待ちに待ったボーナス(賞与)の支給日。実際に振り込まれた金額を見て、「あれ? 思ったより少ない……」と思ったことはありませんか。ボーナスも毎月の給与と同じように税金が引かれるため、手取り額は少なくなってしまうのです。「こんなはずでは!」とならないように、ボーナスの手取り金額を計算しておきましょう。
そこで今回は、ボーナスの手取り金額の計算式を紹介します。ボーナスの平均金額や支給時期、査定などについても併せて紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
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そもそもボーナス(賞与)って何?どんな種類がある?
国税庁のHPによると、賞与は「定期の給与とは別に支払われる給与等で、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるものその他これらに類するもの」と定義されています。
公務員の場合は、ボーナスを「期末・勤労手当」と呼ぶなど、勤め先によってボーナスの名称は様々です。また、業績に応じて支払われる「決算賞与」を設けている会社もあります。
ボーナスは法律で支給を義務づけられているものではないので、ボーナスがない会社もあります。前述の厚生労働省の調査によると、2019年の夏季ボーナスの支給事業所は67.9%であり、約3割の会社はボーナスがないということになります。就職する際は、ボーナスの有無はチェックしておきたいですね。
ボーナス(賞与)の平均額は?金額は何で決まる?
ボーナスの平均支給額は、いくらでしょうか。会社の業績によって左右されるものではありますが、厚生労働省の「毎月勤労統計調査(令和元年9月・平成31年2月分結果速報等)」によると、夏季と年末の賞与額の平均は約38万円。2回のボーナス支給額合計は、約77万円です。
では、どんな会社のボーナスが高いのでしょうか。「企業規模別」と「業種別」で見ていきましょう。
「企業規模別」で見るボーナス(賞与)の違い
雇用人数別のボーナス支給額は、以下のとおりです。
- 5~29人 約26万円
- 30人~99人 約33万円
- 100人~499人 約43万円
500人以上 約65万円 企業規模(雇用人数)が大きくなるほど、ボーナス支給金額が高くなることがわかります。
「業種別」で見るボーナス(賞与)の違い
業種別で見ると、ボーナスが最も高いのは「電気・ガス業」(約77万円)、次いで「学術研究等」(約66万円)、最も低いのは「生活関連サービス等」(約15万円)でした。
※( )内は令和元年9月調査の夏季賞与額企業規模や業種で、ボーナス額がかなり違うことがわかりますね。
ボーナス(賞与)の支給時期はいつ? 有無はどう決まるの?
ボーナスの支給時期は6月と12月の年2回、という会社が多いようです。ただし、支給時期や支給条件については各会社で定められた就業規則によります。
支給されるかどうかの条件としては、「ボーナスの支給日に会社に在籍していること」「業績が悪ければ支給しない」などがあります。また、出勤率をボーナス支給の条件に加えている会社もあります。
ボーナス(賞与)の査定はどう決まるの?
個人の成績評価に加えて、勤続年数や出勤率などの勤労奨励評価などの「査定」が行われ、支給金額が決定される会社が多いようです。査定の内容は、会社によって異なります。
会社の業績によって支給額が変わることもありますので、勤めている会社の規定をチェックしてみましょう。
査定時期も、たとえば「6月支給のボーナスの査定は、前年10月から3月末までの勤務に対する評価で決定する」など、各社の規則で定められています。
〈ボーナス支給額の平均は?〉
夏のボーナス平均額!業界別の支給額や使い道ボーナス(賞与)の手取り額から差し引かれる4つのもの
ボーナスから天引きされるものは、以下の4つです。
- 厚生年金保険料
- 健康保険料
- 雇用保険料
所得税 支給額や年齢、扶養家族の有無によって引かれる金額に差はありますが、ボーナスから引かれる金額は支給額の2割程度です。
では、それぞれどのくらいの金額が引かれるのか、それぞれの計算式を見ていきましょう。
1. 厚生年金保険料
ボーナスの支給額から1,000円未満の端数を切り捨てた額を「標準賞与額」といい、「標準賞与額×18.3%」が納める厚生年金保険料です。しかし、保険料は会社との折半になるので、実際にボーナスから引かれる金額は「標準賞与額×(18.3%÷2=9.15%)」となります。標準賞与額には、1ヵ月150万円という上限があります。
※2018年9月分以降、厚生年金基金に加入していない人の計算式2. 健康保険料
健康保険料も厚生年金保険料と同じく「標準賞与額×保険料率」で算出され、会社と折半をして納めますが、標準賞与額の上限は年間573万円である点が異なります。
また、厚生年金保険料の保険料率は一律ですが、健康保険料の保険料率は加入している健康保険によって異なります。ただし、40歳以上65歳未満の人は「介護保険料」が追加で徴収される点は、どの健康保険でも同じです。
