
つみたてNISAは少額から無理なく始められるのが魅力の一つです。しかし、投資する金額があまりに少ないと、せっかくのメリットを生かし切れません。では、いくら投資すればいいのでしょうか。運用結果のシミュレーションをしながら検証してみましょう。
- つみたてNISAは月100円から始められる
- 毎月100円の積み立てでは、年7%で20年間運用できても5万円にしかならない
- 想定する利回りと目標とする金額から逆算した金額が意味のある積立額
- 年5%で運用して20年後に1,000万円まで資産を増やすには、月2万4,400円の積み立てが必要
- 少額の投資でも意味はあるが、無理のない範囲で積立額を増やしたほうが効率的
- 少額から投資できるおすすめ証券会社は楽天証券
。毎月100円以上のクレカ積立でポイント還元の対象!
つみたてNISA(積立NISA)とは?いくらから始められる?

つみたてNISAとはどのような仕組みで、いくらから始められるのでしょうか。まずはつみたてNISAの基本を押さえておきましょう。
つみたてNISA(積立NISA)とは?
つみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資をサポートする税制優遇制度です。購入した商品は最長20年間非課税で保有できます。
利用対象者 | 日本に住む20歳以上の人 (口座開設年の1月1日時点、2023年以降は18歳以上) |
---|---|
非課税対象 | つみたてNISA口座で購入した 投資信託から得られる分配金や譲渡益 |
口座開設可能数 | 1人1口座 (つみたてNISAと一般NISAのどちらか一方を選択) |
非課税投資枠 | 新規投資で年間40万円を上限 (非課税投資枠は20年間で最大800万円) |
非課税期間 | 最長20年間 (購入から20年目の年末まで) |
投資可能期間 | 2042年まで |
投資対象商品 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託・ETF 2022年4月7日現在、211本(うちETF7本) (参考:つみたてNISA対象商品一覧|金融庁) |
購入方法は定期的な積立投資のみ、積立額の上限は年間40万円です。投資できる商品は、一定の要件を満たす長期・積立・分散投資に適した投資信託に限定されています。
例えば公募株式投資信託の場合、以下の要件をすべて満たすもの
・販売手数料はゼロ(ノーロード)
・信託報酬は一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
・顧客一人ひとりに対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知すること
・信託契約期間が無期限または20年以上であること
・分配頻度が毎月でないこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
引用元:つみたてNISAの概要|金融庁

竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
いくらから始められる?
つみたてNISAの最低投資額は利用する金融機関によって異なります。
証券会社 | ![]() |
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---|---|---|---|---|---|
最低投資金額 | 100円 | 100円 | 100円 | 1,000円 | 1,000円 |
積立単位 | 1円 | 1円 | 1円 | 1円 | 1,000円 |
積立頻度 | 毎日 毎月 |
毎日 毎週 毎月 |
毎日 毎月 |
毎月 | 毎月 |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
また、毎月の積立額の上限は3万3,333円(≒40万円÷12カ月)です(※野村證券では1,000円以上、1,000円単位となるため、3万3,000円が上限です)。
期待できるリターン(利回り)
期待できるリターン(利回り)は、どのような商品に投資するかによって左右されます。
短期的なリターンは変動が大きく、予測は困難です。しかし、長期的なリターンは一定の水準に落ち着く傾向があり、投資する商品や資産構成(ポートフォリオ)の過去のリターンが将来のリターンの目安になります。
・代表的な資産クラスの利回り(リターン)
代表的な資産クラスの過去20年間の利回り(リターン)は以下の通りです。目標とするリターンと許容できるリスクの大きさから、どの資産クラス・商品に投資するかを決めましょう。
資産クラス | 利回り (リターン) ※年率平均 |
リスク ※年率平均 |
各資産クラスを投資対象とする つみたてNISA対象インデックスファンドの例 |
---|---|---|---|
国内株式 | +5.0% | +17.1% | <購入・換金手数料なし> ニッセイTOPIXインデックスファンド eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX) |
全世界株式 (日本を含む) |
+7.8% | +18.7% | eMAXIS Slim 全世界株式 (オール・カントリー) |
先進国株式 (日本を除く) |
+8.3% | +19.1% | <購入・換金手数料なし> ニッセイ外国株式 インデックスファンド |
米国株式 | +8.9% | +18.5% | SBI・V・S&P500 インデックス・ファンド eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) |
新興国株式 | +8.6% | +22.5% | <購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド |
国内債券 | +1.4% | +1.9% | − |
外国債券 | +4.4% | +8.7% | − |
つみたてNISAの対象商品には、債券だけに投資する商品がありません。債券に投資するには、ポートフォリオに債券が組み入れられているバランスファンドやターゲット・イヤー・ファンドに投資する必要があります。
あらかじめ定めた指数(インデックス)に連動することを目標に運用するファンドのこと。日経平均株価やTOPIX(日本)、S&P500(米国)のような平均株価指数(インデックス)とそのファンドの基準価格が同じ値動きをすることを目指す運用をするファンド。
一般にアクティブファンドより信託報酬が低いことが多い。
引用元:用語集(インデックスファンド)|投資信託協会
債券の割合を高めることでリスクを抑えられますが、リスクとリターンは表裏一体の関係にあるため、リターンも低下します。
つみたてNISA(積立NISA)で少額投資は意味がない?100円の積み立ては意味がある?
つみたてNISAは、ネット証券なら月100円から始められます。しかし、その手間に見合ったメリットやリターンが得られなければ意味がありません。ここでは、月100円の積立投資でどのくらいのリターンが期待できるのか、実際に試算して確かめてみましょう。
そもそも100円で投資信託が購入できるってどういうこと?
投資信託の価格は「基準価額(きじゅんかがく)」と呼ばれ、1営業日に1回公表されています。例えば『ひふみプラス』の基準価額は、2022年4月5日現在で4万6,982円です。

