「とりあえず貯金をしなくては」と思っている人は多いでしょう。貯金があれば、何かあったときでも安心ですが、具体的に毎月どのくらい貯金すればいいのかは悩みどころ。他の人がどれくらい貯めているのかも気になりますよね。FPの筆者が、年代別貯金額や年収別の貯金額目安を調べました。
また「固定費の見直し方」や、「おすすめの貯蓄方法」「お金を“増やす”方法」についても紹介します。併せて参考にしてみてくださいね。
貯金の目安は手取りの1割? みんなはいくら貯めているの?
よく耳にするのが、「手取りの10%を目安に貯金しよう」というフレーズです。でも、収入は人によって違うし、家族と同居しているかどうかによって生活費変わるので、「10%」と聞いてもピンとこないかもしれません。
実際に周りのみんながどのくらい貯金しているのかも、気になるところですよね。では、統計調査を見ていきましょう。
30~50代まで! 年代別貯金額
総務省「平成26年全国消費実態調査」から、年代別貯蓄現在高と年間収入の関係を調べて、表にまとめました。
年齢階級別貯蓄現在高および年間収入(単身世帯・女性)
40歳未満 | 40歳代 | 50歳代 | |
貯蓄現在高(万円) | 264 | 959 | 1,383 |
年間収入(万円) | 317 | 394 | 359 |
貯蓄年収比(%) | 83.4 | 243.4 | 385.5 |
上の表は、貯蓄ゼロの世帯も含んだ数値です。
年間収入には年齢でそう差はありませんが、貯蓄額は年齢に比例して大きくなっていますね。
ここで、40歳代の平均は959万円です。仮に20歳から45歳までに959万円を銀行預金で貯めるとすると、年間約38.4万円、月に3.2万円を貯金する必要があります。
45歳までに959万円貯めるため、必要な年間の貯金額
貯蓄を始める年齢 | 貯金額 |
20歳 | 38.2万円(月間3.2万円) |
25歳 | 48.0万円(月間4.0万円) |
30歳 | 64.0万円(月間5.3万円) |
35歳 | 95.9万円(月間8.0万円) |
40歳 | 191.8万円(月間16.0万円) |
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年収別! 貯金金額は手取り収入の1割から3割
では、年収によって毎月の貯金額はどのくらい変わるのかを見ていきましょう。
年収 | 平均年収 | 可処分所得 | 黒字 | 黒字率 | 持家率 |
200万円台 | 250万円 | 19万7,248円 | 4万5,201円 | 22.9% | 32.7% |
300万円台 | 348万円 | 24万1,244円 | 8万1,105円 | 33.6% | 39.6% |
400万円台 | 437万円 | 31万6,665円 | 12万7,963円 | 40.4% | 17.0% |
500万円台 | 539万円 | 34万9,082円 | 15万1,457円 | 43.4% | 36.0% |
こちらは、年収別の毎月の可処分所得と黒字の関係を表したものです。
「可処分所得」は月の収入から税金と社会保障を引いた手取りの金額です。「黒字」とは可処分所得から生活費を引いた金額で、「黒字率」は可処分所得に対する黒字の割合です。
黒字率が高いほど貯蓄しやすいと言えます。単純に見れば、やはり年収が高ければ黒字率が高く、その分貯蓄に回す金額も多くなると言えます。ただし、「1人暮らし」と「家族と同居」では住居費用が異なるので、当然貯金できる金額も変わってくるでしょう。
1人暮らしの場合 手取り収入の10%は貯金したい
不動産流通推進センターの調査によると、東京圏のワンルームマンションの平均家賃は平成30年3月時点で7万2,280円です。年収200万円台・300万円台の黒字率は30%以上ですが、家賃が貯金額に与える影響は大きいと言えるでしょう。
「家賃は手取り収入の3割以内」というフレーズを耳にしたことがあると思います。年収が300万円台以下の場合、やはり家賃は「手取り収入の3割以内」に抑えないと貯金することは難しいでしょう。
年収400万~500万円の場合、毎月10万円以上の黒字があるので家賃7万2,000円を差し引いても毎月3万円の貯金はできることになります。できれば、手取り収入の15~20%を目指したいところです。
なお、住宅ローンを利用してマイホームを購入する場合は、頭金を少しでも多く用意して、毎月のローン返済額を手取り収入の2割以下に抑えるのが理想です。
家族と同居の場合 手取り収入の30%を貯金しよう
家族と同居している場合は、毎月実家にお金を入れている人が多いでしょう。ある民間調査によると、アラフォー女性は毎月平均3万8,347円を実家に入れているそうです。
この中には水道光熱費や食費も含まれているでしょうから、家賃がないということを考えると、手取り収入の30%以上を貯金することができるはずです。つまり、年収400万~500万円台で家族と同居しているなら、毎月10万円以上を貯蓄することが目安になります。
次からは、具体的な貯蓄の方法などを紹介していきます。
貯金額を増やしたい人は毎月の「固定費」を見直そう
毎月の支出は、「固定費」と「変動費」に分けられます。「固定費」を減らすことができれば、その分を毎月貯蓄に回せるので効果が高いです。
「固定費」とは、スマホ代などの通信費や光熱費、保険料、家賃、習い事代など毎月固定で発生する費用のことです。固定費を見直すことで、毎月の支出を継続的に減らすことができます。とはいえ、家賃などはすぐに削減できるものではありませんよね。しかし、意外に見直しやすい「固定費」もあります。たとえば、以下のようなものなら取り組みやすいのではないでしょうか。
- 格安スマホを利用する
- 定期購入のサプリメントや使い捨てコンタクトレンズなどの利用を見直す
- 月会費を支払っているジムや習い事は本当に必要か検討する
- 固定電話やネット通信費、水道光熱費の基本料金部分を見直す
- 生命保険や損害保険を見直す
サブスクサービスの利用を見直す など 毎月出て行く固定費は、「本当にそれが必要?」「もっと安いものはないか」という視点で一度整理するといいでしょう。
特に習い事やサブスクサービスなど趣味にかける費用は、複数のサービスを積み重ねていくと意外とかさむものです。毎月支払っている金額を確認して、断捨離することも必要です。これらの固定費を見直すことで、毎月の支出を減らすことができます
おすすめの貯蓄方法3つ
固定費を見直したら、早速貯金をスタートしましょう!
