当時、体が小さく148センチしかなかった藤原さんは、別のクラスのヤンキーと呼ばれる生徒たちに、休み時間のどこかで友達のAくんと共に腹を殴られたり、突然後ろからお尻を蹴られるといういじめを受けていた。登校中も、学校へ着かなかったらいいのに、という思いで向かっていたという。

 ある日、同じ時期にいじめられていたAくんはおらず、藤原さんだけがいじめられた時があった。なんとAくんはその時、ほかの生徒と同じようにいじめられている藤原さんを笑いながら見ていた。今となっては、Aくんもいじめられるのが怖くて、自己防衛の為にみんなと同じように蚊帳の外へ出ようとしたのは理解できるが、当時の藤原さんは相当なショックを受け「助けてくれる人はいない」と思ったそうだ。

 いじめられている人へ対して「誰かに相談する」というアドバイスをする人がいるが、いじめられている側からすれば、相談するという行為はかなりハードルが高い。藤原さんもヤンキーからの報復を恐れ、先生に助けを求めることが出来ず、仲が良かった両親へ対しても「あなたの子供は学校でいじめられてますよ」という事実を知り、親が辛い思いをしてしまうのは嫌だという思いやりから、いじめを打ち明けることは出来なかったという。自分が頑張って学校へ行けば大丈夫だという、とても辛い選択をしてしまったのだ。

 そんな藤原さんは中学2年生の時、親の転勤で新潟から奈良へ引っ越すことになり、ようやくいじめから解放された。