これは合宿時にも証明されていて、レッスン中に「先生の立場やけど泣いてしまいそう」って思うタイミングで、パッと横を見たら他の人は泣いてないけど、ゆりにゃちゃんだけが泣いている…っていう瞬間が結構あったんですよ。多分、オーディション生が頑張ってる姿に自分を投影して、その努力がわかるからこそ、泣けるんやと思います。こういう状況で自分に置き換えて考えられる、という意味でも同じ目線やなと感じましたね。

——より具体的に、だけど感覚的に…というのはとても面白い指導方法だなと思うのですが、受け手によっては難しくも感じられそうですね。

純子 こういう感覚的な伝え方って主観でも客観でも本人が理解できてるかは後々のライブなどを確認してわかることが多いです。何万人と教えてきましたけど、初レッスンかつその場で完全一致で捉えて出せると確信できたのは、ゆりにゃちゃん含めて15人くらいやったはずです。いや、もっと少ないかも。

歌もダンスも基礎ができていないと絶対に上手くならない

——純子先生は、ゆりにゃさんに個人レッスンをしてみてどんなことを感じられましたか?

純子 努力を惜しまず完璧にやりこなす人やなと思いました。初めてのレッスンの時にゆりにゃちゃん自身が「まず発声練習をやりたい」って言ってくれたのですが、この発声練習がなかなか大変なんですよ。私の場合、発声練習での体の動きを見ることで、その子がこれまでどういう活動をしてきたか、どういうことに取り組んできたかというのが一発でわかるので、ちょうど良いなとは思ってたんですけど、ゆりにゃちゃんは一番しんどい足上げ運動まで奇声を発しながらも最後までやり遂げてくれましたね。ここまでできたのは教え子で2人目です。

 でもこの奇声っていうのは、マネージャーの太一さんが横で動画を撮っていたので、一種のファンサービスとしているものであって、カメラの回っていない環境で完全なるレッスンモードになったら、きっと無言でクールに、最後までやり遂げるんやろうなと思いました。