相談者の女性のほとんどが暴力の被害者……
――今回の相談会で松元さんが発見したことは何だったのでしょう?
松元「来場した女性たちの多くが、何かしらの暴力をこれまで受けてきたことです。虐待、セクハラ、性被害、DV、パワハラ…幼い頃から大人になるまでに、人生のどこかの時点で暴力を受けています。痴漢が原因で男性と一緒に仕事ができなくなり、就ける仕事が限定された女性もいました。
会場には『生活』、『仕事』、『法律』、『家庭と家族』、『心と体』などの相談ブースを設置していましたが、『法律』や『仕事』の相談ブースに来た方の話を聞くと、夫によるDVを受けて精神を病んでしまっていて、『心と体』の相談ブースにも立ち寄るなど、複数の相談を利用された女性が多かったです。とにかく、相談者のほぼ全員が暴力を受けていたんです。これは男性の相談会ではありえません」
性別で区別される研修・就職支援
――生活保護を受けながら生活を立て直すために、どのような公的支援があるのですか?
松元「コロナ禍で設置された『TOKYOチャレンジネット』という、行政による研修・就職支援があり、『年越し・コロナ被害相談村』ではそこに 女性を繋げていったのですが、ひとつ問題がありました。そこで提供される支援が性別で区別されているんです。
男性には警備、建設、フォークリフトの運転免許が取れる研修がありますが、女性は介護職を勧められました。私も今回初めて知ったのですが、暴力を受けたことのある女性は、他人と近距離になる介護職に就けないと言っていました。虐待やDVの被害者の多くにとって、介護職は恐怖と苦痛でしかないんですよね。必ずしもそうとは限らないのに、女性は“誰かのお世話”をするのが上手だと思われている。フォークリフトの運転は女性でもできますが、ITや簿記など、他にも女性が働きたいと思えるような選択肢を広げてほしい。そういった提言も行政にしていきたいと思っています」