投資信託の基準価額は一般的に数千円から数万円程度です。それにもかかわらず100円から買えるのはなぜなのか、疑問に感じる人もいるのではないでしょうか。
・基準価額は通常1万口当たりの価格
基準価額は、ファンドが保有する株式や債券などの時価総額を、全ての投資家が保有する口数で割って計算したものです。多くの投資信託は1口1円で設定され、基準価額は1万口当たりの価格で表示されます。
投資信託の受益権の単位のこと。投資信託は設定時に1口1円等で元本が設定され、その場合、基準価額は1万口あたりの価額で表される。
引用元:用語集(口数)|投資信託協会
1口1円の1万口、つまり1万円からスタートするため、基準価格はその前後、数千円から数万円程度でしょう。
ひふみプラスの場合は利益の分配を行わない投資信託なので、基準価格の4万6,982円は、設定されてから資産が約4.7倍に増えたことを意味しています。
・基準価額は取引単位ではないので、100円分だけ購入できる
基準価額は投資信託の価格や値動きを分かりやすくするためのもので、取引単位ではありません。スーパーでお肉の価格が100グラム当たりで表示されているのと同じようなものです。
投資信託を購入する方法には、口数を指定して購入する方法と金額を指定して購入する方法があります。お肉で例えると、300グラム分購入するか(口数指定)、1,000円分購入するか(金額指定)という違いです。
最低購入額は金融機関によって異なりますが、最低購入額が100円の金融機関であれば、100円分の投資信託を購入できます。基準価額(1万口当たりの価格)が4万6,982円のひふみプラスの場合、100円で購入できる口数は21口(※)です。
※100円÷(4万6,982円/1万口)≒21口(1口未満切り捨て)
つみたてNISAで毎月100円の少額投資に意味はあるの?20年後どうなる?

毎月100円ずつ20年間積立投資を続けた場合、どのくらいのリターンが期待できるのでしょうか。試算すると次のような結果になります。
・利回り3%で運用できた場合
年3%の利回りで20年間運用できた場合、20年後の運用資産は約3万2,830円になります。投資元本は2万4,000円なので、運用益は8,830円。この運用益にかかる20%の税金が非課税となるため、つみたてNISAによる節税効果は約1,800円です。

・利回り5%で運用できた場合
年5%の利回りで20年間運用できた場合、20年後の運用資産は約4万1,100円になります。運用益は1万7,100円、節税効果は約3,400円です。

・利回り7%で運用できた場合
年7%の利回りで20年間運用できた場合、20年後の運用資産は約5万2,100円になります。運用益は3万5,000円、節税効果は約7,000円です。

・毎月100円の投資ではほとんど意味がない
年7%で運用できれば、20年間で投資した資金は2倍以上に増えます。しかし、毎月100円では20年間の積立総額はわずか2万4,000円。最終的な運用資産は5万円程度にしかなりません。20年もかけて得られる成果としてはあまりに少ないでしょう。

竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
つみたてNISA(積立NISA)で意味がある積立額の分岐点は?

