──監督の頭の中で絵ができていないと難しいことですよね。
毎熊 そうですね。絵コンテを描く監督もいるじゃないですか。僕も学生時代、絵コンテを描けと言われて。絵が下手なので、「こんなの描いてる意味あるのか」と思いながら一応やっていましたが、絵コンテを元にカットを決めていくやり方もあれば、現場でお芝居を見て、頭の中で瞬時に編集して、カットを決めていく監督もいて。どちらかと言えば串田監督はハイブリッドで、ガチガチに絵コンテということでもないですし、「そういう動きをするんだったらこっちにしましょう」と柔軟に切り替えていくんです。
──複数のカメラを同時に回すマルチカム撮影もありますが、1台のカメラによる通常の撮影とでは、どちらがやりやすいですか。
毎熊 マルチで撮っていくって割と後からできた文化だと思うんですよね。そっちのほうが早く現場が終わるから、スピード面ではいいと思うんですが、僕が好きなのは1カメです。そこまで僕は角度とかまで意識するタイプではないですけど、1カメだと今ここにフォーカスしているというのが分かるから、どういう見え方で行くのか考えやすいんです。でも2カメだと、両方のカメラに向けて微妙な違いを表現できないというのがあります。
ダンスとお芝居は人前に出て自分の体で表現するという意味では似ている
──どうして俳優に転身しようと思ったのでしょうか。
毎熊 映画学校卒業後の進路を考えるときに、いろいろ迷ったんですよね。3年間の学校生活で感じたのは、監督になるにしても、どこかの制作会社に入って、一から現場を学ぶというのがどうしても理想から遠くなってしまう感覚があって。カメラマンさんにこう撮って欲しい、俳優さんにこう演じてほしい、衣装さんにこういう服を用意してほしいと決めるのが監督ですが、このままだと具体的にどう演技の指示を出せばいいのか分からなかったんです。もちろん自分の中では、こういうふうに歩いてほしいとか絵は浮かんでいるんですが、それを口で伝えても全然その通りにならなくて。だったら一度、演技を学んでみたほうがいいんじゃないか。だから俳優になりたいというよりは、そっちのほうが、この3年間で分からなかったことが分かってくるんじゃないかという、ふんわりした気持ちでした。