──お芝居は違和感なく受け入れられたんですか。

毎熊 僕は高校時代ストリートダンスをやっていたんですが、人前に出て自分の体で表現するという意味では似ているところがあって。もちろん初めてセリフを渡されてお芝居をやったときは恥ずかしかったんですが、そこまで違和感はないなと思ったんです。それで2年ぐらい、何となく俳優生活を送ってみて、この人は向いてないだろうなという人もたくさん見かけるんですよ。じゃあ自分が向いているかと言われたら分からないですし、映画やドラマのオーディションにバンバン受かっていた訳でもないので不安だらけ。なかなか役をもらえない悔しさもありましたが、でも真剣にやれば、何か掴めるかもしれないという手ごたえもあって。上手下手は置いといて、感覚的に一瞬でパッとできる何かは自分にあるかもしれないと思って、ちゃんと俳優をやらないとダメだと思いました。そこからが本当の意味で、俳優としてのスタートかもしれません。

──毎熊さんの名を世に知らしめたのは映画『ケンとカズ』(15)かと思いますが、どういう経緯で出演したのでしょうか。

毎熊 監督の小路紘史は映画学校時代の友達なんですが、元となる短編を2010年に撮っていて、僕が俳優になって5年目ぐらいに長編でリメイクを撮ることになったんです。それまで僕は自主映画にたくさん出ていたんですが、何となく入った事務所があって、何となく辞めていたんです。このまま俳優を続けていくのであれば、ぬるっとやっていたら駄目だなと思っていたときに、小路から「長編やりたいんだよね」と言われたんです。

──同級生の友達と言うことは意見も言いやすいですよね。

毎熊 お互いに言いたい放題ですよ(笑)。「このシーンいる?」みたいな。役者が監督にそんなことを言うなんてないですからね。学生からの関係性なので対等なんです。

──では映画初主演みたいな気負いもなく?

毎熊 ですね。学生時代の延長みたいなところはあったと思います。ただ長編はお金の面でも大変ですから、どうするのかと聞いたら、小路のすごいところは、お金がないからこそ時間をかけるという考え方なんです。みんな本業の仕事がなくて、バイトで生きている人たちなので、いわゆる普通の映画作りだったら、この予算だったら、この日数って決めていくところを、数か月かけて撮ろうみたいな。普通の商業作品では無理で、それに賛同する俳優やスタッフが集まらないとできないこと。でも、それって純粋な映画作りの場で、お金はないけど、みんなキャラクターについて必死にディスカッションして。撮影だけじゃなく、「このシーンはカット」と編集にも口出しして。まとめ上げるのは監督だから、最終的に小路の判断で決まりますが、すごくやりがいがあって。僕は5年間、俳優として少しずつ映画や舞台を経験して、それをちゃんと試す初めての場所が長編の『ケンとカズ』だったんです。

『ケンとカズ』のときのような時間は、あの頃にしか味わえないもの