毎月100円の投資では、ほとんど意味がないと分かりました。では、いくらなら意味があるのでしょうか。その一つの基準となるのが、運用の目的を達成できるかどうかです。何年後にいくら準備したいのか、そのためにどの程度リスクをとって運用するのかによって「意味がある」積立額は変わります。
ここでは、人生の三大資金といわれる老後資金、教育資金、住宅資金を準備する場合を例に、つみたてNISAで意味が「ある」「ない」の分岐点になる積立額を探ってみましょう。
20年後に老後資金1,000万円を準備したい場合の意味がある積立額の分岐点
まずは20年かけて老後資金1,000万円を準備するために必要な毎月の積立額を試算します。
・老後に必要な資金の目安
老後資金がいくら必要になるかは、それぞれの生活水準や保有する資産の状況によって異なるため一概にはいえません。
2019年に公表された金融庁の報告書では、老後20〜30年間で約1,300万〜2,000万円の資金が不足する試算結果が示され、「2,000万円問題」として話題になりました。この2,000万円という金額は、公的年金だけでは夫婦2人世帯で毎月約5万円の不足が生じることを前提に試算されたものです。

前述のとおり、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20〜30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300万円〜2,000万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。
引用元:市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」|金融庁・金融審議会
2,000万円というのはあくまで高齢夫婦2人世帯の平均的な不足額から導かれた金額ですが、今回はこれを必要な老後資金とします。
・20年間で老後資金1,000万円を準備するために必要な積立額
今回は老後資金の不足額2,000万円を夫婦それぞれが1,000万円ずつ、20年かけて準備するために必要な毎月の積立額を試算します。下表がその結果です。
運用利回り | 毎月の 必要積立額 |
投資元本 | 運用益 | 20年後の資産額 |
---|---|---|---|---|
年3% | 3万500円 | 732万円 | 269万3,211円 | 1,001万3,211円 |
年5% | 2万4,400円 | 585万6,000円 | 417万3,222円 | 1,002万9,222円 |
年7% | 1万9,200円 | 460万8,000円 | 539万3,792円 | 1,000万1,792円 |
【年3%運用】

【年5%運用】

【年7%運用】

運用利回りが年3%の場合、意味がある積立額の分岐点は3万500円です。これに対して、年5%、年7%で運用できた場合の分岐点は、それぞれ2万4,400円、1万9,200円に下がります。
運用を行わない場合に必要な毎月の積立額は約4万1,700円です。年7%で運用する場合の積立額は半分以下で済みます。
15年後に大学進学資金400万円を準備したい場合の意味がある積立額の分岐点
続いて、15年かけて大学進学資金400万円を準備するために必要な毎月の積立額を試算します。
・大学進学資金の目安
大学進学にかかるお金は、進学する大学や学部によって異なります。2022年現在、入学料と授業料をあわせた学費の目安は下表の通りです。
学校種別 | 入学料 | 授業料(※1) | 総額 |
---|---|---|---|
国立大学(4年制) | 28万2,000円 | 214万3,200円 (1〜4年次合計) |
242万5,200円 |
国立大学(6年制) | 28万2,000円 | 321万4,800円 (1〜6年次合計) |
349万6,800円 |
私立大学(文系) | 22万5,651円 | 385万3,364円 (1〜4年次合計) |
407万9,015円 |
私立大学(理系) | 25万1,029円 | 526万932円 (1〜4年次合計) |
551万1,961円 |
私立大学(医歯薬系) | 107万6,278円 | 2,288万5,566円 (1〜6年次合計) |
2,396万1,844円 |
・15年間で教育資金400万円を準備するために必要な積立額
私立大学の文系学部に進学する場合、大学4年間にかかる学費の平均は約400万円です。これを15年間で準備するために必要な毎月の積立額は、下表のようになります。
運用利回り | 毎月の 必要積立額 |
投資元本 | 運用益 | 15年後の資産額 |
---|---|---|---|---|
年3% | 1万7,700円 | 318万6,000円 | 83万1,417円 | 401万7,417円 |
年5% | 1万5,000円 | 270万円 | 130万9,334円 | 400万9,334円 |
年7% | 1万2,700円 | 228万6,000円 | 173万9,421円 | 402万5,421円 |
【年3%運用】

