みなさんは「仕事を休むこと」について、どのような意識を持っているでしょうか?急な病気やトラブルによって出社が難しいときも、休むわけにはいかないと会社まで足を運んでいる人もいるかもしれません。近年は働き方についてさまざまな改革が進んでいますが、多少の体調不良ぐらいなら欠勤しないことを『美徳』とする風潮はまだまだ残っているようです。今回は「仕事を休むこと」の意識と課題を考えます。

「休まない」ことを美徳と考えるZ世代の多さが話題に

ストレスに関する調査・研究などを行うメディプラス研究所・ストレスオフラボは、2019年に全国20~69歳の女性7万人を対象として「ココロの体力測定2019」の調査を実施しました。

それによると、「責任を持って、休まないことは美徳だと思う」という質問に、「当てはまる」「やや当てはまる」と答えた人は合計で22.7%。

年齢による意識の違いを見たところ、20~24歳にあたる“Z世代”が最高の26.6%と、意外にも若い世代が「休まない」ことを美徳だと考えているという結果になりました。

ブラック企業における労働問題が表面化し、有給休暇の義務化や育休制度への関心の高まりなど、ワークライフバランスの見直しが進む昨今。コンビニエンスストアが時短営業の導入を検討し、大手外食チェーンも年末年始に休業するなど、「休み」についての議論は年々深まっています。

これらは、ここ数年の流れにも関わらず、なぜZ世代の女性は休まないことを美徳と捉える人が多いのでしょうか。

「休みたい」と言い出しにくいZ世代の女性?

理由のひとつとして、学生、もしくは就職したばかりの20~24歳という年齢ゆえに、なかなか自分から「休みたい」と言い出しにくいと感じている可能性が考えられます。

そもそも休暇の制度や認識の理解が進んでいないことに加えて、若手ゆえの仕事へのモチベーションの高さや自分が休んだ後の状況について見通しが立たないため、仕事に慣れた世代以上に「休んだら迷惑がかかる、評価が下がる」と考えてしまうのではないでしょうか。

また、厚生労働省における「労働調査 Ⅰ働く女性の状況」によれば、平成29年の男女雇用者数は男性が3,229万人(前年から18万人増)に対し女性は2,590万人(前年から51万人増)とされています。

そのうち雇用者総数(役員を除く)に対する正規雇用の占める割合は、男性が78.2%なのに対し女性は44.5%となりました。

世代論以前に、女性の非正規雇用の占める割合(55.5%)を踏まえると雇用形態における休暇制度の課題も見えてきそうです。

労働のシステムを構築する側の課題として、女性や非正規雇用のビジネスパーソンが「休んでも大丈夫なんだ」と思えるような環境を整備することが求められます。

病気時は無理をせず治療に専念するのが吉

「ココロの体力測定2019」では、休まないことを美徳だと思う女性が、病気時にどのような対応をするかをたずねており、その結果「休みたくないので無理して会社に行く」が37.6%、「病院に寄って出社し、なるべく欠勤しない」が30.5%となっています。

しかし、体調が悪い状態で仕事をしても、作業効率が上がらないことはいうまでもありません。さらに付け加えるなら、インフルエンザなどウィルスに起因する体調不良の場合、無理をおして出社すればオフィスでほかの社員へ感染拡大のリスクをもたらします。

さまざまな事情によりどうしても欠勤できない場合を除き、病気時に会社で仕事をすることは賢い選択とは言えません。どんな症状であっても、仕事に支障をきたさない状態までしっかりと治療をすることが望ましいでしょう。

同時にZ世代に限らず、女性の雇用者数が増加する背景を踏まえ、生理痛やPMSによる就業困難な状況に対し、企業側の理解や福利厚生の充実が今後さらに求められるでしょう。