毎月いくら投資する?
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新NISAで毎月いくら積み立てるべきか、積立額の目安は平均的な20代の世帯で2万円程度です。30代、40代と世代が上がるごとにプラス1万円〜1万5,000円程度積立額を増やすのが目安です。

NISAへの積立額は、世帯の収入や支出、家族構成やライフイベントによって大きく異なります。しかし、どの世帯でも共通して考えるべきことは、いざという時の生活費を確保し、ライフイベントに確実に備え、余裕資金を投資に回すという考え方です。

本記事では、年代別の平均的な世帯を想定し、各家庭でNISAに毎月どれくらい積み立てるべきかを紹介します。ぜひ、自分の状況に合った積立額の目安を参考にしてみてください。

目次

  1. 新NISAで毎月いくら積み立てる?全体の平均額
  2. 新NISAは毎月いくら積み立てるのがいい?年代別の決め方
    1. 20代
    2. 30代
    3. 40代
    4. 50代
    5. 60代
  3. 【積立金額と運用期間別】運用益と資産額のシミュレーション
  4. 新NISA(積立NISA)で毎月いくら積み立てるべきかの決め方
    1. 投資は余裕資金で行う
    2. 目的を持って投資を行う
    3. リスク許容度を知る

新NISAで毎月いくら積み立てる?全体の平均額

1.毎月いくら投資する?
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新NISA(つみたて投資枠)の毎月の平均積立額は、20代と60代が約1万6,000円、30代から50代が2万円強となっています。70代になると、1万円以下に減ります。また、成長投資枠は20代から60代までは年代が上がるごとに、金額も上昇します。成長投資枠の平均的な積立額は、20代が約1万5,000円で、60代・70代になると4万円前後です。

年代別の平均投資額は次の通りです。

【年代別NISAつみたて投資枠および成長投資枠の1ヵ月あたりの投資額】
年代 つみたて投資枠 成長投資枠
20代 1万6,656円 1万4,001円
30代 2万3,877円 2万4,372円
40代 2万2,073円 2万9,282円
50代 2万521円 3万5,725円
60代 1万6,349円 4万2,852円
70代 7,259円 3万9,912円

投資額の算出方法
1.各年代別、投資枠別において、2025年9月末時点での買付額と6月末時点での買付額の差額を計算
2.その差額を3で割り、NISA口座数(9月末時点)でさらに割ることで、積立額を算出

60代以降はつみたて投資枠への積立額が大きく減少し、成長投資枠への投資額が増えていることがわかります。これは年代が上がるにつれて、投資期間が短くなるので、短期間でより多くの資産を投資に回すために成長投資枠を積極的に利用していることが要因の1つと考えられます。

なお、表中の成長投資枠の1ヵ月あたりの投資額は、必ずしも積立額とは限りません。成長投資枠では積立投資のほかに一括投資(スポット購入)も選べるからです。

例えば、30代の成長投資枠の平均投資額は2万4,372円となっていますが、中には特定の月に29万2,464円(2万4,372円×12ヵ月)投資する人もいたはずです。この場合、その他の月は投資していないという意味です。

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新NISAは月いくら積み立てるのがいい?年代別の決め方

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ここでは、20代・30代・40代・50代・60代の各年代で新NISAで毎月いくら積み立てるべきか、積立額の目安を紹介します。

20代は、将来に備えた少額からの積立が理想で、積立額は月々5,000円から1万9,400円です。30代では、教育資金や住宅購入を見据え、月々の積立額は3万3,900円が目安となります。

40代は資産運用のバランスを考慮し、月々4万6,200円の積立が理想です。50代は老後資金の準備を優先し、月々6万4,200円まで積み立て可能です。60代はリスクを抑えた運用を心掛け、月々7万円を目安に成長投資枠も活用します。

それぞれの年代に合わせた積立額の目安を参考に、将来設計を考えることが大切です。

新NISAの積立額の年代別の決め方

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20代

新NISAで20代は月いくら積み立てるべきか、平均的な積立額の目安は、5,000円から1万9,400円です。

20代のポイント
  • 将来起こりうるイベントを想定する
  • 自己投資を考える
  • 少額から始める

日本人の平均初婚年齢は男性が31.1歳、女性が29.7歳(出典:厚生労働省「人口動態統計月報年計(概数)の概況2023」)なので、20代の多くは単身世帯であると考えられます。

単身の間は子どもの教育費や住宅購入といったわかりやすいイベントはまだ先です。しかし、結婚や海外旅行などの出費を考えている人は、それに向けてしっかり準備を行いましょう。

