◆働きながら生活保護を受けるのは不正受給ではない
高橋さんが「誤解だ」と説明していたラウンジ勤務と同時期の生活保護ですが、そもそも、働きながら生活保護を受給することは不正受給にはあたりません。
生活保護は、厚生労働省の定める最低生活費よりも収入が少ないことが受給の条件です。そのため、働いても収入が最低生活費に満たなければ、生活保護の受給で補うことはまったく不正受給には当たらないのです。
生活保護というものが、そうしたルールのもと運用されており、また高橋さんがそれに該当するかもしれないにも関わらず、「生活保護を受給しながらラウンジで働いていた」と鬼の首を取ったかのように誹謗中傷を繰り返していた人は少なくありませんでした。
それだけでなく、誹謗中傷は彼女のセクシャリティや容姿など、関係のないことにまで及んでいたことから、高橋さんが深く傷つき、心を悩ませていたことは想像に難くありません。
◆生活保護叩き、激化のワケ
昨今、生活保護受給者に対する「働いていないのにずるい」という国民感情が大きくなっているのは、日本全体が貧しくなっているあらわれかもしれません。
「自分はいくら働いても賃金が上がらないのに、生活保護受給者たちは働かずにお金をもらっている!許すな!」そんな負の感情が大きなエネルギーとなって生活保護者叩きは以前より激しくなっているようにも思えます。
貧困問題を解決するため、政治の世界に若さとやる気を持って名乗りを上げたのが高橋さんだったと、残念な気持ちを抱かずにはいられません。日本の未来を明るくしたかもしれない一人の女性を、誤解やくだらない誹謗中傷で追い込んだ人たちは、いま何を思うのでしょうか。
<文/エタノール純子>
【エタノール純子】