2020年、自身が受けたいじめという経験を踏まえ、子供たちへ向けて絵本という形でメッセージを発信した。絵本のタイトルは「ゲロはいちゃったよ」。内容はタイトル通り、いじめのストレスから嘔吐を繰り返すようになった主人公が、父から厳しくも愛のある言葉を受けて、前向きに悩み始めるというものらしい。

 小中高合わせて12年間の学生生活は子供たちにとってはとても長く感じるものだが、大人になって振り返ると、とても短くて小さい世界であり、学校以外にも世界があるということを知ってほしい。たった1回のいじめ、たった1回の嫌な思いで負けないで、逃げた先で自分の人生を新しいものにしてほしい。冒頭の「逃げてもいいけど、負けたらあかん」という言葉には、そういう思いが詰まっているのだ。

 以前「ジャングルポケット」の斎藤さんに関するコラムで軽く書かせていただいたが、筆者である僕自身も小学生の頃いじめを受けていた。僕は藤原さんとは違い、太っている体型と内向的な性格がいじめの原因であった為に、2回ほど転校したのだが、いじめは無くならなかった。

 僕の場合は成長期で身長が伸びて、肥満児ではなくなったことでいじめから解放された。正確には体格が良くなり、力が強くなったことで、いじめっこたちに反抗できるようになり、いじめられなくなったのだ。他の子どもたちより成長期が早かったことで助かったと言える。しかし、これは稀なことであり、誰にでも出来ることではない。さらに、藤原さんのように親の転勤によって逃げるというのも偶然の産物であり、そう簡単に真似ができることではない。じゃあどうすればいいのか。