不謹慎ですけれども、首でも吊ったんかと思ってしまったよ。「その1か月後、永吉さんはこの世を去りました」じゃないんだよ。

 最初に違和感を覚えたのは、あのレストランのウエイトレスだったという女性(麻生祐未)です。彼女が持ってきた写真、どれも見たことのある万博の風景ばかりで、永吉(松平健)や彼女自身が写り込んでいる写真がひとつもない。

 例えばあの女性がスマホで「大阪万博」と画像検索して、ネット上の写真を「懐かしかね~」とか言いながら2人で眺めていたならまだわかるんです。でもあの写真は、女の人が後生大事に箱に入れて保管していた記念写真なんですよね。あのトラックもそう、なんで報道写真みたいな画角の写真を個人的に持っているのか。どう見ても個人的な記念写真じゃない紙焼きの報道写真を、うれしそうに「当時の写真です」と言って持ってくる。なんだ、この不気味な女は。

 万博公園に永吉と聖人(北村有起哉)が2人で来ることになってから、ずっと不穏な空気が漂っていたんですよね。結さん(橋本環奈)が突然、半休を返上した理由も納得できるようなものではなかったし、結さんが来ないからって、ばあば(宮崎美子)が花ちゃんを引き離してまで2人で公園に送り出したのも不可解だった。

 そして、突然降って湧いたように現れた、青いビリビリの財布をなくしたという男の子。あの子はこう言うんです。

「友だちと鬼ごっこしとったら、なくなった」

 あれ、鬼ごっこをしていたはずの友だちがいない。

 普通に考えて、一緒に遊んでいた友だちが財布をなくしたと言い出したら、みんなで探すでしょう。なくした財布を探し続けている友だちを一人残して全員いなくなることなんてありえますかね。

 さらに言えば、老眼だって進んでいるはずの永吉が、その財布を真っ先に見つける可能性も低い。

 わかりにくい話をしますよ。

 結論として、永吉は1970年の大阪万博には行ってないんです。自ら記憶を塗り替えている。