【妊娠初期の中絶】初期と中期における中絶方法の違い

妊娠初期(妊娠11週まで)と妊娠中期(妊娠12週から21週まで)の中絶方法の違いについて説明します。

まず、妊娠初期は「初期中絶手術」と呼ばれ、膣からの処置になります。
対して妊娠中期は「中期中絶手術」と呼ばれ、陣痛を起こしてお産する形になります。

【妊娠初期の中絶】初期中絶手術

初期中絶手術には2つの方法があります。

①掻爬法(そうはほう)

まずラミナリアと呼ばれる海藻でできた細い棒を子宮口に差し込みます。
海藻でできているため、水分によりラミナリアが少しずつ膨張し、子宮口を広げていきます。
子宮口が十分に開くと膣か鉗子(かんし)やキュレットというスプーン状の器具で胎児や胎盤を掻き出す方法。

②吸引法

子宮口を開く方法は①の掻爬法と同じですが、掃除機のような器具を膣に挿入し、胎児や胎盤を吸引して取り除くという方法。

【妊娠初期の中絶】中期中絶手術

中期中絶手術になると、いわゆる「出産」をする形になります。
ラミナリアで子宮口を広げるまでは妊娠初期の中絶手術と同じですが、子宮口が広がった後は陣痛促進剤を使い、人工的に陣痛を起こします。

その後分娩台で胎児を出産する形になるのですが、健康な胎児を人工的に取り出しているので産声が上がる場合もありますが、まだ発育が不十分なためそのまま生きていくことは難しく、呼吸ができずに亡くなってしまいます。
その後、胎盤やその他内容物を取り除き、子宮収縮剤を投与されます。
手術後は術後の経過観察と子宮の戻り具合を確認するため入院することになります。

【妊娠初期の中絶】中絶の同意書

妊娠は1人でできるものではなく、女性だけの問題ではありません。
したがって、中絶を受ける場合、女性だけの意思確認ではなく男性側(夫・パートナー・恋人など)の同意書が必要になります。

同意書がなければ中絶することはできないと母体保護法第14条で法的に定められていますから、手術の際は必ず同意書の提出が必要です。

同意書には日付、手術を受ける女性の住所氏名、捺印、パートナーの氏名住所捺印が必要です。
そしてその同意書は中絶手術後も医療機関で5年間は保管されることとなります。

しかし必ずしも相手から同意書を書いてもらえるとは限りません。
例えば相手が分からない場合、また暴行され犯人が特定されていない場合などは同意書をもらえません。
その場合は相手の同意書をとらないまま提出することができますが、医師にはきちんと同意書がもらえない理由を説明しなければいけません。

また未成年の場合は同意書に保護者の署名も必要になります。相手も未成年の場合は双方の保護者の署名が同意書に必要になるので注意しましょう。

もしも、パートナーがいて、生んでほしいという希望があり、同意書へのサインを拒否している場合は残念ながら同意書なしで中絶することは認められていません。
ただパートナーから直接同意書を書けない理由を聞かない限り、病院ではパートナーの意思確認ができないという現状もあります。