古代ローマ帝国に作られてから、今も維持され、使用されているアッピア街道について紹介します。いまだに当時のままの姿が残る、高い技術を誇るアッピア街道を散策しながら、周辺の見所に立ち寄ってみませんか。
アッピア街道とは
アッピア街道は、ローマから南へ一直線に延びる道で、街道の女王と呼ばれています。西洋の歴史上初の舗装道路と言われており、ローマの役人アピウス・クラウディウス・カエクスが西暦前312年ごろから建設に着手しました。彼の名前からアッピア街道という名称が付けられたそうです。
ローマのアッピア街道は幅が約5.5m。ローマから最終的には約580km先に位置する、港町ブリンディジまで延長されました。
驚きの建築技術
アッピア街道は、非常に綿密な設計と舗装工事により、2300年以上の時を経た今もなお使用されているだけでなく、街道の美しさが保たれています。
この道路は、まず地面を深く掘ってから、一番下に大きな岩、中間にセメントで固めた小さい石、上に砕いた石を重ね三層にし、さらに表面に大きな平たい溶岩を敷いて舗装しています。
道路の中心は、少し高く盛り上がっていて雨水が流れるようになっており、道の両側には排水溝も備えています。
アッピア街道沿いの見所
アッピア街道沿いには、レストランや休憩所、様々な店、宿泊施設などがあり、少しずつ歩きながら旅を続けられるようになっています。所々に残っている遺跡を見ながら、当時の様子を想像して散歩できます。
写真の左側に見える、大きな岩石の道がオリジナルで、右側の小さな四角い石の道は補修された部分です。
マイルストーン
「すべての道はローマに通ず」という言葉が生まれた、ローマの公共広場”フォロ・ロマーノ”。そこには、ローマ帝国内にある全てのローマ街道の起点として、金のマイルストーン「ミリアリウム・アウレウム」が置かれていました。
当時、ローマ街道を通る兵士や旅人達は、自分たちが今どこにいるのかマイルストーンを見れば分かるようになっていました。マイルストーンは、古代ローマの1マイル(1,480m)ごとに置かれていましたので、ローマ市内からの距離を知ることができました。
アッピア街道の第1マイルストーンはレプリカですが、以下でご紹介するアウレリアヌス城壁、サン・セバスティアーノ門の近くで見られます。
アウレリアヌス城壁
アウレリアヌスの城壁は、ローマ帝国の首都であるローマを守るために、皇帝アウレリアヌスによって270年から275年の間に建てられました。古代では約19kmの城壁でしたが、今では約12.5 kmとなっています。1700年以上前に建てられた、保存状態の良い古代の城壁として世界でも有名です。
サン・セバスティアーノ門
サン・セバスティアーノ門は、アウレリアヌス城壁の城門です。
アッピア街道を通過するための門だったので、元の名前はポルタ・アッピア(アッピア門)でした。 サン・セバスティアノ大聖堂と地下墓地に近接しているため、15世紀半ば以降、今の名前になりました。
マイルストーンの形をした水飲み場もあります。