◆「小池vs自民党」の構図は消え、今は自公協力体制

ダースレイダー氏
ダースレイダー氏
 最近の小池都知事が応援した、東京15区の衆議院補欠選挙の乙武洋匡候補(無所属)、目黒都議補選の井沢京子候補(自民党)は落選しています。本人の選挙ではないにしろ、かつてのような、選挙の強さが維持できているのかは未知数です。

 小池都知事は8年前に初めて都知事選に立候補した際、自民党と喧嘩をすると言い、崖から飛び降りる気持ち、という表現で無所属で都知事選に打って出てきました。「小池vs自民党」という対決を打ち出し、1期目の選挙に当選したわけです。ただし8年経った今、小池都知事は選挙でも自民党、公明党との協力体制を強くすると公言するなど、自民党との距離が非常に近くなっています。

 実は小池都知事の元側近である小島敏郎さんの「私は学歴詐称疑惑の隠蔽工作に加担してしまった」という旨の告発(『文藝春秋』2024年5月号や外国人記者クラブでの会見)の中では、自民党が学歴詐称の追求に手を緩めることとバーターにして、自民党との協力体制はでき上がっていったのではないか、という疑義が呈されています。

 その場合、現在の小池都知事と自民党との協力体制というものも、実はこの学歴詐称ありきで、さらに言えば学歴詐称を隠蔽し続ける限り自民党との距離感は密接なままであるという可能性が指摘されているわけです。

 自民党は、この都知事選では独自候補の擁立を見送っていて、直近の衆議院補欠選挙でもすべて敗北しています。裏金疑惑への説明、およびそれを受けての政治資金規正法の改正の内容でも支持を回復できるような動きはできていません。

 自民党に対する逆風は今までになく強いものになっています。その自民党と一蓮托生のスタンスになってしまっているのがどう響くかが、小池都知事の個人としての選挙戦のポイントになってくると思います。また、自民党としても小池さんと相乗りすることで選挙に勝利し、これまでの連敗ムードに終止符を打ちたいという思惑もあるようです。