20代では新NISAなどの資産運用も大切ですが、自己投資も積極的に行いましょう。毎月1万円投資に回すより、毎月1万円の資格取得講座を受講したほうが、将来の収入が多くなる可能性があるのが、若い世代の特徴です。

ただし、月々5,000円などの少額からでもNISAは始めたほうがいいでしょう。運用期間を長く取れるのもこの年代の強みです。少額でも20年、30年と続ければまとまった資産を形成できます。

<平均的な20代のNISA積立額の目安>

【平均的な20代の家計と、想定されるイベント】
世帯構成 単身
年間手取り収入 241万円
月間手取り収入 20万800円
貯蓄(※)に回している割合 18%
月々の貯蓄額 3万6,100円
金融資産保有額 121万円
想定されるイベント 5年後に結婚(予算100万円)
※ 貯蓄には株式、債券、投資信託、貯蓄型保険などが含まれる
※出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査単身世帯調査

20代の金融資産保有額は平均で121万円です。一般的に、緊急時に備えるために生活費の3ヵ月〜6ヵ月分の貯金を貯めておくことが望ましいので、この金融資産は緊急時生活資金として確保しておきましょう。

毎月貯蓄に回せるお金は3万6,100円です。5年後に結婚資金の100万円を貯める場合、1ヵ月あたり1万6,700円程度の積み立てが必要です。

したがって、NISAに回せる積立額は、3万6,100円-1万6,700円=1万9,400円が上限となります。

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30代

新NISAで30代は月いくら積み立てるべきか、積立額は、平均的な収入の人で3万3,900円までが目安です。

30代のポイント
  • 教育資金の準備方法を考える
  • 住宅購入の頭金を準備する

30代では結婚、子どもの誕生という大きなイベントが続きます。中でも最も関心が高いのが、子どもの教育費に対する備えでしょう。

【1年間にかかる子どもの学習費】
幼稚園 小学校 中学校 高校 大学
公立 18万4,646円 33万6,265円 54万2,475円 59万7,752円 103万5,000円
私立 34万7,338円 182万8,112円 156万359円 103万283円 (文系)152万円
(理系)183万2,000円

中学生と高校生ともに公立校に通わせるのであれば、月々の収入から教育費を捻出できそうです。私立の中高に通わせることや大学進学を考えるのであれば早めの準備が必要です。

子どもが生まれた時、あるいはまだ小さい時から将来に備える場合、教育費はNISAで準備してもいいでしょう。

例えば、生まれた時から教育資金を積み立てると、高校受験までに15年、大学受験までには18年という十分な投資期間を取れます。

30代では住宅購入についても検討を始めましょう。新築注文住宅を建てる世帯主の平均年齢は42.1歳で、割合としては30代が42.1%と最も高くなっています(出典:国土交通省「令和5年度住宅市場動向調査報告書」)。

<平均的な30代のNISA積立額の目安>

【平均的な30代の家計と、想定されるイベント】
世帯構成 夫婦と子ども2人
年間手取り収入 546万円
月間手取り収入 45万5,000円
貯蓄に回している割合 14%
月々の貯蓄額 6万3,700円
金融資産保有額 601万円
想定されるイベント 7年後の住宅購入(頭金600万円)

家族が増えるにしたがって生活費も増えます。緊急時に備える生活資金として、250万円は確保しておきたいところです。

緊急時生活資金を除いたおよそ350万円が住宅購入の頭金に回せる計算です。

住宅購入の頭金600万円のうち残りの250万円を5年で準備するには、月々2万9,800円程度の積み立てが必要です。

この世帯の場合、NISAの月々の積立額は6万3,700円-2万9,800円=3万3,900円が目安です。

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40代

新NISAで40代は月いくら積み立てるべきか、積立額は、平均的な収入の人で4万6,200円までが目安です。

40代のポイント
  • 資産運用のバランスを考える
  • 教育資金の運用を考える

40代は資産運用のバランスを本格的に考える時期です。子どもの教育費や住宅ローンの返済など、運用で失敗できない支出が増えるため、貯蓄可能なお金の多くをNISAに回すことは得策ではないでしょう。

