◆『新聞記者』での演技から『春に散る』にキャスティング
と、ここまで、いかに横浜の身体性がすばらしいか記してきたが、それだけだったら、本物の選手に演じてもらえばいいということになってしまう。瀬々監督はNetflix版『新聞記者』(藤井道人監督)での新聞配達の青年の、等身大の演技がキャスティングのポイントだったと語る(先述のプロダクションノートより)。
朝早く起きて自転車を漕いで新聞を配達する『新聞記者』、広岡に鍛えられ土手を走り続ける『春に散る』。横浜流星は、真摯に目標に向かっていく役が似合う。そこに嘘は微塵(みじん)も感じない。ただ真実だけが輝いている。
<文/木俣冬>