住宅ローン利用には火災保険の加入が必須

住宅ローンと関係が深い保険の二つ目は火災保険。原則的に火災保険に加入しなければ住宅ローンを利用できないことになっている。住宅ローン返済中に火災に遇ってマイホームがなくなった場合、住宅ローン利用者は新たに賃貸住宅などの住まいを求めなければならない。

住宅がなくなったとはいえ、住宅ローンの返済が続く上に新たに賃貸住宅の賃料負担がのしかかってくる。二重の負担になって、とても家計を維持していけなくなる可能性が高い――そうならないように、火災保険である程度カバー、生活を維持していけるようにするために加入が義務づけてられているわけだ。

保険料は、保険金額、保険期間などによって異なる。保険金額は再建築可能額が目処で、マンションのように堅固で火災に強いと考えられる建物ほど保険料は安く、反対に木造の一戸建てなどは高くなる。さらに、地域的に住宅密集地では保険料が高いといった違いもある。

さらに、保険期間によっても保険料が異なる。最長10年まで可能で、1年契約の火災保険料を1とすれば、5年契約の一括払いだと1年契約の4.30倍、10年契約だと8.20倍の保険料ですむ。つまり、10年契約にすれば、1年当たりの保険料負担は1年契約の82%で済む計算だ。

多少当初の負担が重くなっても、10年契約で負担を軽くするのが賢い選択だろう。

任意の地震保険にも加入しておくのが安心

この火災保険の特約として地震保険制度がある。地震の揺れによる倒壊、地震後の火災や津波による被害などは火災保険の補償対象にならない。別途、火災保険の特約として地震保険に加入しておかなければならないのだ。

損害保険料率算出機構によると、この地震保険の付帯率は2016年度の全国平均で62.1%。10年前の2006年度は41.7%だったから、この間、東日本大震災、熊本地震などの大きな被害が出たこともあって、年々着実に加入率が高まっている。

特に、地震の多い宮城県では86.4%に達している。また、南海トラフ地震などが想定されている高知県も84.8%と高いものの、長崎県のように45.0%と5割に達してない地域もある。これまでは地震とは無縁と考えられていたエリアでも突然大地震に襲われることがある。地震大国に住んでいる以上、地震保険に加入しておくのが安心というものだ。

地震保険に加入すれば所得から最大5万円控除

この地震保険には、「地震保険料控除」と呼ばれる所得控除制度がある。年間の地震保険料が5万円以下なら、年間保険料相当額が控除され、5万円超の保険料を支払っている場合には、5万円が所得から控除される。

所得税控除ではなく、所得控除なので最大では年間所得から5万円差し引いた上で所得税を算出することになる。課税所得が330万円超695万円以下で、所得税税率が20%の人であれば、5万円の20%、1万円所得税が少なくなるわけだ。

地震保険料控除については、火災保険に加入しているだけでは対象にならない。あくまでも火災保険の特約に加入して、火災保険料を支払っている人だけに限られるので注意しておきたい。

文・山下和之/ZUU online

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