NISAを活用する場合でも、株式投資信託だけでなく、債券やREIT(不動産投資信託)などに投資するなど、リスク分散を意識した資産運用を考えましょう。

40代では教育資金の扱いも大切です。30代からNISAで準備している人は売却のタイミングを考える必要があります。

また、40代から教育資金の準備を始める場合、リスクのあるNISAより預貯金などで準備する方法も検討しましょう。

<平均的な40代のNISA積立額の目安>

【平均的な40代の家計と、想定されるイベント】
世帯構成 夫婦と子ども2人
年間手取り収入 629万円
月間手取り収入 52万4,200円
貯蓄に回している割合 12%
月々の貯蓄額 6万2,900円
金融資産保有額 889万円
想定されるイベント 子どもの大学進学
1人目……3年後180万円×4年
2人目……5年後100万円×4年

まず、緊急時の生活資金として300〜400万円程度を確保しておきましょう。

また、子どもを大学に進学させる場合には、計画的に教育資金を準備する必要があります。中高生にかかる教育費は1年あたり55〜60万円です。もし、大学費用が180万円(私大理系)であれば中高生に比べて120万円ほど多くなります。公立大学の場合には、大学費用が100万円なので、これまでより40万円ほど学費が増えます。

したがって、今の生活水準を維持するには、2人分の学費として120万円×4年+40万円×4年=640万円ほど準備しておく必要があります。

1人目の子どもの大学資金は今保有する金融資産で準備可能です。2人目の大学資金(40万円×4年=160万円)をこれから準備しようとすると、必要な積立額は160万円÷8年÷12ヵ月=1万6,700円となります(大学3年時までに貯めれば良いため、5年後+3年=8年)。

この世帯がNISAの積み立てに回せるお金は、6万2,900円-1万6,700円=4万6,200円までが目安となります。ただし、前述の通り、全額をNISAに回すのではなく預貯金などの安全資産や低リスクの金融商品の活用も考えたほうがいいでしょう。

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50代

新NISAで50代は月いくら積み立てるべきか、積立額は、平均的な収入の人で6万4,200円までが目安です。

50代のポイント
  • 老後資金の一番の貯めどき
  • 保有金融資産の運用も考える
  • 資産運用がNISAに偏りすぎないようにする

50代は子どもが独立することで教育費・養育費が減ります。したがって、この時期は老後資金を貯める大切な時期となります。

20代や30代よりは運用期間は短くなりますが、それでも退職まで10〜15年程度あります。NISAを始めるのに遅いということはありません。

また、50代では保有金融資産も増えます。資産の多くを預貯金で保有している人は一部をNISAに回すことを考えてもいいでしょう。

<平均的な50代のNISA積立額の目安>

【平均的な50代の家計と、想定されるイベント】
家族構成 夫婦と子ども1人(1人は独立)
年間手取り収入 642万円
月間手取り収入 53万5,000円
貯蓄に回している割合 12%
月々の貯蓄額 6万4,200円
金融資産保有額 1,147万円(内預貯金472万円)
想定されるイベント 特になし

上記の平均的な世帯では、緊急時生活資金は確保できています。

子どもが独立している世帯であれば、老後資金の準備を本格的に始めましょう。月々に可能な貯蓄額は6万4,200円なので、この金額がNISAに回せる上限額です。NISAとそれ以外の投資のバランスを考えながら、資産形成していくことが重要です。

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60代

新NISAで60代は月いくら積み立てるべきか、積立額は、平均的な収入の人で7万円が目安です。

ただし、新たな投資というよりは今ある資産をバランスよく分散投資することが目的です。投資期間は短くなるため、成長投資枠を利用しましょう。

60代のポイント
  • 投資の目的は大きく減らさないこと
  • 保有資産額を預貯金に偏らせない
  • 成長投資枠の利用を考える

60代は退職を見据えるか、実際に退職をしている年代です。この年代で最も大切なのは、資産を大きく減らさない運用を心がけることです。

収入が大きく減少する退職後は、運用で損失を出した場合リカバリーが難しくなります。そのため、リスクが高い運用は控えましょう。リスクとリターンは比例するので、60代以降にリターンを大きく狙う運用は期待しないと言い換えることもできます。

預貯金で持っていれば安全というわけでもありません。物価が上がるインフレ局面では預貯金の価値は目減りします。

インフレや円安・円高など、どの局面になっても大きく損失が出ないように、預金、債券、株式、外貨(外国株式や外国債券含む)などにバランスよく分散投資することを考えましょう。
松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所

60代からNISAを利用する場合、運用期間はそれほど長く取れません。したがって、積立投資枠だけでなく、成長投資枠を利用して分散投資を行うことも検討しましょう。

<平均的な60代のNISA積立額の目安>

【平均的な60代の家計と、想定されるイベント】
家族構成 夫婦(子ども2人は独立)
年間手取り収入 525万円
月間手取り収入 43万7,500円
貯蓄に回している割合 11%
月々の貯蓄額 4万8,100円
金融資産保有額 2,026万円
(預貯金:774万円、株式369万円、債券110万円、
投資信託153万円、保険その他620万円)
想定されるイベント 5年後に世帯主退職