【年5%運用】

【年7%運用】

運用利回りが年3%の場合、意味がある積立額の分岐点は1万7,700円です。これに対して、年5%、年7%で運用できた場合の分岐点は、それぞれ1万5,000円、1万2,700円に下がります。
運用を行わない場合には、毎月約2万2,200円の積み立てが必要です。しかし、年7%で運用する場合には1万2,700円で済みます。
・10年後の住宅購入に必要な自己資金600万円を準備したい場合の意味がある積立額の分岐点
最後に、10年かけて住宅購入に必要な自己資金600万円を準備するために必要な毎月の積立額を試算します。
・住宅購入時の自己資金の目安
住宅購入時の頭金の目安は、物件価格の20%といわれています。しかし、最近はフルローンで住宅を購入する人も増え、頭金は必須ではなくなりました。とはいえ、フルローンには金利が割高になったり、毎月の返済が増えたりするデメリットもあります。状況にもよりますが、頭金はできる限り物件価格の10%以上準備しておきたいところです。
2020年度フラット35利用者調査によると、実際にフラット35利用者が準備した頭金の平均は下表のようになっています。
住宅種別 | 物件取得費 (土地取得費を含む) |
頭金(手持金) ※カッコ内は取得費に対する割合 |
---|---|---|
注文住宅 (土地費借入なし) |
3,534万円 | 618万円(17.5%) |
注文住宅 (土地費借入あり) |
4,397万円 | 441万円(10.0%) |
建売住宅 | 3,495万円 | 247万円(7.1%) |
マンション | 4,545万円 | 758万円(16.7%) |
中古戸建 | 2,480万円 | 199万円(8.0%) |
中古マンション | 2,971万円 | 343万円(11.6%) |
全体 | 3,690万円 | 404万円(10.2%) |
※1万円未満四捨五入
住宅購入時には物件購入代金のほかに諸費用がかかります。通常、この諸費用も手持ち資金で支払わなければなりません。諸費用の目安は新築物件で物件価格の3〜7%、中古物件で物件価格の6〜10%です。
頭金と諸費用をあわせると、物件価格の約15%が準備しておきたい自己資金の目安になります。
・10年間で住宅購入自己資金600万円を準備するために必要な積立額
今回は4,000万円の物件を購入するため、頭金として400万円(物件価格の10%)、諸費用として200万円(物件価格の5%)、計600万円を10年かけて準備するケースを考えます。これに必要な毎月の積立額は下表の通りです。
運用利回り | 毎月の 必要積立額 |
投資元本 | 運用益 | 10年後の資産額 |
---|---|---|---|---|
年3% | 4万3,000円 | 516万円 | 84万8,881円 | 600万8,881円 |
年5% | 3万8,700円 | 464万4,000円 | 136万5,424円 | 600万9,424円 |
年7% | 3万4,700円 | 416万4,000円 | 184万2,043円 | 600万6,043円 |
年8% | 3万2,800円 | 393万6,000円 | 206万4,630円 | 600万630円 |
運用期間が10年と限られていることもあり、つみたてNISAの投資上限額である月3万3,333円以内で目標額を達成するには、年8%以上の利回りが必要です。住宅購入を希望する時期が決まっている場合には安定した運用が望ましく、年8%以上のリターンを狙うのはリスクが高いといえます。

竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
例えば、600万円のうち400万円をつみたてNISAで準備する場合、つみたてNISAの上限額の範囲内、かつ年3%以下の利回りで目標を達成可能です。
運用利回り | 毎月の 必要積立額 |
投資元本 | 運用益 | 10年後の資産額 |
---|---|---|---|---|
年3% | 2万8,700円 | 344万4,000円 | 56万6,579円 | 401万579円 |
年5% | 2万5,800円 | 309万6,000円 | 91万283円 | 400万6,283円 |
年7% | 2万3,200円 | 278万4,000円 | 123万1,568円 | 401万5,568円 |
【年3%運用】

