弱音を吐くことはとても情けなくてカッコ悪くて自分としては負けてしまった気がするかもしれないが、人生を長く見たときに負けることは悪い事じゃないのだ。これは何も僕の独断と偏見で言っているわけではなく、先人たちはこんな言葉を残してくれている。「負けるが勝ち」「負けて勝つ」「逃げるが勝ち」「損して得取れ」「三十六計逃げるに如かず」等々。何ともありがたい教えだ。

 現在いじめられている人にとっては人生を長く見ることは出来ないし、逆に辛いことが長く続くという考えになる人もいるかもしれない。ただ、これだけは言える。辛いことはそこまで長く続かない。その時は人生を終わらせたくなるほど辛い事でも、必ず辛さは終わる。僕は大人になって、いじめより辛い目にあったが、それも永遠には続かず、数年で終わった。さらに、人はそこまで他人に構っている暇はない。いじめの対象になっている貴方が、いじめられていることを考えるより夢中になれることを見つけられれば、いじめっこたちは貴方への興味が薄れ、いつの間にかいじめられなくなっていることだろう。

 藤原さんの言うように、逃げる事は悪い事ではない。子供は親の力を借り、大人は自分や友達や親の力を借りて、逃げ場所を見つけてほしい。

 心の傷は治るかもしれないが、傷跡は消えない。だからこそ、その傷跡と共存する方法を見つけるのだ。傷跡を見るたびに胸が締め付けられるかもしれないが、傷は痛くならない。そして、いつか傷跡があることも日常の風景になっていき、気にならなくなる。

 確実に時間が解決してくれる。だから逃げても負けても良いから生きることだ。