「閉店につき在庫一掃」をうたってセールを実施しているにもかかわらず、いつまでたっても閉店する様子がない。そんなお店を街なかで見かけたことはありませんか?
閉店するつもりがないのに「閉店セール」と表現するのは、違法ではないのでしょうか。「閉店しないのに閉店セールをしているお店」と法律のかかわりについて解説します。
何年も閉店セールを続けている店
閉店セールと書いた貼り紙を出しながら閉店せず、お店の営業を続けるスタイルは「閉店商法」とよばれています。消費者法が専門の法学者・細川幸一さん(日本女子大学教授)が行った調査によると、閉店商法のうたい文句はおもに「完全閉店」と「改装閉店」に分かれるそうです。
完全閉店は文字どおり「閉店にともなうセール」です。一方の改装閉店は、店の改装による一時休業にともなうセールです。つまり「改装」が終わると「新装開店」するというわけです。
閉店商法と景品表示法違反
完全閉店、改装閉店のいずれも「本当に閉店、あるいは改装閉店したケース」はあります。しかし、閉店していなかったケースもあり、細川さんの調査によると、都内で調べた9店舗中5店舗は後者のパターンだったといいます。
本当は閉店しないのに、消費者に閉店するかのような印象を与える閉店商法は、法律に触れないのでしょうか。日本広告審査機構(JARO)は、長期にわたる「閉店セール」は景品表示法という法律に違反する可能性があるとしています。
景品表示法(景表法)とは、消費者が買い物をしたりサービスを受けたりする際に正しく判断できるよう、販売側の広告や景品について規制を設ける法律です。具体的には以下の2点について規制しています。
・商品やサービスの内容や価格などを偽った表示の禁止(不当表示の禁止)
・商品やサービスにつける景品、および懸賞による景品の最高額を規制(景品類の制限及び禁止)
閉店商法が景表法違反になりうるケース(1)期間を限らないセール
「閉店セール」とうたっていながら、閉店日が表示されておらず、何ヵ月もセールを続けているケースがあります。「閉店セール=商品が安くなっているから、普段よりもたくさん買おう」と消費者に思わせる可能性があり、景表法の不当表示にあたる恐れがあります。