◆常にテレビの常識と戦い、笑いと感動を生み出し続ける『水ダウ』

『水曜日のダウンタウン』が支持されるのは、現在のバラエティ番組にはなくなってしまったチャレンジ精神が旺盛なことが最大の理由だろう。

今回の企画でも、普通の番組制作者なら炎上リスクを考え、事前に番宣やSNSで煽るようなことはしない。コンプライアンスの遵守がテレビ業界で蔓延(まんえん)する中で、当然の判断になる。

しかし、そのリスクを犯してでも、企画をとにかく面白くしたいという思いが、スタッフから感じられる。

ちなみに、この番組はテレビ業界で名誉とされる「ギャラクシー賞」を何度も受賞している。そんな権威ある賞を受けながら、常にギリギリのところで勝負する姿勢が、多くの視聴者の熱狂を生み出している。

そういったテレビマンの本気が伝わる番組だからこそ、視聴者は番組終了のデマに驚いたし、結果として自分たちも騙された事を知っても称賛の声を挙げるのだろう。

◆炎上をかわしギリギリを見極める力に磨きが

10年間にわたって、他にはない斬新で過激な企画で人気を得てきた『水曜日のダウンタウン』。過去には企画が批判の対象となり、炎上を繰り返してきたこともあった。

ただ、その歴史の中で、スタッフは炎上になるかならないか、ギリギリのラインを見極める力が非常に強くなっていると感じる。

今回の番組終了のデマもそうだが、今年5月に放送した、歯の無い人をスカウトする「歯無し運動会」など炎上してもおかしくない企画だ。しかし、スタッフだけでなく出演した芸人のロケの立ち回りもうまく、一般人とトラブルにならない調整を行える体制がしっかり出来ているように感じた。

また、今年3月に放送した「清春の新曲、歌詞を全て書き起こせるまで脱出できない生活」という企画もそうだが、タレント・一般人問わず対象となる人を激怒させない、ギリギリの笑って許せるラインをうまく突けるセンスにより磨きがかかっている。