その後、3番手の真空ジェシカが令和ロマンと1点差の849点を叩き出したときの心情を石田が質問。「あのときのテンションってどんな感じになってたん?」と尋ねられたくるまは「まだ全然伸びる余地があるし、いいんじゃね? いいスタートじゃね? って感じです」と『M‐1』全体の盛り上がりという観点からの感想を述べた後、「真空と俺らは絶対最終に行くって、あの時点で思ったんですよ」「あと1組が誰かによって俺らの優勝が決まると思った」と続ける。

 そのまま「真空・ヤーレンズ・俺らだったら、絶対負けるんです。速い漫才コントと俺らの遅いネタの2対1になっちゃうんで。(2021年のファイナルラウンドで)オズワルドさんが負けたとき、『錦鯉さんに負けた』って印象をみんな持ってるんですけど、『インディアンスさんと錦鯉さんに負けた』なんですよね。明るいバカのしゃべくりが2本続いた後にゆっくりしたネタをやったから、明るいもの同士からの二択になった」と、漫才のスタイルによる勝負の流れを分析すると、石田も「そうやねんな。そっちにチューニングがあってしまうから」と同意。くるまは「これが三すくみになれば個性の勝負になる。だから絶対、違うスタイルのコンビが上がってこなきゃダメだったんです」と、そのとき考えていたことを明かした。

漫才オタクが読み解けなかった真空ジェシカのボケ

 ファイナルに残ったもう1組は、望み通り真空とも令和ロマンともスタイルの異なるバッテリィズだった。初の決勝進出にして準優勝を果たすことになる同コンビの登場時、石田は「2008年の『M‐1』を思い出した」と回顧する。「俺らが最高得点でワーッと盛り上がった後、オードリーが出てきて一気に空気変えられてん。みんなはバッテリィズが出てきて興奮したと思うけど、俺だけめちゃくちゃ寒気してた。隣見たら若林くんがおるし(笑)」と、苦い記憶を鮮明に蘇らせたエピソードに会場からは笑いが起きる。