ただし、預貯金の割合が高くなると、運用益が期待できない分だけ必要な積立額は多くなります。2022年4月現在の普通預金金利は年0.001〜0.2%程度です。200万円ためるには10年間、毎月約1万6,700円の積み立てが必要でしょう。
つみたてNISAで利回り3%を目標に運用する場合、つみたてNISA分の2万8,700円と預貯金分の1万6,700円をあわせ、毎月約4万5,400円の積み立てで600万円を準備できます。預貯金だけで準備するには、毎月5万円の積み立てが必要です。つみたてNISAの利用により毎月の負担を約5,000円減らせます。
つみたてNISA(積立NISA)を少額から始められる証券会社別!意味がある・ない金額
金融機関によっては、つみたてNISAの利用でポイント還元などの特典があります。ここでは特典の対象になるかを基準に、よりお得につみたてNISAを利用できる積立額を「意味がある金額」として、証券会社別にその分岐点を紹介しましょう。
証券会社 | ![]() |
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---|---|---|---|---|
最低積立金額 | 100円 | 100円 | 100円 | 1,000円 |
設定単位 | 1円 | 1円 | 1円 | 1円 |
積立頻度 | 毎日 毎月 |
毎日 毎週 毎月 |
毎日 毎月 |
毎月 |
取扱銘柄数 | 181本 | 178本 | 152本 | 9本 |
ポイント還元 | ○ クレカ積立 基準残高達成特典 |
○ クレカ積立 投信マイレージ |
○ クレカ積立 投信保有ポイント |
× |
ボーナス設定 | ○ ※1 |
○ ※1 |
○ ※1 |
× |
口座開設日数 | 最短翌営業日 | 最短2営業日 | 最短翌営業日 | 1〜2週間 |
意味がある金額 | 100円以上 | 100円以上 | 1,000円以上 | 1,000円以上 |
公式サイト | 公式サイト | 公式サイト | 公式サイト |
楽天証券……毎月100円以上のクレカ積立でポイント還元の対象!3万円以上のポイント投資でさらにお得

楽天証券では、つみたてNISAを含む投信積立に楽天カードを利用すると、買付金額の1.0%(2022年9月買付分から1.0%または0.2%)のポイント還元(楽天ポイント)を受けられます。月100円から5万円(つみたてNISAは3万3,333円)までの買付が対象であり、意味がある金額の分岐点は100円です。
また、楽天ポイントコースとマネーブリッジ(楽天銀行との口座連携サービス)を設定のうえ、月3万円以上のポイント投資を行うと、SPU(スーパーポイントアッププログラム)の対象になります。楽天市場での買い物に付与される楽天ポイントが+0.5倍になり、さらにお得です。ポイント投資は買付時に1ポイント以上利用すればよく、全額をポイントで支払わなくても構いません。
楽天証券は楽天ユーザーにおすすめの証券会社です。楽天銀行や楽天カード、楽天市場など、楽天グループの各種サービスと組み合わせて利用することで、ポイント還元などの特典があります。
クレカ積立の2022年9月買付分以降におけるポイント還元率の引き下げは、信託報酬のうち楽天証券が受け取る手数料が年率0.4%(税込)未満の銘柄が対象です。つみたてNISAの対象商品は、信託報酬の低さが選定要件の一つでしょう。ほぼ全ての商品の還元率が0.2%になるため、要注意です。
楽天証券のつみたてNISAに関する口コミ
【投資信託の種類が豊富で手数料も安い】
- ★★★★★
-
長いスパンで積立をするならば、楽天証券のつみたてNISAが良いです。投資信託の種類が豊富です。また、楽天カードで積み立てれば楽天ポイントが貯まり、ポイントを投資信託の購入にあてられる点も気に入っています。
40代・男性
【ポイントが利用可能】
- ★★★★☆
-
「楽天ポイント」を使って取引を行うことできる点に満足しています。普段の買い物などで貯めたポイントが使えるので他社よりもずっとお得感があります。
20代・女性
【ポイントがざくざくたまります!】
- ★★★★☆
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証券口座を開設するにあたり動画や本で勉強したところ、楽天証券を優良としているものが多かったので開設してみました。楽天のクレジットカードで月3万円積立投資すると、1%の300ポイント加算され、お得だと思います。
20代 ・女性
出典:fuelle編集部がクラウドワークスで調査
SBI証券……毎月100円以上のクレカ積立でポイント還元の対象!

