いつまでも親には健康で元気でいてほしいものですが、アラフォーになれば親の介護にも心づもりしておく必要があります。今回は、来るべき親の介護について事前に知っておきたいところをお伝えします。
介護費用、両親合わせてどのくらいかかるの?
具体的には介護の期間や費用はどのくらいになるでしょうか。生命保険文化センターが行った2015年度の介護に関する調査結果をもとに見ていきましょう。
▽過去3年間に介護経験のある人へのアンケート結果
介護を行った期間の平均: 4年11ヵ月
介護にかかった費用の平均: 一時費用平均80万円、月平均7万9,000円
※費用は公的介護保険サービスの自己負担費用を含むものとする
介護費用の一時費用には住宅改修や介護用ベッドの購入などが含まれます。これらは一人当たりなので、両親の介護費用を合計すると1,092万2,000円になります。あくまでも平均ですが、なんとなく介護費用のイメージをつかめるのではないでしょうか。
また、“健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間”と定義されている健康寿命について、厚生労働省が2018年3月に発表した調査結果によると、2016年の平均は男性72.14歳・女性74.79歳でした。平均寿命との差は男性8.84年・女性12.34年になり、この期間は“日常生活に制限があり健康ではない期間”と考えることができます。親の介護が始まる年齢は70歳を目安の一つにしておきたいところです。
介護費用は誰が準備する?親に確認しておきたい5つのポイント
ひと昔前は親の介護は費用も含めて子どもが面倒を見るのが当たり前だったかもしれません。しかし、少子高齢化が進むなど社会の変化もあり、介護費用は親子が共倒れしないためにも親に用意してもらうのが社会の流れになってきています。
お金のことは親子の間でも話しづらいものですが、介護が必要になってからではもっと話しづらくなってしまいます。まずは、親がどういう介護を希望しているのかを話しあっておきたいところです。親に確認しておきたいポイントは以下の通りです。
- 介護が必要になったら、どこでどのように暮らしたいか?
- 延命措置に関してどう思っているか?
- 収入と資産はどれくらいあるか?
- どのような保険に加入しているか?
どこに大切な書類を保管しているか? どのように暮らしたいのかを知ることで、それに見合う資金はあるのかを考えることができます。一方的に聞くのではなく、自分自身が万が一の場合も含めてもお互いについて話し合っておくのもよいでしょう。また、親の普段の生活を把握するのも大事なことです。交友関係、かかりつけ医、服用している薬など、意外と子どもが知らないことも多いでしょう。意識したコミュニケーションを心がけておけば、早めに異変をキャッチして手を打つことができます。
親の介護には人的サポートの計画も大切
介護離職にならないために人的なサポート計画を立てることも大切です。どこに?誰に?相談すればよいのかを情報収集しておくことも重要なミッションです。まずは、親が暮らす地域の「地域包括支援センター」を中心に情報収集をしましょう。地域包括支援センターは市町村が設置しており、実際に介護が必要となり自分が動けない場合にも、必要なサービスを横断的に紹介してくれます。
実家が離れた場所にあり、すぐに行けない場合には電話相談もできます。担当の地域包括支援センターがどこにあるのかわからない場合は、市区町村のWebサイトを確認しておきましょう。他には、インターネットで検索できる民間サービスや地域の友人・知人からの口コミも重要な情報源です。いつ訪れるかわからない親の介護。早めに知識を見につけておき、いざというとき、どう対応すればいいのか戸惑うことがないようにしましょう。
文・三原由紀(合同会社エミタメ代表・ファイナンシャルプランナー)
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