小池都知事との面会で言われたこととは?
――松元さんと実行委員会は、相談会開催の2週間ほど前に小池都知事と面会をされたようですが、どんなお話をされたのでしょうか?
松元「介護職以外にも研修や就職先を広げてほしいとお話したら、『介護職は人員不足だから』と。そして、『コロナ禍で感染防止のために一生懸命努めていますのでご協力をお願いします』と言われました。相談会にもお誘いしたのですが、残念ながらお見えにならなかったです」
――今年3月23日の閣議で決定された、新型コロナウイルスに関連する政府の支援策のひとつに、地域で女性支援を行う団体に最大1,125万円を自治体を通じて支給するため、13億5,000万円が計上されました。これについてどう思いますか?
松元「これまで女性支援をしてきた団体には非常に喜ばしいニュースですが、民間に予算を出すよりも、行政でできるところは行政がきちんとするべきだと思っています。応急処置的な制度も必要ですが、女性の貧困の根底に眠る、女性の雇用や暴力について行政にできることがもっとあるはずです」
あまりにも根深い、男女の格差
――なぜ根本的な解決に行政は取り掛からないのでしょうか?
松元「福祉の分野でも民間団体や業者に事業の一部を委託しているように、ノウハウがある民間に任せた方が適切だと思っていたり、行政も人手不足だという問題があります。行政は福祉政策の人員も予算もカットしてきました。その結果が、現在、コロナ禍で福祉に繋がっていない困窮者が増えている理由のひとつだと言われています。 男女格差、非正規問題、マイノリティ差別は一刻も早く改善される必要があります。とりわけ、男女格差は賃金・収入格差にはっきりと現れていますから。
もともと正社員でも女性は、結婚して子どもを産むと仕事を辞めざるを得なくなる人も多い。日本の育休制度は世界と比べても悪くはないのに、男性の取得率が低いですよね。男性だって本当はとりたいのに、企業文化がそれを許さない。そういったジェンダー規範から見直していく必要があります。
そもそも、採用時に性別によって総合職と一般職に分けたり、就職に年齢制限を設けるなど、日本の社会には女性の選択肢が少ない。女性政治家が少なく、政策自体に女性目線が欠けていることも問題ですね。そして、あるべき姿の社会を報道するメディア側にも意思決定の場に女性が少ない、という点も問題だと思っています」