離婚後の養育費請求方法は?

(写真=PIXTA)

冒頭でご紹介した相談者の女性Aさんは、「離婚の際に売り言葉に買い言葉で、『養育費なんかいらない』と言ってしまったのですが、今から請求できますか」と心配されていました。また併せて、「知り合いから、離婚した後でも養育費は請求できると聞いたのですが……」とも尋ねられました。

私は、Aさんに養育費の時効について説明を行い、実際に請求する金額を決めてもらいました。そのうえで、私がAさんの代理人となって、養育費について話し合いをしたい旨の「内容証明郵便」をAさんの元配偶者に送りました。

このように、まず元配偶者に話し合いの要請をすることが、交渉の第一歩です。もちろん、本人が直接連絡を取ることに抵抗がある方は多いはずですから、行政書士などの専門家を通じて連絡しても構いません。

その後は、養育費の具体的な金額、支払い方法などについて協議しますが、お互い感情的になってなかなか進まないことが予想されます。そこで、家庭裁判所の調停を利用することをおすすめします。

調停では、専門知識を持った調停委員2人が仲介する形で話が進められ、折り合いがつけば、調停調書というものが作られます。この調書があれば、強制執行の手続きを容易に進めることができます。強制執行とは、もし今後養育費の支払いが滞れば、給料などの差し押さえを行うことです。

Aさんは、希望よりもやや低い金額でしたが、調停で養育費の支払いに関して、無事に解決することができました。

遠慮せずに養育費の請求を

(写真=PIXTA)

以上のように、離婚の際に養育費を請求していなくても、後で請求することができます。

ただ、いくら子どものための養育費とはいえ、金銭を要求することは気が引けるかもしれません。そのようなときは、行政書士などの専門家に相談してみましょう。養育費は慰謝料や財産分与とは違い、今後の子どもの成長に伴い、必要となるものです。実情を説明したうえで、誠意を尽くして話し合えば、相手が納得してくれる可能性は高いはずです。

文・井上通夫(行政書士・行政書士井上法務事務所代表)

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