ここで紹介している世帯が退職までの5年間で貯蓄可能な資産は、4万8,100円×5年×12ヵ月=288万6,000円です。したがって、退職時点の金融資産保有額は、2,314万6,000円になる予想です。

月々の貯蓄を運用しない場合、退職時の預貯金の合計は774万円+288万円=1,062万円になります。資産の約半分が預貯金です。

株式や投資信託などのハイリスク・ハイリターンの商品はそれなりに保有しているので、ここでは預貯金を債券などに配分することを考えてみましょう。

成長投資枠では、債券に分散投資する債券投資信託も購入できます。

現在比較的リスクの低い債券や保険は計730万円保有しています。退職時の資産の50%(約1,150万円)をローリスク・ローリターンの商品に配分する場合、5年間で420万円債券に振り分けます。

この場合、成長投資枠を利用すると月々の積立額は、420万円÷(5年×12ヵ月)=7万円が目安になります。

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【積立金額と運用期間別】運用益と資産額のシミュレーション

3.毎月いくら投資する?
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NISAに投資した場合、積立金額と運用期間によって将来の資産額にどれだけ差が生じるかを示したものが次の表です。

【NISAを利用した場合の積立金額と運用期間別の資産額(予想リターン6.4%※)】
運用期間 10年 20年 30年
積立金額 運用益 資産額 運用益 資産額 運用益 資産額
1,000円 5万円 17万円 24万円 48万円 72万円 108万円
3,000円 14万円 50万円 73万円 145万円 217万円 325万円
5,000円 24万円 84万円 122万円 242万円 362万円 542万円
1万円 47万円 167万円 245万円 485万円 725万円 1,085万円
3万円 142万円 502万円 734万円 1,454万円 2,175万円 3,255万円
5万円 237万円 837万円 1,223万円 2,423万円 3,625万円 5,425万円
※ 国内株式投資信託50%、海外株式投資信託50%に投資したと想定。それぞれの期待リターンは、国内株式5.6%、外国株式7.2%(参考:年金積立金管理運用独立行政法人基本ポートフォリオにおける各資産クラスの期待リターン

上の表を見ると、運用期間が長くなればなるほど、資産額が大きく増えていることがわかります。

例えば、月々3,000円という少額の投資でも、20年積み立てれば145万円、30年継続すれば325万円というまとまった資産になります。

運用期間が長くとれるということは積立投資において大きな武器になります。20代や30代といった若い世代が、少額でもNISAを始めたほうがいいのはこの理由からです。

逆に運用期間が短くなると、目標金額を貯めるにはより多くの積立金が必要になります。

500万円の資産額を目標にする場合、30年の運用期間が取れるのであれば、月々5,000円積み立てれば達成できます(542万円)。しかし、運用期間が10年しかない場合、目標をクリアするために必要な積立額は月々3万円です(502万円)。

運用期間は3分の1ですが、必要な積立金が6倍に増えていることに注目してください。
松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所

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新NISA(積立NISA)で毎月いくら積み立てるべきかの決め方

4.毎月いくら投資する?
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NISAのつみたて投資枠にいくら積み立てるのかを決める際は、お金の色分けをして、自分の余裕資金がいくらあるのかで上限を決めるとよいでしょう。

もちろん、明確な投資目的があり、長期的に運用期間が取れるのであれば、ゴールから積立額を決めることもできます。

ただし、人によっては投資をすることに不安を感じる人もいるはずです。損失が出た場合の受け取り方が人によって異なるからです。これをリスク許容度と言います。投資額を決める際には、リスク許容度を知ることも重要です。

ここではNISAの積立額を決める上で大切な、余裕資金と投資目的、そしてリスク許容度について紹介します。

投資は余裕資金で行う

投資はしばらく使う予定のない余裕資金で行うことが原則です。NISAの積立額も余裕資金を元に決めましょう。

まず、自分のお金を「緊急時生活資金」「準備資金」「余裕資金」の3つに分けて考えることから始めましょう。それぞれの資金の意味は次の通りです。

緊急時生活資金 失業や病気・怪我など、緊急の時に備える資金。
1ヵ月の生活費の3ヵ月〜1年分が目安。
準備資金 近い将来に使うことが決まっているお金。
教育費や住宅購入の頭金、海外旅行のための資金など。
余裕資金 しばらく使う予定のない資金。
全体の資金から緊急時生活資金と準備資金を除いたお金。

