◆共同親権が子どもやDV被害者に危険をもたらす可能性

「共同親権」とは、父親と母親が共同で子どもの親権を持つことを指します。共同親権が導入されると、離婚後も子どもの生活に関わる事柄について、父親と母親が平等に決定できるようになります。たとえば、「どこに住むか」「どの学校に通うか」「健康管理の方針」などについては、父親と母親で話し合い、共に決定していきます。これにより、離婚後も子どもと両親の関わりが増え、子どもの愛情や成長が形成される、とされています。

しかし、共同親権にはいくつかの懸念も存在します。たとえば、離婚後も親同士の意見が合わない場合、子どもの教育や生活に関する決定がスムーズに行えないことが挙げられます。また、離婚の理由が配偶者のDVや子どもへの虐待である場合、共同で親権を持つことが子どもやDV被害者に危険をもたらす可能性もあります。

DV被害を受けている場合は単独親権が認められますが、そのためにはDVや虐待の事実を家庭裁判所に認めてもらわなくてはならず、そのハードルはかなり高いといいます。また、証拠が取りにくい精神的DV、モラルハラスメントなどについては、裁判所がDVや虐待の事実を正確に判断するのが難しいとの指摘もあります。