュースとなった、レッサーパンダの赤ちゃんの「リアン」と「フラン」(ともにメス)は、7月20日で1歳になりました。体も母親と同じくらいの大きさになったそうです。
6.ニホンコウノトリ
日本を含むアジア東部の草原や湿地に生息しているニホンコウノトリ。明治期になると国内では、乱獲や都市開発などの影響を受け激減。現在は絶滅が心配され特別天然記念物に指定されています。
日本各地で熱心な飼育が続けられていますが、多摩動物公園では「見合いエリア」「ストックエリア」「子育てエリア」を個別に設けて手厚く飼育されています。1988年にここ多摩動物公園で初めて繁殖に成功。以来毎年のようにヒナが誕生しています。