老後の年金は夫婦で「20万円」はある見込みです。仮に夫が先に亡くなったら、私は半分の「10万円」で暮らすことになるのでしょうか?
夫婦の年金の見込み額を見て「物足りないなぁ」と感じる人は多いのではないでしょうか。もしも配偶者を亡くして1人になったら、生活していけるだけの金額をもらえるのか不安になる人もいるでしょう。   本記事では、配偶者に先立たれたときに受け取れる年金の種類や金額の考え方をまとめました。ぜひ、自身の状況と照らし合わせて考えてみましょう。

▼年金「月15万円」を受け取っていた夫が死亡。妻は「遺族年金」をいくら受け取れる?

夫が先に亡くなった場合に受け取れる可能性がある年金は自分の老齢年金と夫の遺族年金

最初に表題の質問に回答すると、夫が先に亡くなった場合に妻が受け取れる老齢年金の金額は、夫婦で受け取れるはずだった年金額を2分の1にした金額ではありません。夫が先に亡くなり受給要件を満たした場合、妻は次の2種類の年金を受け取る権利を得ます。
 

・妻自分自身の老齢年金
・夫の遺族年金

 
妻に厚生年金加入期間がある場合、妻自身の老齢年金として老齢厚生年金を受け取れます。妻に厚生年金加入期間がない場合、受け取れるのは老齢基礎年金です。
 
また、夫が亡くなった時点で厚生年金に加入していた場合、妻が30歳以上であれば終生、子のない30歳未満の妻は5年間、夫の厚生年金報酬比例部分の4分の3の遺族厚生年金を受け取る権利を得ます(収入等の要件あり)。夫が国民年金加入者の場合、子どもが18歳の3月31日を迎えるまでの間に限り、遺族基礎年金が受け取れます。
 
なお、妻が亡くなった場合、夫が遺族年金を受け取るには原則として55歳以上であることが必要です。ただし、実際に年金が支給されるのは60歳からからとなります(若年停止制度による)。また、遺族基礎年金を受給できる場合に限り、55~60歳の間でも遺族厚生年金を受給することが可能です。
 
これには妻が国民年金または厚生年金に加入していたこと、生計維持要件を満たしていたことなど、一定の要件を満たす必要があります。
 
これらの年金の金額は、夫婦がそれぞれ加入してきた年金の種類や、保険料を納めた期間、金額などで変わるものです。そのため、妻の受給額は必ずしも老齢年金の見込み額を夫婦の頭数で分けた金額にはなりません。
 
例えば、妻に厚生年金加入期間がなく、夫が厚生年金加入中に亡くなったケースを考えてみましょう。
 
例えば、20万円の年金見込み額の内訳が、妻の老齢基礎年金:7万円、夫の年金:13万円(老齢基礎年金7万円、老齢厚生年金6万円、20~60歳まで継続した場合の加入月数:456月)とします。夫が55歳0ヶ月で亡くなったとすると、実際の加入月数は396月となるため、遺族厚生年金の支給額は「6万円×3/4×396/456=約3万9000円」と試算できます。
 
妻が受け取れる年金額は、「自身の基礎年金約7万円+夫の遺族厚生年金約3万9000円=約10万9000円」の見込みとなる計算です。
 

夫の遺族年金と自分の老齢年金は併給できるの?