余裕資金の決め方を、次のAさんの例で紹介します。

<20代単身者Aさんの例>
職業:会社員
1ヵ月の生活費:20万円
貯金:200万円
月々貯蓄に回せる金額:4万円
今後のイベント:2年後に海外旅行(110万円)

Aさんの緊急時生活資金の目安は60万円から240万円です。現在のAさんは安定した職業についていますが、転職を考えているため緊急時生活資金を少し多めの150万円としました。

今後考えているイベントは2年後の海外旅行で、費用は110万円を予定しています。貯金額200万円から緊急時生活資金の150万円を除くと50万円が残ります。このお金は海外旅行の準備資金に回せるので、残りの準備資金は60万円です。

2年後に60万円貯めるためには、1ヵ月あたり2万5,000円を積み立てる必要があります。この準備資金は損失を出したくないので、定期預金で貯めることにしました。

Aさんは月々4万円を貯蓄に回せますが、そのうち2万5,000円は準備資金に回します。したがって、Aさんの余裕資金は1ヵ月の貯蓄のうち1万5,000円になります。

つまり、AさんがNISAで積み立てる金額は、最大で1万5,000円が適切となります。

目的を持って投資を行う

投資目的を明確にするのもNISAの積立額を決めるのに有効です。

例えば、40歳の人が65歳までに老後資金として2,000万円を貯めるためにNISAを始めたとします。この場合、予想リターンを6.4%とすると、月々の積立額は2万7,128円となります(※金融庁「つみたてシミュレーターを用いて計算」)。

あくまで余裕資金の範囲内であれば、このように目標となる金額を先に設定し、積立額を決めてもいいでしょう。

投資目的を決めてからNISAを始めることで、売却のタイミングが明確になるというメリットもあります。

NISAは2024年に制度が恒久化されたため、売却のタイミングが難しくなりました。実際旧NISAのつみたてNISAは20年という期限があったため、多くの人は20年後に売却する予定だったのではないでしょうか。

目的を決めず投資を続けると、もう少し待てばもっと増えるかもしれないと考えがちです。待っている間に資産が減ってしまうことは十分にあり得ます。
その点、最初に目的を老後資金の2,000万円と決めていれば、資産額が2,000万円を超えた時点で売却するという自分なりのルールが作れます。
松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所

リスク許容度を知る

毎月の積立額は、自分のリスク許容度に応じた金額に設定する必要があります。リスク許容度とは、どれだけの損失なら受け入れられるのかという尺度です。一般的に年齢や投資経験、性格、資産規模などによって決まると言われています。

リスク許容度は、実際に投資を始めてみないとわからないことが多いものです。

自分ではリスク許容度が高いと思っていても、実際に運用で少しマイナスが出ると、不安で常に資産状況をチェックしてしまう人もいます。そのような状態は投資額がリスク許容度を超えていると言えるでしょう。

余裕資金の範囲内で投資を行い、投資目的も明確であるにもかかわらず、短期的な資産の増減で一喜一憂してしまうのであれば積立額を見直しましょう。日常的にストレスを感じてまで投資を続けることはありません。

20代や30代の人が少額からでも投資を始めると、自分のリスク許容度を早く知れるというメリットもあります。

徐々に積立額を増やしたり、リスクが高い商品への投資割合を増やしたりすると、資産の増減幅は大きくなります。そうした中で、自分がどれだけ余裕を持ってその損失を受け入れられるかを逐一確認しながら、自分のリスク許容度を知っていきましょう。
松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所

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松岡紀史
筑波大学大学院でファイナンスを学ぶ。元システム・エンジニア。日本における資産運用の提案が保険や投資信託の販売を前提としていることに疑問を感じ、2010年に当時としては数少ない、金融商品を一切販売しないFP事務所「ライツワードFP事務所」を神戸市に設立。金融機関に属さない中立的な立場でお金の相談や執筆・講演を行っている。

■保有資格:日本FP協会認定CFP
筑波大学大学院でファイナンスを学ぶ。元システム・エンジニア。日本における資産運用の提案が保険や投資信託の販売を前提としていることに疑問を感じ、2010年に当時としては数少ない、金融商品を一切販売しないFP事務所「ライツワードFP事務所」を神戸市に設立。金融機関に属さない中立的な立場でお金の相談や執筆・講演を行っている。

■保有資格:日本FP協会認定CFP

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