第2部では、それぞれ初となる単著執筆の裏側がトークテーマに。石田は以前より複数の出版社から執筆のオファーを受けていたが、「書いた時点で古くなるのが嫌で」断っていたとのこと。にもかかわらず今回引き受けた理由として「僕は今、老害になり始めてるから」と、驚きの理由を挙げた。
「新しいことにも挑戦しているし、新しいことも許しているけど、グッと迷うことがあったら古いもの、伝統のほうに傾いて評価するクセが自分の中にあって。この傾向は多分、年々強まっていく。そうなると俺はいよいよ老害になってしまう。だから今の意見をいったん全部ここに捨てて、新たな脳みそでお笑いと向き合っていこう」という思いのもとに『答え合わせ』を執筆。「これを書いたときの考え方を、次にまた否定できるように生きていこうと思って」との言葉に、くるまは「素敵な言葉……」と漏らす。
一方、「『漫才過剰考察』は連載もしてたやん。連載書いてるときと、本書くときで(状況や考えが)またちゃうよな」と指摘されると「そうなんですよ。優勝もしちゃったから、話が変わりすぎてて。本当にありがたいことに日々成長してるんで、去年の自分とか話にならなすぎる。今年の年末ぐらいには自分でこの本のことを認められなくなったらどうしようと思ってるんですよね。怖いんです、自分の成長が。とどまることを知らないんで……」と滔々と述べ、石田と観客を笑わせた。
互いにそれほど精魂込めた執筆作業だけに、普段の仕事とは種類の異なる苦労があったようだ。石田が「(執筆作業)終わらんくない?」と問うと、くるまは「終わらないです」「ライブの終演時間がない、みたいなことじゃないですか」と同意。明確な終わりがない分、いつまででも作業できてしまうことがつらかったそうで「ほかのことをしてても、なんかソワソワするんですよね」と吐露する。石田も「わかるなぁ……」と深く頷いていた。
90分間にわたって盛り上がったトークの最後に、くるまは「普段は自分が漫才の話をしすぎて『気持ち悪い』とか言われることもあるんですけど、石田さんと一緒だと、自分よりオタクがいるんで安心しますね(笑)。今日は安心して好きなだけしゃべれて楽しかったです」とコメント。それを受けて石田が「僕はねぇ、昔、楽屋でカタカタ(パソコンで)仕事したり漫才のウンチク語ったりしてたら、芸人さん方から『芸人のくせに何してんねん』ってよく怒られてたんですよ。そういう時代が終わってよかったな、と(笑)」と、お笑い語りをめぐる状況の変化に感慨を述べてイベントは幕を閉じた。