咲村良子連載コラム第10回
「ヴィランの花道 ~咲き乱れ 散りゆくままに~」

 2月16日の保土ヶ谷大会のテーマは「チャレンジマッチ」。

 それぞれに若手がキャリアのある先輩にぶつかって経験を積む、そんな試合がたくさんでした。

 そこで私は桜井麻衣さんとの初シングルマッチ。

 私にとって桜井麻衣さんは憧れの選手。

「デビュー戦の相手だれがいい?」

 練習生のころ、同じ練習生同士で話をすると、「私は麻衣さんとがいいな」と言っていたのを思い出す。

 だから、麻衣さんとの一戦はデビュー戦以来の強い意気込みで臨んだ。

 試合はとてもシンプル。

 ロックアップで始まりヘッドロックを外そうとするけど外せない、で投げられる。

 シュートロープされてロープの反動でドロップキックいくけど麻衣さんは倒れない。だからドロップキックを連発する。

 それからここぞとばかりの丸め込みの連発、でもスリーは取れなかった。

 どれも練習でやったまんまの動き。

 そんな基本的な動きを落ち着いてこなせている自分がいた。麻衣さんに勝つことはできなかったけど、ひとつ前進できた気がした。

 でもムカつくなー。

 こんだけドロップキックしてんねんから倒れろよな!!!

 4回もドロップキックしたら疲れるわー笑。

 しかも5回目にいこうとしたらカウンターでドロップキック喰らって私は一発でバタン。

 なんやねん! ムカつくー!

 とはいえちゃんと前進も感じる。

 それは悔しい思いをしつつも一戦一戦真剣にやってきたから。

 特にその直前に2週連続で石川さんとシングルマッチに当たったこと。

 ほんとに1枚皮が剥けるような気づきが詰まっていた。

 1度目のシングルでダメだったことを2度目にちゃんとやるんだと落ち着いて挑めた。

 実は新人に定番のドロップキック連発も石川さんとの試合で初めて出した。

 1回1回を大事に臨んでいけばこうしてハッとする試合にまた出会える。