NHK朝の連続テレビ小説『おむすび』第16週「笑え、ギャルズ」が終わりました。

 橋本環奈がスケジュール都合で一時的に撮影から離れたことは誰の目にも明らかですが、その間、主人公の結さんは勉強と子育てに明け暮れていたことになっています。

 考えてみると、結さんが何かに集中して努力している姿というのは、ここで初めて登場しているんですよね。

 書道もパラパラも農家の手伝いも、そのときの気分でがんばったり放り投げたりしていたし、神戸に来たばかりのころは「学業(笑)大げさな(笑笑)」だったし、結婚に向けてお金を貯めようと思っても、すぐ「電話するね」「打ち上げしよう」と言い出していたし、画面の中では全然ちゃんとやらないのに、画面から外れたらずっとちゃんとやってることになってる。

 普通、逆じゃね? と思うんだよな。ドラマを作ってたら、主人公が目標に向かって必死にがんばってる姿こそ見せたくなるもんじゃないのかね。すごく、作品の背骨の部分で歪んでいる感じがするね。

 ともあれ、結さんの不在によって特に「物足りなさ」を覚えることはありませんでした。物足りなくあれよ。第80回、振り返りましょう。

すげえなぁ、仲里依紗

 こんなわけのわからないセリフを言いながら、よくもまあ泣けるもんだと感心してしまったんですよね。ひみこ(池端慎之介)に犯人呼ばわりされて、アユ(仲里依紗)が切々とチャンミカ(松井玲奈)への思いを語るシーン。

「チャンミカが事務処理や経理をやっている」と言いながら、泣くんですよ。そりゃやるでしょ、事務処理と経理。そんなことで感極まってしまうということは、アユさんひょっとして確定申告とかやらないタイプなのかしら。この人、フリーランスのバイヤーですよね。この週はハシカンがいないから、脇役たちの背景を丁寧に描くんですよね。

 まあ細かいことはいいとして(細かくないけど)、ある意味で何をやってもいい週だったわけです。で、アユを主役にして、アユの感情の沸点をここに持ってきた。いわば、このシーンがアユという人物を掘り下げた、いちばん奥にあったものであるはずなんですよね。