SBI証券では、つみたてNISAを含む投信積立に三井住友カードを利用すると、買付金額の0.5%(一般カード)〜2.0%(プラチナカード)のポイント還元(Vポイント)を受けられます。月100円以上5万円(つみたてNISAは3万3,333円)までの買付が対象なので、意味がある金額の分岐点は100円です。
SBI証券は業界トップクラスの商品ラインアップを誇り、つみたてNISAをはじめ、さまざまな商品に投資したい人におすすめの証券会社です。TポイントまたはPontaポイントを使った投資信託の購入も可能で、ポイントを有効活用できます。
SBI証券のつみたてNISAに関する口コミ
【初心者でも使いやすい】
- ★★★★★
-
大手のネット証券会社なのでセキュリティ面も安心です。取り扱い商品数もトップクラスなので、自分のスタイルにあった投資ができるのも魅力です。またアプリでの操作も可能で、使いやすいです。少額対応もしていて初心者の方でもチャレンジしやすいと思います。
30代・女性
【投資信託の種類が多い】
- ★★★★★
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SBI証券のつみたてNISAのメリットは、手数料が安く投資信託の種類も豊富なので、選択肢が広がる点です。サポート体制がとても充実している点も魅力的です。何かあってもすぐに対応してくれます。
40代・男性
【初心者にもわかりやすい】
- ★★★★☆
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国内、海外のインデックスファンドが多くあり、初心者にもわかりやすいです。アプリではランキング形式での商品紹介がありますし、毎日購入の設定も可能です。現在の評価額も簡単に見ることができます。信託報酬も低いものが多く、商品で困ることはないでしょう。
40代・男性
出典:fuelle編集部がクラウドワークスで調査
マネックス証券……毎月1,000円以上のクレカ積立でポイント還元の対象!

マネックス証券では、つみたてNISAを含む投信積立にマネックスカードを利用すると、買付金額の1.1%のポイント還元(マネックスポイント)を受けられます。月1,000円以上5万円(つみたてNISAは3万3,333円)までの買付が対象なので、意味がある金額の分岐点は1,000円です。
マネックス証券のクレカ積立の還元率は、年会費無料のクレジットカードでは業界最高水準です(年会費のかかるカードでは、三井住友カードプラチナの還元率が2.0%)。2年目以降は550円(税込)の年会費がかかりますが、投信つみたてを含む年1回以上のカード利用で無料になるので、実質無料といえるでしょう。
そのほか、保有している投資信託の残高に応じてポイントがたまるサービスもあります。長期保有が基本のつみたてNISAとの相性もよく、お得にポイントをためたい人にはマネックス証券がおすすめです。
マネックスポイントは、自分で交換先を選べる使い勝手のよさが魅力でしょう。
【マネックスポイントの交換先一覧】

マネックス証券のつみたてNISAに関する口コミ
【豊富な商品ラインナップ】
- ★★★★★
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マネックス証券は、つみたてNISAの取り扱い商品が150件以上あるので、自分に合った商品がきっと見つかります。ツールでランキングやパフォーマンスも見られるので、投資の知識が少ない人には役立つと思います。年間上限額の40万円を使い切り設定すると、限度枠を無駄にすることなく運用できます。ネット証券なので利用料を安く抑えることができるので、おすすめです。
40代 ・男性
【ポイント制度が素晴らしい】
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マネックス証券では独自のポイントプログラムである「マネックスポイント」を貯めることができます。ポイントが貯まれば「Amazonギフト券と交換・dポイントと交換・Tポイントと交換・JALやANAのマイルと交換・日本赤十字社やReadyforへの寄付・株式売買手数料に充当・仮想通貨との交換」など非常に多くの使い方ができるので便利で嬉しいです。
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50代・男性
出典:fuelle編集部がクラウドワークスで調査
LINE証券……毎月1,000円以上でポイント投資が可能!