たとえば、東京都で全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合、介護保険料が徴収されない人(40歳未満)は4.935%(9.87%÷2)、介護保険料が徴収される人(40歳以上65歳未満)は5.83%(11.66%÷2)が、ボーナスから引かれます(2020年4月分)。協会けんぽの保険料率は、都道府県によって異なります。 〈〉
3. 雇用保険料
一般の事業所は「賞与の支給金額×0.3%」です(建設業は0.4%、2019年度の料率)。雇用保険は厚生年金保険料や健康保険料のように1,000円未満の端数を切り捨てず、支給額そのものに保険料率を掛けます。
4. 所得税
所得税は、「(賞与-社会保険料等)×税率」で計算します。税率は国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて求め、「前月の給与-社会保険料等」の金額と扶養している家族の人数によって決まるようになっています。
たとえば「前月の給与-社会保険料等」が25万円の場合、扶養親族が0人の場合は税率が4.084%ですが、扶養親族が2人の場合は2.042%になります。
また、扶養人数は特別な事情がある場合は加算することができます。たとえば、納税者本人や扶養している配偶者、扶養親族が障害者である、本人が寡婦(夫)や勤労学生である場合などです。扶養親族の人数を1人加算することができるので、その分引かれる税金は少なくなります。
ただし、前月に給与の支払いがない場合や前月の給与の金額(社会保険料等を差し引いた金額)の10倍を超える賞与(社会保険料等を差し引いた金額)を受け取る場合は、計算式が異なります。
ボーナス(賞与)35万円の手取りはいくら?
以下のモデルケースで、ボーナスの手取り額を計算してみましょう。
- 35歳独身(扶養親族なし)
- ボーナス35万円
- 前月の給与は25万円(手取り収入ではなく、支給額)
- 社会保険料の合計は3万4,290円(健康保険料1万1,880円、厚生年金保険料2万1,960円、雇用保険料750円)
- 「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」より、所得税率は4.084%
- 協会けんぽに加入
- 住まいは東京都
勤め先は一般企業 この条件で計算すると、
①厚生年金保険料:35万円×9.150%=3万2,025円
②健康保険料:35万円×4.935%=1万7,272円
③雇用保険料:35万円×0.3%=1,050円
④賞与にかかる社会保険料合計(①~③の合計):5万347円
⑤所得税:(35万円-5万347円)×4.084%=1万2,237円
④・⑤の合計:6万2,584円手取り額は、28万7,416円(=35万円-6万2,584円)となります。
少し難しいと思うかもしれませんが、一つひとつ計算していくと簡単に求めることができます。なお住民税は、昨年分のボーナスを加味して計算された税金が毎月の給与から引かれているので、ボーナスからは引かれません。
ボーナス(賞与)のメリット・デメリットって?
「ボーナスにはメリットしかないでしょ?」と思うかもしれませんが、実は考え方によってはデメリットもあります。
ボーナス(賞与)のメリット
ボーナスがあると、車や家電製品など買い替えといった大きな支出に使うことができるので、月々の収入から貯蓄する手間が省けますよね。また、旅行などの「ご褒美」といった使い方もできるので、生活にゆとりが生まれます。
ボーナス(賞与)のデメリット
会社によっては、ボーナスが「必ず支給されるもの」「金額が決まっているもの」ではないこともあります。ボーナスを当てにしてローンを「ボーナス払い」にしておいたり、毎月の生活費の補てんにしたりしている場合は、注意が必要です。
ボーナスが減ったりなくなったりしたら、家計がマイナスに転落していくこともあります。また、まとまったお金が一度に入ってくることで財布の紐が緩んでしまい、使う予定のない物を衝動買いしてしまうおそれもあります。
このように使い方や考え方では、「まとまったお金が入ること」自体がデメリットになりかねません。ボーナスは、あくまで「ご褒美」「将来のためのお金」と捉えて、しっかり管理することが大切です。
ボーナス(賞与)の手取り金額を知って計画的に使おう
ボーナスは毎月の給与に比べて支給金額が多いだけに、引かれる金額もそれなりの金額になってしまいます。すでにボーナスの使い道を検討している人もいるかもしれませんが、「取らぬ狸の皮算用」にならないよう、手元に残る金額をもとに計画を立てていきましょう。
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文・冨士野喜子(ふじのFP事務所所属)
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