「第2新卒」という言葉の定義って?第2新卒のメリット・デメリットは?転職活動にはどんな心がまえで臨めばいいのか、一人ひとりが「自分らしい働き方」に出会えるよう、就業支援を行う人材会社である株式会社ディーセントワーク代表の高橋秀成さんに聞いてきました。
「第2新卒」ってどういう人のこと?
転職サイトなどでも一般的になっている「第2新卒」という言葉。なんとなく意味はわかっていても、具体的にどういう人を指すのでしょうか?「自分は第2新卒にあてはまるの?」という若手ビジネスパーソンも多いはず。まずはどういう人を「第2新卒」というのか教えてもらいました。
―――なぜ、第2新卒という言葉が使われるようになったのか、教えてください。
高橋秀成(以下、高橋):そもそも「第2新卒」って誰が言い始めたかというところから説明させていただくと、この言葉を使い始めたのは、採用する企業側だったかと思います。ではなぜ、「第2新卒」という言葉を使うようになったかというと、新卒の採用目標が未達だった分を、充足させたいためです。
例えば、2018年卒の新卒者採用人数の目標が50人だったとして、新卒を30人しか採れなかったら20人ショートしているわけです。退職があればさらに減ることもあります。そうすると採用担当者は経営者に叱責される可能性だってありますよね?
そうなったときに、「第2新卒」という言葉に頼ることになるわけです。「新入社員のみなさん、今働いている会社に不満を抱いていませんか?弊社には『第2新卒』という採用枠があります。入社して間もない人で、その会社に不満をお持ちの人は、早い段階で仕切り直しをしませんか?」って。
―――応募する側も「自分たちはまだ仕切り直せるんだ」と、気軽に転職活動ができそうですね。
高橋:確かに「第2新卒」といえば聞こえはいいけれど、要は入社した1社以上を早くに辞めた人ということ。一般的に「第2新卒」は好感されると考えている人もいるかもしれないですが、「就活に失敗した人」とか、「自分に合った会社を選ぶことができなかった人」などと評価される場合もあるということを、念頭に置いておくほうがいいでしょう。
―――年齢による定義はありますか?
高橋:企業によります。23歳までという会社もあれば28歳までという会社もあるし。一般的には20代までで、平均的に見ると25~26歳までといった感じでしょうか。
企業は「第2新卒」の魅力や価値をどのように考えている?
転職活動に取り組むときは、企業の採用ニーズと合致していることが大切。新卒でもなければ、キャリアやスキルがそこまであるわけでもない……ちょっと中途半端な「第2新卒」を企業が採用したい理由はどんなところにあるのでしょうか。
―――採用する側から見て、第2新卒ならではの魅力は何ですか?
高橋:厳しい意見になるかも知れませんが、プラスになることといえば、ビジネスパーソンとしての「正しい電話のかけ方」や「名刺の渡し方」を知っていることくらいでしょうね。基礎的なビジネスマナーはできているから、根本的な育成コストがかからない。
それ以外は、例えば営業にしてもたった1年くらいの経験で営業スキルに磨きがかかっている人なんて非常に稀ですよね。「学生時代にビジネスコンテストで優勝しました」と言われても、実際のビジネスで数字を出すこととは違います。
―――第2新卒に市場価値というのはありますか?
高橋:そもそも、これは第2新卒に限らずすべての人材に対していえることですが、わたしは「市場価値」という言葉自体がふさわしくないと考えています。
例えば、「東大出身」「内定をいっぱい取れた」「面接での受け答えがうまい」といったこともあくまでひとつの要素でしかなくて、市場価値の定義なんてないんです。ただ採用する側からすると「働いてもらいたい理由」があるのだから、「採用される理由」はあるはずですよね。
では「第2新卒」ととらえられる20代には、どんな「採用される理由」があるかというと、ひとつには「前社のやり方などに染まっていない分、新しいことを吸収しやすい」ということでしょう。
―――それは“育てる側”からすると魅力的ですね。
高橋:そうですね。例えば、10年働いている人と1年しか働いた経験のない人だと、前者のほうが仕事にも慣れていてテキパキ働いてくれそうに思えますよね。でも、中途採用という観点から見ると「自社の流儀を教える手間がかかる」ともいえる。キャンバスに描かれた人物画を風景画に描きかえるのは至難の業だけど、1年目だとまだどんな絵になるかもわからない状態だから、インストールに手間がかからないんですよ。
それに、「10年営業やってました」ってなると営業以外の職種をやってもらおうとは考えにくいけれど、1年しか経験がないなら「マーケもできそうだね」とか、枠にとらわれない配置もできる。そういう意味では、第2新卒に価値があるともいえますよね。