◆企画だけではなく前フリがあったからこそ没入度アップ「水ダウ最高」

正直言えば、今回の「水曜日のダウンタウン終了デマ拡散王決定戦」は、企画だけではそこまで話題になるものではないだろうと感じる。

“終了デマを拡散するであろう”というドッキリのターゲットになったのは、芸能界でも指折りのゴシップ好きである岡野陽一、さらば青春の光・森田哲矢、ライス・関町知弘の3人。口が軽い芸人が、言ってはいけないことを仲間に言いふらすというのは他の番組でも取り上げられている企画だ。

VTRでも、視聴者の思った通りに各芸人が番組終了を言いふらし、しかも最終的にはお見送り芸人しんいちが、最大で29人に拡散していたことが発覚して最も口が軽いことが判明。見ているこちらとしては思った通りの結果で、特に驚きや発見がある企画ではなかった。

しかし、そんな企画でも、前フリとして視聴者に最終回かもしれないというデマを上手に拡散していたことで、没入度が格段にアップ。結果、SNSなどで「神企画」、「水ダウ最高」と大絶賛されることになった。

◆絶妙なラインで炎上を切り抜けた、巧妙で壮大な仕掛け

(画像:TBS『水曜日のダウンタウン』公式サイトより)
(画像:TBS『水曜日のダウンタウン』公式サイトより)
番組演出の藤井氏は、放送後のXで「業界内ではかなり噂が回っていたので、先週の予告を見て『やっぱり来たか』と思った人も多かったかと思います。なので、視聴者にも…人づてじゃないから出演者たちと同じではないけれど、少し体験型になっていた方が楽しめるかと思って、やや煽ってしまいました」と説明。

今回は、誤認するような番宣などをもとに、SNSで終了デマが拡散する土台を作るという、巧妙で壮大な仕掛けを作り上げた。

正直、ここまで世間を巻き込んで企画を面白くするには、炎上などのリスクもあっただろう。しかし、“番組は「終了」だ”と明確なデマの方向には煽らないなど、絶妙なラインで炎上を切り抜け、全てをエンターテインメントにしてしまった。