LINE証券では、LINEポイントを使って投資信託を購入するポイント投資ができます。ポイント投資ができる最低積立額は月1,000円なので、意味がある金額の分岐点は1,000円です。
LINE証券のつみたてNISAでは、低コストのインデックスファンド『eMAXIS Slim』シリーズや『ひふみプラス』など、厳選された9銘柄から商品を選択できます。つみたてNISA専用ファンドである『野村スリーゼロ先進国株式投信』は、業界最安・信託報酬ゼロ(※)の投資信託であり、ネット証券ではLINE証券でしか購入できません(※2031年1月1日以降の運用手数料率は税込年0.11%)。
次のような人には、LINE証券がおすすめです。
・ 普段使っているLINEアプリで気軽につみたてNISAを始めたい人
・ LINEポイントを使ったポイント投資をしたい人
・ 日本を除く先進国株式に最低コストで投資できる『野村スリーゼロ先進国株式投信』を購入したい人
つみたてNISA(積立NISA)は少額でも意味がある!始めるメリット

投資額が少ないとメリットは小さくなります。しかし、全く意味がないわけではありません。少額でもつみたてNISAを始めることで、次のようなメリットが期待できます。
先取り・ほったらかし投資ができる
つみたてNISAでは、一度投資する商品と投資額を設定すれば、後は毎月自動的に積立投資が行われます。この仕組みにより、「ほったらかし投資」が可能です。
金融機関によっては、任意の銀行から買付代金を自動で引き落とせるサービスがあります。給与振込口座から引き落とされる設定にしておけば、振り込まれた給料を証券口座に移動する手間もかかりません。引き落とし日を給料日直後に設定することで、給料に手を付ける前に投資資金を確保する「先取り投資」の仕組みが作れます。
【積立代金自動振替サービス(SBI証券)】


竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
税金がかからない
投資信託から得た利益(譲渡益や分配金)には、通常20.315%の税金がかかります。10万円の利益が出ても、手元には約8万円しか残りません。
つみたてNISAでは、この税金がかかりません。つまり10万円の利益が出れば、10万円全てを受け取れます。これは、実質的に利益が20%増えるのと同じです。効率よく資産を増やせます。
商品が厳選されていて投資初心者でも選びやすい
投資信託は運用をプロに任せられるのが特徴です。しかし、どの資産にどのような方針で投資するかは商品ごとに異なり、そもそもどの商品を購入すればよいのか迷ってしまうでしょう。
その点、つみたてNISAでは投資できる商品が厳選されており、投資初心者でも投資する商品を選びやすくなっています。
対象商品は、全て長期・積立・分散投資に適していると金融庁に認められた商品です。どの商品を選んでも、失敗は少ないといえます。
つみたてNISAの対象商品は211本です(※2022年4月7日時点)。一般の投資家が購入できる国内の公募投資信託は5,998本あり(2022年1月末時点、出所:投資信託協会)、かなり厳選されていることが分かります。
長期投資によって元本割れのリスクを抑えられる
長期投資の推進が目的のつみたてNISAは、最長20年間もの長期にわたって非課税で商品を保有できます。
価格が変動の大きな株式などに投資する場合、投資期間が短いとリターンは大きなプラスになったり、大きなマイナスになったりするでしょう。しかし、投資期間が長くなるにつれてリターンの振れ幅(=リスク)は小さくなっていき、元本割れのリスクを抑えられます。

上に示した緑のグラフは、1985年から2021年までの間に先進国株式へ投資した場合のトータルリターンの変動幅を示したものです。投資期間が1年の場合、トータルリターンは−47%から+67%と大きなブレがあります。しかし投資期間が20年になると、その幅は+4%から+12%に縮まり、いつ投資を始めたとしてもプラスです。これはあくまで過去の実績ですが、長期投資によって元本割れのリスクが下がることが分かります。
つみたてNISA(積立NISA)の知っておきたいデメリット

つみたてNISAには次のようなデメリットもあります。よく理解したうえで利用しましょう。
元本割れのリスクはゼロにはならない
つみたてNISAで投資できる商品は、投資信託またはETFです。長期・積立・分散投資に適した商品に限定することでリスクの軽減が図られていますが、預貯金のような元本保証はありません。
必ずしもお金が増えるとは限らず、購入した商品が値下がりしてお金を減らすこともあります。資金が必要なタイミングに相場の下落が重なれば、損失が出ても売却せざるを得なくなるかもしれません。

竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
損失が出たら意味がない
利益に税金がかからないのがつみたてNISAのメリットです。このメリットは損失を出してしまうと意味がありません。
元本保証のない投資である以上、損失をゼロにはできないでしょう。しかし、安易に商品を売却せず、長期・積立・分散投資を心がけることで損失を出すリスクは軽減できます。
つみたてNISA(積立NISA)を少額でもやめたほうがよい人

