すでに結果を出している“芸人脚本家”も多いが、このなかにポストバカリズムはいるのだろうか。お笑い事務所関係者は話す。
「特にコント師とドラマ脚本の相性はすごく良くて、ロングコートダディの堂前透さん、男性ブランコの平井まさあきさん、ビスケットブラザーズの原田泰雅さん、蛙亭のイワクラさんなどは、脚本家として花を咲かせる可能性が十二分にある。ただ忙しい芸人スケジュールのなかで、締切もタイトな1クールのドラマの脚本を完成させるのは大変です。しかも、吉本の芸人さんは劇場出番も多い。お笑い賞レースに力を入れている場合、ネタ以外に割ける時間も少なくなってしまう。“ポストバカリズム”になるには、才能と同時にスケジュールの問題も大きくからんできます」
そうしたなか“ポストバカリズム”の大本命と目されるのは、コントだけでなく演劇の公演も行っている8人組ユニット・ダウ90000の蓮見翔だ。
ネタはもちろん演劇公演の脚本も手掛ける蓮見は、ドラマの脚本としてもフジテレビ系『エルピス-希望、あるいは災い-』のスピンオフ作品『8人はテレビを見ない』(TVerで配信)や日本テレビで放送された5分ドラマ『今日、ドイツ村は光らない』を担当している。
「芸人さんの場合、登場人物が2~3人のコント脚本には慣れているけど、ドラマのようなたくさんの人物が登場する作品については、経験不足ということも考えられる。ただ蓮見さんは8人の登場人物がいる脚本を書き続けているので、ドラマ向きではあります。ネタについても、昨今のお笑いのフォーマットとは異なる切り口で、幅広い視聴者層にも刺さりやすいもので、そういう意味でも地上波ドラマ向き。何より、2024年に独立し、スケジュールを自分で調整しやすい。蓮見さんへの脚本オファーがしやすい条件が整っているんです」(同)
才能あふれる芸人脚本家たちの飛躍に期待したい。
(取材・文=サイゾーオンライン編集部)