ストレスなく貯蓄できる方法は、自動的に貯まる仕組みを作ることです。そのためには、毎月のお給料が入ってきたら、即座に貯金する分を取り分けてしまうことです。「余ったお金を貯蓄に回そうとしても余らない」という人は多いですが、これを避けるためにも有効です。
具体的には、どんな貯蓄方法がいいのでしょうか? おすすめの貯蓄方法を3つ紹介します。
銀行の積立定期預金
積立定期預金では、毎月決まった日に指定した普通預金口座から定期預金口座へ振替が行われます。積立金額やボーナス月の増額なども自由に設定できて、満期日以降は自由に引き出せるので気軽にスタートできます。
財形貯蓄など会社の制度
財形貯蓄は、企業が導入する福利厚生制度の1つです。まずは、勤務先が導入しているかどうかを確認しましょう。
毎月の給与から天引きをして金融機関で貯蓄を行う仕組みで、貯蓄の目的によって3種類あります。目的や税制メリットを考えつつ、詳細を会社に確認してみてください。解約などの手続きは勤務先を通して行う必要があるため、心理的にも「強制力」のある貯蓄方法と言えます。
デパートや旅行会社の積立
旅行が趣味の人、あるいはお気に入りのデパートがある人にはメリットのある方法です。旅行会社の定期積立では、積立期間・金額に応じて年利換算で1.75%になるケースもあります。
積立先のサービスを必ず利用することが条件になりますが、お金を貯めて旅行すると決めれば貯蓄のモチベーションも上がりますよね。
取り組んでみたい“お金を増やす”方法3つ
ある程度貯蓄が進んだら、取り組むべきは“お金を増やす”ことです。お金を増やす方法にもいろいろありますが、できることからスタートしましょう。ここでは、3つの方法を紹介します。
つみたてNISA
つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。長期運用を前提に、積立でコツコツ資産形成したい人にはおすすめです。
選定商品は、国が定めた低コスト、長期安定運用などの基準をすべて満たした一定の投資信託です。口座開設は無料なので、投資初心者でも始めやすいでしょう。
運用期間は最長20年で、年間最大40万円、つまり800万円までが非課税投資枠です。投資による値上がり益や配当金・分配金にかかる税金が非課税であり、非常にメリットの大きい制度です。途中でお金が必要になった時は、売却して引き出すことができます。
出典:金融庁『あなたとNISA』
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iDeCo(イデコ)
iDeCo(イデコ)は、個人型確定拠出年金と言われる“自分で作る年金制度”のことです。つみたてNISAと同じく長期運用で積立を行いますが、つみたてNISAと異なるのは以下の5点です。
- 年間の積立上限額は働き方や勤務先の年金制度によって14万4,000円から81万6,000円まで
- 運用対象商品は投資信託以外に、定期預金と保険がある
- 原則60歳まで引き出しができない
- 積み立てた掛け金にも税制優遇がある
- 口座開設や維持に手数料がかかる
途中で引き出せないものの、老後資金作りには最強の仕組みと言えるでしょう。
出典:国民年金基金連合会 『iDeCoってなに?』
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iDeCo(イデコ)そろそろ始めたい!金融機関と運用商品ランキング
個人向け国債
国債は、国が発行する債券です。つまり、国に一定期間お金を投資して、定期的に利子を受け取り、満期になれば元本返済を受ける、という金融商品です。
銀行の定期預金よりも金利が高く、0.05%(年率)の最低金利保証があります。金融機関や証券会社で、1万円から購入でき、発行後1年以上経てば途中で換金することもできます。
個人向け国債は3種類ありますが、おすすめは「変動金利型10年満期個人向け国債」です。唯一の変動金利タイプなので、今後金利が上がれば受取利子が増える可能性があるからです。
固定費を見直して貯まる仕組みを作る
貯蓄を増やしたい時にまず行うべきことは、固定費の見直しです。固定費は毎月必ず出て行く支出ですから、一度見直すと継続的に支出を削減できます。そして、減らした固定費が自動的に貯まっていく仕組みを作りましょう。
給料が振り込まれたら、すぐに貯蓄分を取り分けます。貯めるだけでなく増やしたい場合は、つみたてNISAやiDeCo(イデコ )などの制度を利用するといいでしょう。投資に不安がある人は、一部を個人向け国債で運用するのもおすすめです。自分に合った方法で貯金を始めてみてはいかがでしょうか。
つみたてNISAを始めてみる
つみたてNISAは投資信託で資産運用をする制度であり、少額で投資を始めることができます。つみたてNISAには3つの大きな魅力があります。
・非課税期間は最長20年
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文・三原由紀(合同会社エミタメ代表・ファイナンシャルプランナー)
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