つみたてNISAはリスを伴う投資であり、誰でも始めればよいものではありません。たとえ少額であっても、次のような人はやめておいた方がよいでしょう。
余裕資金がない人
つみたてNISAは元本保証のない投資であり、なくなっても生活に支障のない余裕資金で行うものです。

竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
リスクを受け入れられない人
元本割れは絶対に避けたい人や確実に準備しなければならない資金を準備する場合には、預貯金や個人向け国債など元本保証の商品が向いています。
大きなリスクは取れないけれど、多少のリスクなら受け入れられる人は比較的リスクの小さい債券への投資割合を高めたポートフォリオを組んで、つみたてNISAを利用してもよいでしょう。
つみたてNISAの対象商品は株式へ投資する投資信託が中心ですが、バランスファンドやターゲットファンドに投資することで債券や不動産(REIT)にも投資できます。
長く投資を続けられない人
数年以内に使うと決まっている資金を準備したい人や、貯蓄が少なく、生活費や急な出費でつみたてNISAの資産に手を付けなければならない人には向きません。長期投資が基本のつみたてNISAは、短期投資では十分にメリットを生かせないからです。

竹国弘城(ファイナンシャル・プランナー)
つみたてNISA(積立NISA)での少額投資、金額・利回り別に20年後をシミュレーション

つみたてNISAで20年間積立投資を続けると、どのくらい増えるのか。実際にシミュレーションをしてみましょう。長期積立投資の効果を実感できます。
毎月1,000円を20年間積み立てた場合
毎月1,000円ずつ20年間積立投資を続けた場合の積立総額(投資元本)は24万円です。運用期間中の利回りが一定であったと仮定すると、運用資産は下のグラフのように増えていきます。

投資元本24万円は、年利3%で運用できれば20年後に約33万円、年利7%で運用できれば約52万円に増えます。グラフからは、利回りが高いほど運用資産の増えるペースが早いことが分かるでしょう。これは複利効果によるものです。
つみたてNISAの対象である投資信託の多くは、運用期間中に得られた利益が再投資されて元本に組み入れられます。特に意識しなくても、複利で運用が可能です。
毎月5,000円を20年間積み立てた場合
毎月5,000円ずつ20年間積立投資を続けた場合の投資元本は、先ほどの5倍の120万円です。運用期間中の利回りが一定であったと仮定すると、運用資産は下のグラフのように増えていきます。

投資元本120万円は、年利3%で運用できれば20年後に約164万円、年利7%で運用できた場合は約260万円に増えます。
毎月1万円を20年間積み立てた場合
毎月1万円ずつ20年間積立投資を続けた場合の投資元本は、さらに倍の240万円です。運用期間中の利回りが一定であったと仮定すると、運用資産は下のグラフのように増えていきます。

投資元本240万円は、年利3%で運用できれば20年後に約328万円、年利7%で運用できた場合は約521万円に増えます。最終的な資産額は、毎月の積立額に比例して増えることが分かるでしょう。
つみたてNISA(積立NISA)の意味のある金額でよくあるQ&A
例えば、毎月100円を20年間積み立てた場合、年7%で運用できたとしても最終的な運用資産は5万円程度です。20年の時間と手間をかけて得られる成果は、ほとんど意味がないといえるでしょう。
・100円以上……SBI証券、楽天証券
・ 1,000円以上……マネックス証券、LINE証券
・無理のない金額から始められる
・長期投資によってリスクを抑えられる
・利益に税金がかからない
・ 先取り・ほったらかし投資で、長続きしやすい
・商品が厳選されているため選びやすい
つみたてNISA(積立NISA)は少額からでも始める意味がある
つみたてNISAは利益に対してかかる税金が非課税になる制度であり、少額でも始める意味はあります。ただし、利益は積立額に比例するため、同じ時間と手間をかけるのであれば、積立額を増やしたほうが効率的です。
積立額は目標とする金額や許容できるリスク(=想定する利回り)、運用期間を踏まえながら、余裕資金の範囲内で無理のない金額から始めましょう。

より多くの方がお金について自ら考え行動できるよう、家計改善や住宅購入、資産形成、相続など、お金に関するコンサルティング、大手金融機関や各種メディアでの執筆・監修を行う。RAPPORT Consulting Office代表。
■保有資格
1級ファイナンシャルプランニング技能士
CFP®︎
一種証券外務員
サウナ・スパプロフェッショナル
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